予見できた危険を無視して強行した結果、組み体操での怪我続出

これだけ危険が指摘され、警告と言っていい訴えがあったにもかかわらず、継続を強行してこれですよ。

アホでしょ。愚かでしょ。それ以外に何と言えばいいんでしょ。

中止要請無視し継続、組み体操で51人けが
2019/10/08 07:42

 神戸市教育委員会は7日、今年8月末以降、運動会の組み体操の練習中に、市立小中学校30校の児童や生徒51人が負傷し、うち6人が骨折したと発表した。同市では、久元喜造市長が8月、組み体操の見合わせを市教委に要請していたが、市教委は「一体感や達成感が得られる演目だ」などとして、継続していた。市教委は「来年度以降は中止を含めて検討したい」としている。

 市教委が、8月末から10月5日までの事故状況を市立小中学校に聞いたところ、6人が骨折し、1人が脱臼。捻挫が10人、打撲が16人だった。

 市内では昨年度までの3年間に123件の骨折事故が起きていた。これを受け、久元市長は8月2日、市教委に組み体操の見合わせを文書で要請し、その後もツイッターで「やめる勇気を持ってください」などと学校関係者に直接訴えていた。

 しかし、市教委は「すでに練習を始めた学校もある」などと組み体操を見合わせず、自主的に中止したのも20校にとどまっていた。

 市教委は「けが人が出たことを重く受け止めている」としている。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20191008-OYT1T50188/

2019/10/7 19:44神戸新聞NEXT
神戸市立小中の組み体操 今秋は練習中に6人骨折

 神戸市教育委員会は7日、今秋の運動会・体育大会で披露する組み体操の練習中に転倒するなどし、病院を受診した神戸市立小中学校の児童・生徒は計51人だったと発表した。このうち6人は骨折していた。

 同市の組み体操を巡っては8月、久元喜造市長が危険な場合の実施見合わせを市教委に要請。市教委は今秋について中止にはせず、安全と判断した場合のみ行うよう各校に指示したが、その後もけがの報告が相次ぎ、久元市長が自身のツイッターで批判していた。

 今秋実施分が全て終了したため、市教委が状況をまとめた。秋に体育行事を開いたのは168校(小学校87校、中学校81校)で、組み体操を実施したのは92校(小学校65校、中学校27校)。事故はいずれも練習中に発生し、市教委がガイドラインで段数を制限しているピラミッド、タワーでの骨折者はいなかった。

 昨秋は130校が組み体操を実施して62件の病院受診報告があり、19件が骨折だった。市教委は減少の理由を「実施校が減ったことも要因」としている。

 今後、専門家の意見を基に、安全な体育活動のあり方について検証するという。(上杉順子)

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201910/0012769505.shtml

2019/09/19
組み体操/中止を含め考え直すとき

 小中学校の運動会の「花形種目」とされてきた組み体操で今年もけが人が出ている。実施するかどうかを含め、学校と教育委員会は指導法や安全管理のあり方を抜本的に見直すべきだ。

 神戸市教委によると、今年の春と秋の体育行事で組み体操を行ったか、行う予定のある市立小中学校は169校に上り、これまでに計34件の事故が起きている。

 間もなくピークを迎える秋の運動会では、練習中に4人が骨折した。久元喜造市長がツイッターに「私の権限外だが、もうやめるべき」と投稿して波紋を広げた。

 兵庫県内の他地域でも負傷者が出ており、県教委が全県調査を予定している。

 伝統的に兵庫は組み体操が盛んだ。事故も突出して多く、2015年度から3年連続で全国最悪となった。17年度は県内の小中学校で566件の事故が起き、169人が骨折した。

 「達成感や一体感が得られる」と組み体操を評価する教員は多い。しかし、子どもの安全が最優先されるべき教育活動で、これほど事故が相次ぐ事態は異常というほかない。

 しかも今年に入って、県教委や各市町教委は指導体制が整わなければ中止するよう学校に求めていた。

 見過ごせないのは、事故の多くが倒立や肩車といった2人で行う技で起きている点だ。

 四つんばいで積み重なる「ピラミッド」や肩の上に立って塔を作る「タワー」といった大技は、教委が段数を制限するなどして事故が減っている。

 倒立などは一見簡単に見えるかもしれない。だが専門家は「一定の筋力がないと危険で、各人に合わせた丁寧な指導が求められる」と指摘する。

 体力や体格は一人一人異なる。見栄えを重視し、同じ技を一斉に児童生徒にやらせることも事故の要因とされる。それこそ本末転倒だ。

 過労が指摘される教員の負担軽減の観点からも、議論を深める必要がある。

 体育行事の目的は、運動に親しむ態度や連帯感の育成にあり、見せ物ではない。学校も保護者も原点に立ち返り、中止も含めて考えるときだ。

https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201909/0012713008.shtml

「一体感が得られる」なら、教育委員会と教職員とPTAの面々が率先してまずやったらええねん。さぞいい学校になるでしょうよ。

てか、何これめっちゃ欲しいんですけど!
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http://birdwood.biz/katarogu/inuneko/nekonokumitaisou.html

むー。自分へのご褒美に一つ(それに値する何をしたと言うのか)。

日韓関係とは別のレベルの日韓関係を担う人々

中日新聞の滋賀版で連載されている記事だそうです。

滋賀県は県紙と呼べる新聞社がありませんので、これがいちばん地域密着型の新聞メディアだと思います。でも、その範囲でのみ読まれるにはもったいないですよこれ。

ここにあるのは、何と言ったらいいのかなあ、いわゆる日韓関係とは別のレベルの、顔が見える、顔を突き合わせた関係、とでも言えばいいのですかねえ。別のレベルにあるものなので、日韓関係改善の手段として動員することは難しい。ただ、別の見方をすれば、日韓関係がどうであれ、それとは単純に連動しない何ものか、だとも言えます。

なお、「光云大学校」と言えば「飛馬タイガー」です。異論はあってもいいですが、受け入れはしません。

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ryuisaka.tistory.com

2019年9月17日
誠信の交わり 隣国への思い(1) 学生から「反日」感じず
◆韓国に留学していた県立大生 市原萌果さん(21)

f:id:bluetears_osaka:20191008135332j:plain:right 八月まで一年間、ソウル市内の光云(クァンウン)大学に留学しました。日韓の政府間の対立が強まった時期で「一度や二度は嫌なことを言われるかな」と少し不安がありましたが、実際にはそんなことは全くなかった。むしろ、「政治的な対立は気にしないで」「留学に来てくれてありがとう。日本人のイメージが変わった」と気遣ってくれる友達が多かったです。

 韓国に興味を持ったのは中学生の時。少女時代など、K-POPアイドルの洗練された雰囲気や外国語も話せるかっこよさに惹(ひ)かれ、独学で韓国語の勉強を始めました。

 留学中は、日韓関係論など日本に関わる科目を受講し、領土問題や慰安婦問題などについても韓国の学生たちと一緒に学びました。学生は日本の政治には批判的な人が多いですが、日本のテレビで言われている「日本人が嫌い」「反日」というような感情は全くない。逆に漫画やドラマ、音楽など日本文化が人気で、簡単な日本語を話せる学生の多さにも驚きました。

 日韓は、漢字語を多く使う、年上を重んじる、情に厚いなど、文化的によく似ていて、分かり合えることが多いはず。今の歴史問題については、相手の立場に立って考えることが大事だと思います。日本では「日本が韓国の近代化を助けた」という主張もありますが、逆の立場でも本当に同じことを言えるのでしょうか。事情をよく知らずに「韓国がおかしい」と偏見で決め付けるのではなく、植民地支配をされた側の立場も考えて、両国が仲良くなってほしいです。(森田真奈子)

 ◇ 

 日韓の政府間関係が戦後最悪と言われる状況が続いている。近江出身で江戸時代の朝鮮との外交を支えた儒学者雨森芳洲(あめのもりほうしゅう)は、相手の歴史や文化などを理解し、尊重する「誠信の交わり」を説いた。渡来人による文化の伝達や朝鮮通信使の歴史など、朝鮮半島との縁が深い滋賀から、関係改善を願う市民らの思いを随時、紹介する。

https://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20190917/CK2019091702000300.html

2019年9月19日
誠信の交わり 隣国への思い(2) 平和の使節 温かく歓待
朝鮮通信使を研究 京都造形芸術大客員教授 仲尾宏さん(83)

f:id:bluetears_osaka:20191008135449j:plain:right 四十年以上にわたって朝鮮通信使の研究を続けています。江戸時代は鎖国ではなく、隣国と友好関係を築いていたのに、そうした歴史が学校教育で全く教えられていない驚きが、研究の原点でした。

 通信使が伝えるのは、江戸時代には、豊臣秀吉朝鮮出兵の反省から「近い国と対等な関係で、仲良くしないといけない。他国を侵略してはいけない」という外交方針が、徳川政権にあったということです。

 二〇一七年のユネスコ「世界の記憶」に朝鮮通信使に関する資料が登録された時には、日本側の学術委員長として資料の申請に携わりました。韓国側の学術委員たちと信頼関係に基づいて粘り強く議論を重ね、全三百三十三点の登録につなげました。

 通信使は、現在の守山、彦根市で宿泊、大津、近江八幡市で休憩し、地元の人と漢詩などを通して交流した記録が残っています。「世界の記憶」には雨森芳洲(あめのもりほうしゅう)の関連資料三十六点と、近江八幡市に残る通信使の詩書など二点、琵琶湖岸を歩く通信使の絵図一点が登録されました。

 県内の皆さんには、そうした資料を通して、異国の人々を平和の使節として温かく迎えた当時の雰囲気を味わってほしい。そして今こそ「争わず、偽らず、真実を以(もっ)って交わる」との通信使を支えた精神を思い出し、文化交流をしていくべきです。近く「世界の記憶」登録時の韓国側の学術委員と協力して、交流促進を呼び掛けるつもりです。(森田真奈子)

https://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20190919/CK2019091902000299.html

2019年9月21日
誠信の交わり 隣国への思い(3) 対話のきっかけにアートを
◆近代史をテーマに作品制作 成安造形大非常勤講師 井上裕加里さん(28)

f:id:bluetears_osaka:20191008135604j:plain:right 東アジアの近代史をテーマに映像や写真の現代アート作品を制作したり、日韓の若手アーティストによる交流展「韓日芸術通信」に出品したりしています。

 最近は、植民地期に結婚などで日本から朝鮮に渡り今でも韓国で暮らす女性と、逆に朝鮮から日本に渡り今も日本で暮らす女性の双方にお話を聞き、映像作品をつくりました。

 韓国の施設で暮らす九十七歳の日本人女性は、韓国では日本人として差別を受け、日本の実家からは「朝鮮人と結婚した」と非難され、どちらにも居場所がなかった。話を聞いた時には「今でも故郷に帰りたい」と泣きながら手を握られました。暴力的な近代史の中で痛みを負った人たちがいたことを作品を通じて提示できればと思っています。

 この九月にも、韓国・清州市で交流展に参加しました。日韓は空気を読んだり、相手を傷つけないように配慮したりとコミュニケーションの方法が似ているので、交流展をやっても、外国の人と展示をしているという感覚がない。一方で、似ているからこそ、話をしなくても分かり合えると思い過ぎている部分があり、そういう無意識が国レベルの衝突にもつながっている気がします。

 アートは非言語でお互いを知ることができ、対話のきっかけを作れると思っています。特に韓国はアートが社会に浸透していて、交流展には親子連れも多く見に来てくれました。草の根の交流を絶やさないことで、対話が深まってほしいです。(森田真奈子)

https://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20190921/CK2019092102000271.html

2019年9月25日
誠信の交わり 隣国への思い(4) 草の根交流 継続が大切
雨森芳洲庵元館長 平井茂彦さん(74)

f:id:bluetears_osaka:20191008135714j:plain:right 長浜市高月町出身で、江戸時代に対馬藩(現長崎県対馬市)で朝鮮国との外交実務を担った儒者雨森芳洲(あめのもりほうしゅう)の教えに「誠信の交わり」があります。藩主のために朝鮮国と付き合う心得をまとめた著書「交隣提醒(こうりんていせい)」にある言葉です。

 誠信とは「まことの心」。互いに欺かず、争わず、真実をもって交わることを指します。芳洲先生は二十代半ばで対馬に渡りました。本を書いたのは六十歳ごろ。長年の経験をもとにした言葉は説得力がありますが、現在の日韓関係では両国とも、この姿勢を失っているようで残念です。

 芳洲先生は、朝鮮国の使節が江戸を訪問する朝鮮通信使にも同行しました。朝鮮側の記録「海游録(かいゆうろく)」には、幕府と朝鮮国の板挟みになりながらも、友好のために奔走する芳洲先生の姿が記されています。

 外交実務者は大変でしょうが、通信使が送られた江戸時代の約二百年間、日朝間で大きな争いはなかった。芳洲先生は通訳として広く知られていますが、平和と友好に尽くしたことはまだまだ。今、その教えを学ぶべきではないでしょうか。

 七月に韓国の大学生二十五人が、地元の顕彰施設・雨森芳洲庵を訪ねてくれました。通信使の道のりをたどる巨大すごろくなどで盛り上がり、聞けば「日本と対立姿勢を取るのは一部の人だけ」と言います。国家間関係の良しあしにかかわらず、草の根の交流を続けるのが大切だと考えます。(川添智史)

https://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20190925/CK2019092502000296.html

2019年9月27日
誠信の交わり 隣国への思い(5) 当事者の声聞いて議論を
◆朝鮮近代史を研究 県立大准教授 河かおるさん(47)

f:id:bluetears_osaka:20191008135834j:plain:right 朝鮮近代史が専門で、植民地期の女性史や県内の在日韓国・朝鮮人の歴史を研究しています。

 徴用工問題をきっかけに深まる日韓の対立の背景には、冷戦体制の終焉(しゅうえん)があると思います。日本の「リベラル」陣営では、戦後日本が憲法九条を守り、平和だったという認識が強いですがその「平和」は誰の不幸と隣り合わせだったのでしょうか。冷戦の最前線で軍事基地となった韓国や沖縄の犠牲の上に、日本の「平和」は成り立っていました。

 今回問題になっている一九六五年の日韓請求権協定も、軍事独裁政権だった韓国と、冷戦体制の中で甘い汁を吸っていた日本の間に結ばれたもの。協定が絶対のように言われていますが、独裁政権の下で被害者の声が十分反映されなかった協定が、冷戦体制が終わった今なお本当に良いものなのか、根本的に見直すべきだと思います。

 昔の法秩序で救済されなかった人を、後から救済するのは普通にあること。最近では被害者中心の視点から、旧優生保護法の下で不妊手術を強制させられた人を救済する法律が成立しました。

 一方、徴用工問題では原告がどんな人でどんな不条理を訴えているのか、全く報道されていない。当事者の声を聞かずに法律論ばかり議論しています。

 特に県内では戦前、鉱山や琵琶湖内湖の干拓、セメント工場などで、多くの朝鮮人労働者が働かされました。今の暮らしが誰の犠牲の上に成り立っているのかを考え、不条理を訴える声に耳を傾けることが、関係改善に必要だと思います。(森田真奈子)

https://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20190927/CK2019092702000307.html

2019年10月1日
誠信の交わり 隣国への思い(6) 東アジアは運命共同体
◆渡来人歴史館館長 河炳俊さん(71)

f:id:bluetears_osaka:20191008140553j:plain:right 主に四~七世紀ごろに大陸から渡ってきた渡来人と、近江や日本との関係を紹介する渡来人歴史館(大津市)を二〇〇六年に開設し、館長を務めています。

 県内には朝鮮半島と共通した古墳の埋葬品が残るなど、古墳時代から近江と朝鮮のつながりは盛んでした。特に大勢の渡来人が近江に来たのは、六六〇年代に百済が滅亡した後。日野町の鬼室神社にまつられている鬼室集斯(しゅうし)をはじめ、蒲生郡には六六九年に百済の人々約七百人が移住した記録が残っています。鬼室集斯は大津京天智天皇に仕え、学識頭(ふみのつかさのかみ)として日本の官吏養成に努めました。

 ほかにも、石山寺大津市)を創建した良弁や金剛輪寺愛荘町)を開いた行基百済系といわれるなど、近江の仏教文化百済の影響を強く受けています。日本文化は独自に形成されたわけではなく、朝鮮半島などの知識や技術の影響を受けながら発達しました。

 最近は近代の不幸な歴史ばかりが注目され、両国がもめている。現状については、双方に問題があると思います。日本で慰安婦や徴用工の歴史を否定する人がいるのはおかしいし、韓国も一九六五年の請求権協定でしっかり対応しておけば今になって問題にならなかった。

 近代史の中で生まれた“渡来人”である在日コリアンは、日本を母国、韓国を祖国と思っていて、両国がパートナーであってほしいと願っています。温故知新の言葉の通り、良かった時代も悪かった時代も歴史を学び、東アジアは運命共同体だという思いを持ってほしいです。(森田真奈子)

https://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20191001/CK2019100102000299.html

2019年10月5日
誠信の交わり 隣国への思い(7) 相手の良いところを見て
◆県立高校などで韓国語を教える 洪歳熙さん(40)

f:id:bluetears_osaka:20191008140659j:plain:right ソウル出身で、大学で日本語を学んだ後、音楽活動をするため日本に渡りました。二〇〇四年から滋賀県に住み、学校や市民講座で韓国語を教えたり、通訳をしたりしています。

 三年前から韓国語の授業をしている県立高校では、高校生の韓国への関心の高まりを感じます。三年前は受講者が三十五人ぐらいでしたが、今年は八十人になりました。以前はK-POPや食文化に興味がある女の子が中心でしたが、今は男の子も多い。男子生徒の間では、韓国のダンスなどが人気。生徒たちは「韓国が好きなのに、なんで政治家はけんかしてるのか分からない」と困惑しています。

 身近なところで「嫌韓」を感じることはありませんが、日韓のメディアとも一部の極端な主張を大きく取り上げ対立をあおっていて残念です。韓国語には「易地思之(ヨクジサジ)(立場を変えて考える)」という言葉があります。メディアでは、現地で見たわけでもないのに、「韓国人は反日だ」などと悪い情報を広める人がいる。相手に逆のことをされたら、どんな気持ちになるでしょうか。

 植民地支配の歴史についても、韓国の立場では被害者としてなかなか忘れられることではないことを、理解してほしいです。子どもが一年間だけでもいじめられたら、一生傷つくのと同じことだと思います。

 日韓は二千年の付き合いの中で、百済時代から活発な交流がありました。関係が悪かった時代は百年もない。相手の良さを見つけるのは難しいけれど、弱点を見つけるのは簡単です。若い人たちが互いの良いところを見るようになれば、協力できる関係になると信じています。 (森田真奈子)

https://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20191005/CK2019100502000299.html

今のところはここまでですけど、まだ続いていくみたいですね。

青山学院大学で博士後期課程大学院生を助手として雇用する制度が発足

ああ、これはいい制度だと思います。給料がもらえることもさることながら、社会保険料や各種手当もつく教育職の労働者として扱われ、非常勤講師も可能だということで、教育歴・研究歴が両方つけられるわけです。若手研究者には職歴を積むスタート段階が一つの大きな壁になっているので、院生にとってこれはキャリア構築にものすごく助けとなるはずです。

もちろんそこから先は自分の研究成果を出して勝負をしていく必要があるんですが、そのスタートラインにたどり着くまでの支援策として、こうした制度は継続的に充実させていってもらいたいと思います。

2019年10月04日
青山学院大、院生40人を「助手」雇用の狙い
文系の研究者育成

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青山学院大の青山キャンパス(同大提供)

 青山学院大学は2020年度から博士後期課程学生の約40人を“院生助手”として雇用する新制度を始める。学部生の授業補佐に対して月給16万円で、履歴書に教育歴として記せるため就職時の後押しになる。同大は英米文学や史学など文系の研究職の志望者が多く、学生の研究費支援でも採択は文系が理系の2倍だ。学生を雇用する制度は研究大学の一部の理系であるが、同大は文系の若手研究者育成を意識して全学で実施する。

 新制度の対象は11学部の入学定員に合わせた分野別の枠で、計42人分を用意した。博士研究を優先しつつ、学部生の講義や実習、国際会議の運営など、修士学生によるティーチングアシスタント(TA)より高度な補佐業務を行う。指導教員の雑務対応にならないよう学部長が監督する。他大学の非常勤講師も可能で、合わせて研究職キャリア構築の後押しになる。

 大学は給与のほか社会保険料、超勤手当、通勤費手当(学割使用後の分)などに対応する。教員増となり、きめ細かな教育の指標となるST比(学生・教員比率)がよくなるメリットもある。

 今春からの博士後期課程1年生には、給付型奨学金の形で授業料免除を始めており、この対象外となっている学生を新制度で支援する。また19年度には大学院生(博士前期課程を含む)の国際学会発表の渡航費支援を開始。最大15万円、最大60人で進めている。

 一方、若手研究者向けの「アーリーイーグル研究支援制度」を17年度に開始しており、競争率約3倍と人気が高い。18年度予算は計1000万円で22件を採択。「助手・助教1人に年70万円」の支援は理系が多いが、「博士後期課程学生に25万円」のケースは、文系が理系の倍で採択されている。

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日刊工業新聞2019年10月3日

https://newswitch.jp/p/19491

小倉紀蔵による日韓関係本紹介

少し前の記事ですが。「洞察」が必要、ホンマそうです。

(ひもとく)日韓関係 「反」「親」より「知」こそ重要 小倉紀蔵
2019年9月14日05時00分

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日韓両政府後援の「日韓交流おまつり」の開会式で歌う日本人学校の子供たち=1日、ソウル

 漱石の『三四郎』ではないが、「日本は亡(ほろ)びるね」といいたくなる。ある週刊誌が品のない嫌韓特集をしたらしい。それをテレビのワイドショーが批判する。しかしその番組も韓国政界の重要人物を「タマネギ男」といって笑いものにしているのだ。テレビの床屋談議を何時間聴いても、韓国の深層はわからない。床屋談議だとわかってやっているならまだましだが、そこに安っぽい正義感が加わると危険だ。

 戦前の日本が中国との泥沼の戦争に突入した背景に、大衆の差別意識と正義感があったことを忘れてはならない。日本では20年前から、北朝鮮に対する揶揄(やゆ)と蔑視に満ちた床屋談議をテレビが連日繰り返し、北朝鮮がいまにも崩壊するかのような幻想を国民に与えた。そのあいだに北朝鮮は軍事力と外交力を高めていまに至ったことを、この国のマスメディアは忘却してしまったのか。

 ■深層から洞察を

 ここはいちど冷静になって、日韓を深層レベルで理解する必要がある。そのためには、「洞察」が必要なのである。たとえば公共哲学の理論家である韓国の金泰昌(キムテチャン)氏は、「いま韓国では、反日なら愛国、親日売国といわれる。しかしわたくしは、知日こそ愛国だといいたい」という。洞察である。「反」や「親」よりもまず、「知」が重要なのだ。それでなければ根源的な批判もできない。

 ここでは、日本論・韓国論・日韓関係論の三つに関して、洞察に溢(あふ)れた本を紹介する。

 まず日本論。韓国の李御寧(イーオリョン)による『「縮み」志向の日本人』が白眉(はくび)である。日本文化を貫通する「小さく縮めること」への偏愛と情熱を、流麗な筆致で分析しつくした本。日本には、「込める」「折畳(おりたた)む・握る・寄せる」「取る・削る」「詰める」「構える」「凝(こご)らせる」という六つの型ですべてを縮める文化があるという。外国人の書いた日本文化論の最高傑作だと思う。なぜ「韓国人による日本論」が重要なのか。西洋と日本、中国と日本の比較では、日本のことはわからない。韓国という媒介項を入れることによって、自他の像がくっきりと浮かび上がるのである。

 ■反省土台に未来

 次は韓国論。ロー・ダニエルによって書かれた『「地政心理」で語る半島と列島』が、近年のもっともすぐれた韓国論だ。手続き主義・機能主義が支配的である日本と、「こうあるべきだ」という当為主義が支配的な韓国の違い。規範・権威・欲望などへの態度が日韓でこれほどくっきりと違うのか、と読者は驚くだろう。この違いによって、政治・文化・社会だけでなく領土問題や歴史問題も明晰(めいせき)に分析している。政策立案にも役立つような内容だ。

 日韓関係に関しては、大沼保昭の『「歴史認識」とは何か』がおすすめである。江川紹子との対談の形式だから読みやすい。大沼は現場でたたかう東京大学法学部教授だった。20代で反入管闘争に没頭する。30代から戦後責任問題、サハリン残留朝鮮人問題、在日コリアンの人権問題(特に出入国管理行政)、そして慰安婦問題(アジア女性基金)に取り組む。こう書くと左翼のようだが、そうではない。人間は完璧ではない、不完全な存在であるという意識から歴史を考えよ、という彼の姿勢は、リベラルと保守を包摂する。

 左翼と保守にきれいに分かれてしまっている歴史認識において、わたしは、大沼と若宮啓文元朝日新聞主筆)こそ、日本の「真ん中の軸」であると信じて疑わない(だがふたりとも故人になってしまった)。それは「反省を土台にするが批判もし、未来をともにつくる」という、まったくど真ん中の軸なのである。この軸の重要性は、いくら強調してもしきれない。

 ◇おぐら・きぞう 京都大学教授(韓国哲学) 59年生まれ。著書に『韓国は一個の哲学である』『朝鮮思想全史』など。

https://digital.asahi.com/articles/DA3S14177368.html

三冊のうち、真ん中の一冊だけ未読でしたので、近いうちに読んでおくとしましょう。

「縮み」志向の日本人 (講談社学術文庫)

「縮み」志向の日本人 (講談社学術文庫)

「地政心理」で語る半島と列島

「地政心理」で語る半島と列島

せっかくですから、小倉さんや、本文には出てくる金泰昌さん・若宮啓文さんの本も貼っておくとしましょう。少しは何かの足しになることを期待しつつ。

朝鮮思想全史 (ちくま新書)

朝鮮思想全史 (ちくま新書)

ともに公共哲学する―日本での対話・共働・開新

ともに公共哲学する―日本での対話・共働・開新

戦後70年 保守のアジア観 (朝日選書)

戦後70年 保守のアジア観 (朝日選書)

内定式なんか有害無益、やめてしまえ。

あっちこっちで企業がやらかしてる「内定式」とかいうイベントの話ですね。

卒業を控えた学生の貴重な時間とエネルギーを浪費する以外に、何か意味あります?そもそもどこか何かの役に立ってます?

てか、まだ入社もしてない人たちの時間を、何の権限があって取り上げてるんですか?

ま、東京海上日動日本生命三井物産三井住友銀行JR東日本は、とりあえず今のところ「そういうこと」をやってる企業なんですね。ふーん。へー。なるほどー。

全日空パナソニックとは区別して、覚えておきましょう。

来春入社の新社会人が内定式 取りやめる企業も
2019/10/1 11:28 日本経済新聞 電子版

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内定式に臨む東京海上日動火災保険の内定者(1日午前、東京都千代田区

国内主要企業が1日、2020年春入社予定の学生らを集めて一斉に内定式を開いた。各社は新卒一括採用での就職活動を乗り越えた学生にエールを送った。一方、内定式は形式的なイベントにすぎないと考える企業では見直しが進んでいて、一部では内定式の開催自体を取りやめる動きも出ている。

東京海上日動火災保険は1日午前、東京・丸の内の本社で約300人の内定者を集めて内定式を開いた。守山聡人事企画部長は「問題意識を持ち、自ら考え行動する真の挑戦者になってほしい」と話した。参加した私大4年の女子学生は「成長の機会を逃さずキャリアアップしていきたい」と意気込みを語った。

日本生命保険も都内で内定式を開き、総合職など約330人の内定者が参加した。中村吉隆人事部長は「令和という新たな時代に日本生命を担う皆さんの内定を心よりお祝いします」と歓迎した。午後には別途、法人担当職の約500人の内定式を予定する。

三井物産では約130人の内定者が出席。藤原弘達専務は「来春内定者は入社まで半年ある。残りの日々を学生の集大成にあて、健康や安全に十分注意して過ごしてほしい」と学生を気遣った。

そのほか午後には三井住友銀行JR東日本などが内定式を開く予定。

選考解禁日などの就活ルールは形骸化が進んでいるほか、通年採用を導入する企業も増えている。内定式は形式的なイベントにすぎないと考え、取りやめる企業も多い。

全日本空輸は今年から内定式の開催を取りやめた。「国内外様々なところから、内定式のためだけに集まってもらうのは学生の負担が大きいと考えた」(同社)という。

パナソニックは内定式を開かない代わりに、内定者向けのサイトに採用担当者からのメッセージを載せる。さらに10月から3月までサイトを通じ「オンラインワークショップ」を実施する。

例えば「入社して何を実現したいか」などといったテーマで内定者に作文してもらう。回答内容を匿名で共有するなど、2カ月に一度の頻度で会社や内定者がつながりを感じられるよう発信するという。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50428020R01C19A0000000/

三田市と神姫バスの通学問題

神戸新聞のこの一連の報道、三田だけで起きている話ではないはずなんですが、今回、三田市役所と神姫バスの連絡ミスや連係ミスが問題になって詳細が広く伝えられたんですね。ちょっと興味深いケースです。

それにしても、こういうバスって、通学利用がけっこうな割合を占めると思うんです。学校の行事日程と合わせるとかって発想は、神姫バス側になかったんでしょうかね…。ここはもともとの便が少なすぎて設定できないかもしれませんけど、夏休みや冬休みその他の学校休みの日に「学休ダイヤ」を設定したりすることも、路線バスなら少なくないと思うんですよ。兵庫県内の広大な地域でバスを走らせている神姫バスなら、そのノウハウはあるはずです。

利用者数減を食い止めるためには、たとえ増便が難しくて減便やむなしであっても、地域ニーズに最大限配慮したダイヤ編成を、神姫バス自身が模索すべきでしょう。最後の本庄小学校の場合のように、やればできるは魔法の合言葉なんですから。現場の声、大事です。

ちなみに、「波豆川」は「はずがわ」と読むんですねえ。今回調べて初めて知りました。検索したらコスモスの風景がいっぱい出てきます。


2019/9/25 05:30 神戸新聞NEXT
バス減便で中学生困惑 始業1時間前着く便しか…

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現行と10月以降の時刻表を掲示したバス停の標識。「減便」の文字は一切ない=三田市波豆川

 兵庫県三田市立上野台中学校の生徒が通学で利用する路線バスが10月1日から減便され、波豆川地区の生徒が午前6時54分の始発で登校するしかなくなることが分かった。生徒は管理責任者不在のまま始業まで約1時間を過ごすことになるが、市教育委員会は今月18日まで減便を把握しておらず、安全面への対応を打ち出せていない。市役所内での情報共有ミスが原因といい、地元では不安の声が上がっている。(高見雄樹)

 10月の減便とダイヤ変更について、神姫バスは6月、計画を市交通まちづくり課に連絡した。従来は減便やダイヤ変更が決まってからの連絡が多かったため、同課は「決定してから市教委や学校に連絡するつもりだった」と弁明する。神姫バスが今月、バス停に10月からの時刻表を掲示すると、地域に混乱が広がった。

 減便となるのは、波豆川と三田駅を結ぶ路線のうち、午前7時14分に波豆川を出発する便。10月1日以降は1日6便(三田駅発は7便)となり、波豆川地区に住む生徒5人は6時54分の始発に乗る必要がある。

 到着は7時20分ごろ。生徒は朝練習がある部活の顧問がいる場合を除き、管理責任者が不在のまま約1時間を過ごすことになる。

 同校は市内の8中学校で唯一、生徒が路線バスで通学している。校区内に狭い峠道が多いためだが、最近はバスの減便や時刻変更で、教育カリキュラムに影響が出ているという。

 2018年度には小野、乙原方面の出発時刻が5分早くなり、給食時間が5分短縮された。今年10月以降は小柿方面への出発が15分繰り上がるため、部活動の時間が確保できなくなる。

 減便について波豆川区長の今西庸市さん(49)は「企業の決定なので仕方がない」としつつ「事前に電話ででも知らせてくれたら地域で善後策を協議できたのに」と憤る。神姫バス計画課は「市内の路線は、ニュータウンの黒字を農村部の赤字解消に充ててきたが、利用減で仕組みが維持できなくなってきた」と説明。その上で「地域の思いを受け止め、丁寧に説明すべきだった」と陳謝した。

 市教委の外岡明文次長は「地元の関係者と協議を進めており、生徒や保護者に過度な負担を強いないような方策を示す」と話した。

 市は赤字路線の運行維持費として神姫バスに年間約5千万円、通学定期の購入補助として保護者に同約1500万円を助成している。

https://www.kobe-np.co.jp/news/sanda/201909/0012730233.shtml

2019/9/25 21:40 神戸新聞NEXT
三田市の通学バス減便問題 メール返信せず放置、市教委や地元に知らされず

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三田市役所

 兵庫県三田市役所内の情報共有ミスから、市立上野台中学校の通学バス減便を市教育委員会が把握していなかった問題で、市交通まちづくり課が今年6月、神姫バスから三田駅-波豆川線の減便案を聞いた後、同社から届いた修正案のメールに返信せず、放置していたことが分かった。また昨年秋、別路線を減便するという同社からの連絡が遅れ、市教委が対応に苦慮していたことも明らかになった。(高見雄樹)

 25日に急きょ開かれた市議会福祉教育・生活地域常任委員会で、市の久高輝之まちの再生部長は「生徒の通学路線という認識が不足し、通常のダイヤ改正と同じだと思っていた。多くの方に迷惑をかけ、反省するしかない」と陳謝した。

 同課によると、神姫バスからのメールは7月17日、同課副課長の個人アドレスに「バス路線につきまして」という題で送信された。10月1日に減便する波豆川線以外の路線情報も入っていたという。久高部長は「中身を見たが返信していなかった。何らかの返信はすべきだった」と答弁した。

 その後、減便の情報は市教委や地元に知らされず、9月17日に同社が新ダイヤの時刻表をバス停に掲示。それを見た住民からの連絡で初めて市教委が知った。

 市は今月30日までに、減便の影響を最小限に抑える方策を示すとしている。

 一方、昨年10月には、同校の生徒が下校時に利用する母子行きの最終バスが、手前の乙原止まりに変更された。母子地区の生徒4人はバスで帰る手段を失った。この連絡が神姫バスから市にあったのは約1カ月前。市教委が急いで対応を検討し、タクシーでの乗り合いに市が補助するなどの臨時措置を決めた。

 岡崎正文学校教育部長は「昨年の母子、今年の波豆川ともに急な減便の連絡で、もっと早く分かっていれば対応策があった」とし、「神姫バスとは学期ごとに情報交換をしているが、この件については教えてもらえず、抗議した」と述べた。

https://www.kobe-np.co.jp/news/sanda/201909/0012733640.shtml

2019/10/1 05:30 神戸新聞NEXT
異例…タクシーと公用車で通学支援 バス減便悩む中学生 三田

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生徒を乗せたタクシーが小柿発の神姫バスと接続する木器バス停=三田市木器(撮影・門田晋一)

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神戸新聞NEXT

 兵庫県三田市立上野台中学校の通学バスが10月1日から減便し一部生徒が始発で通学するしかなくなる問題で、市は減便の影響が出る波豆川-木器間で同日からタクシー2台と市の公用車を運行させる。市が30日発表した。対象の生徒は14人に上り、こうした対応は市内では初めて。期限は決めず、神姫バスのダイヤ変更などで問題が解決するまで続ける。(高見雄樹)

 同日から減便されるのは、波豆川口バス停を午前7時16分に出る三田駅行きの路線バス。生徒が通学するには同6時56分発の始発に乗り、学校で1時間近く待つことになる。

 そこで市は、小柿発三田駅行きのバスと接続する木器バス停までの3・1キロに、タクシーを投入することを決めた。利用するのは波豆川の5人と木器の9人。同7時40分に波豆川口を出て同46分に木器に着く。

 市内のタクシー事業者が協力して4人乗り2台を確保したほか、10人乗りの公用車を市職員が運転する。木器からはバスに乗車して通学する。

 市は神姫バスにダイヤの見直しなどを求めているが、バス運転手の不足などから通勤・通学時間帯の運行ダイヤには厳しい制約があるという。

 市の担当者は「タクシー運行の期限は決めていないが、できるだけ早く、安全な通学手段を確保できるよう、地域や保護者、神姫バスと協議していきたい」とする。

 減便されたバスで通学していた生徒の保護者は「1週間ほどの短い期間に、よく対応してもらえて感謝している。今後、木器でのバス乗り換えが必要になるなら、周辺の交通安全対策にも配慮してほしい」と話していた。

https://www.kobe-np.co.jp/news/sanda/201910/0012748357.shtml

2019/10/1 05:30 神戸新聞NEXT
バス減便、ダイヤ変更予告なく 三田・本庄小、一時的に授業短縮

 兵庫県三田市教育委員会は30日、本庄小学校の児童が通学で利用するバス路線のダイヤが予告なく変更されたため、10月1日から同校の授業スケジュールを一時的に短縮すると明らかにした。神姫バスからの事前連絡はなく、9月17日にダイヤ変更を知った住民からの指摘で初めて知った。

 午後2時33分に同小発の路線バス(33系統)が、10月1日から同2時13分発と20分繰り上がる。全校が一斉下校する月・金曜日の掃除と集会を取りやめる。

 市が同社に再考を求めたところ、10月21日からダイヤを10分繰り下げ、同2時23分発に再変更することにした。市によると、国に届け出た運行ダイヤを短期間で改めるのは異例という。(高見雄樹)

https://www.kobe-np.co.jp/news/sanda/201910/0012748355.shtml

高槻が生んだスター・織田信成と関西大学との確執

関大アイススケート部監督退任のニュースは何となく小耳にはさんでいましたけど、こんなことがあったとは。

ameblo.jp
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で、何があったのか。今のところ、出てきている文書を通して推測することしかできませんが、「双方の合意が取れていない何か」があったことだけは確実なようです。その立場でこんな文章、軽々しく書けないですよ。

2019.09.30
織田信成氏 監督辞任は「モラハラ行為で体調を崩すように」関大に真っ向反論

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織田信成

 プロスケーターの織田信成氏が29日、ブログを更新し、関西大アイススケート部監督を退任したことについて、「多忙」を理由と報道されたことを否定し「リンク内で私に対して嫌がらせやモラハラ行為があり、その影響で今年春頃から体調を崩すようになった」などと記した。

 関大は9日に、織田氏アイススケート部の監督退任を発表。その際に「(多忙で)監督としての時間が十分に取れない」と申し出があったと説明していた。

 だが織田はこれに真っ向反論。「関西大学アイススケート部監督辞任について、一部事実とは異なる報道がありましたので、自分の口から説明させてください」と切り出した。

 そして「多忙を理由に監督を辞任したわけではなく、また関西大学との話し合いの場で『多忙で監督として十分な時間が取れない』とは一言も話していません」とした。

 そして辞めた本当の理由として「リンク内で私に対して嫌がらせやモラハラ行為があり、その影響で今年春頃から体調を崩すようになり、辞任するまでの3カ月間リンクに行く事が出来なくなった事と、それに対する関西大学の対応が誠意あるものに思えなかったからです」と説明した。

 7月には弁護士も交えて関大側と話し合い、関大側が調べて報告するとなったというが、「そこから2カ月待ちましたが、誰がどのように調べているのか分からず、また結果報告もありませんでした」という。報告を待っている間も、選手達を思い、「なんとかリンクに戻れる環境にしてくれないか」と訴えたと言うが、何も変わらず、「半ば諦めた気持ちで監督の職を辞する決意を致しました」とつづった。

 関大側が引き留めたという報道に対しても「そのような事はない」と否定。最後に学長にあいさつしたいと求めたというがそれもかなわなかったという。

 「この件について公表する予定はありませんでしたが、辞任してから事実とは違う内容が関西大学側から発表され、精神的に耐えられず、今回自分の口で説明する事となりました」と苦渋の決断を強調。「途中で職務を投げ出す形になり、本当に申し訳なく思っている」と謝罪すると同時に、「人前で笑う事がつらく感じることもあった」と正直な心情も吐露。

 だが「指導者としての夢はまだ諦めていないので、オファーがあれば何処へでも行って指導できればと思います」と指導者としての意欲は失っていなかった。

https://www.daily.co.jp/general/2019/09/30/0012746735.shtml

2019.09.30
織田信成氏のモラハラ退任、関大は「事実関係を確認中」

 プロフィギュアスケーター織田信成氏が29日、ブログを更新し、関大アイススケート部監督を退任した理由について、モラハラによる体調不良と明かしたことに波紋が広がっている。関大側はデイリースポーツの取材に対し事実関係を確認中とした。

 関大は9日に、織田氏の退任を発表。その時の文書には「2017年4月の着任以降、後進の育成に多大なるお力添えをいただきました。大変残念ではありますが、今後も、本学フィギュアスケート関係でご指導、ご鞭撻を賜る機会があることと存じます。心から感謝を申し上げますとともに、益々のご活躍を祈念いたします」と記されていた。

 後任については「未定」としており、文書の中には退任の理由は記されていなかった。だが、関大は当時、デイリースポーツの取材に対し、多忙な生活のため、監督として選手と接する時間が確保しづらいとして織田氏自身が春頃から悩んでいたとし、大学側としては引き続き指導の依頼をしていたが、織田氏が退任という結論を選んだと説明している。

 関大側は30日、デイリースポーツの取材に対し、事実関係を「確認中」と繰り返した。退任発表時は多忙と説明したことについても「確認中」としている。

 織田氏は29日に更新したブログで、関大のアイススケート部監督退任について、多忙が理由とされていることに真っ向反論。「リンク内で私に対して嫌がらせやモラハラ行為があり、その影響で今年春頃から体調を崩すようになった」として、「多忙を理由に監督を辞任したわけではなく、また関西大学との話し合いの場で『多忙で監督として十分な時間が取れない』とは一言も話していません」と説明している。

https://www.daily.co.jp/general/2019/09/30/0012747068.shtml

2019.09.30
関大 織田信成氏告発に反論文書【全文】「指導法巡り意見相違」「辞任申し出あった」

 プロフィギュアスケーター織田信成氏が29日付ブログで、今月9日に発表された自身の関大アイススケート部監督退任の理由について、「リンク内で私に対して嫌がらせやモラハラ行為があり、その影響で今年春頃から体調を崩すようになった」と訴え、多忙による退任としている大学側の説明を否定した。体調を崩し3カ月、リンクに行くことができなかったとし、大学側の対応を「誠意あるものに思えなかった」とした。これに対し、関大側は30日夕方、反論の文書を公表した。

 【以下、全文】

 「織田信成さんのブログでの発信について」

 9月9日付プレスリリースした本学体育会アイススケート部前監督兼コーチである織田信成さんの退任報道(文末ご参照)について、今般、織田信成さん自身のブログにおいて発信がありました。織田信成さんに対しては、監督就任以来2年余り、後進の育成にご尽力いただき、本学関係者一同大変感謝しております。本学としては織田信成さんの事情を踏まえて慎重に対応してきたつもりですが、ご本人の理解を十分に得られなかったことは大変残念であります。

 さて、本年4月以降、織田信成さんに関係して、指導方法をめぐって同部内で意見の相違があったことは認識しています。その後、織田信成さんからは、本年7月1日に学長に対して所属事務所、弁護士が同席のもと、指導方法等に関する強い要望がありました。

 そこで、織田信成さんのご意見もお伺いし、その内容に基づき、時間をかけて複数の関係者に対してヒアリングを行ってまいりましたが、総合的にみてその要望を受け入れることは妥当ではないと判断しました。

 織田信成さんのご体調も考慮しつつ、こうした結果を織田信成さんにお伝えすべく、慎重に準備を進めておりましたところ、先に織田信成さんから辞任のお申し出があり、やむなく本学として了承することとなりました。

 なお、9月9日の退任の報道にあたっては所属事務所と十分に協議の上、発表しておりますことを申し添えます。

 本学としてはこれからもご本人や所属事務所と話し合いを続ける用意があり、真摯に対応してまいりたいと考えております。引き続き、学生ファーストをモットーに、練習環境の向上に努めて参ります。

https://www.daily.co.jp/general/2019/09/30/0012747535.shtml

【仁川の風景】2019年8月末のイエローハウス

清州の後は仁川です。

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今度来る時には、解体されていると思ったんだけどなあ、仁川駅前のこの建物。

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blue-black-osaka.hatenablog.com

ま、まだ開通もしてないものにはさして興味はないので、水仁線で移動します。崇義駅。イエローハウス前です。

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「青少年通行禁止区域」の看板は変わらずに立っていますけど、振り返るとこれです。

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あー、エリア内の建物はすでにだいぶ撤去されてしまってますねえ。端の方の建物はまだ残っているところもあって人気もあるところにはあるんですが、真ん中へんはダメです。更地か瓦礫か廃墟です。

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このアパート工事現場は、「青少年通行禁止区域」に接した北側に当たります。前は町工場みたいなのがあったような気がします。

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ぐるっと回りこんで、改めてエリア内に足を踏み入れてみます。

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私が初めてイエローハウスに来た当時でも、もうかなり斜陽な感じではありましたけど、まだ現役感は残っていました。

blue-black-osaka.hatenablog.com

それが今はこうです。

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話には聞いていたことなのですが、抵抗はありつつも抗いがたい波が押し寄せたこの場所に実際に立ってみると、「もうすでに終わってしまっている」といった無力感が迫ってきます。

そんな中で、「ここにしか居場所のない人」を追って、中央日報・チェウンギョン記者の「イエローハウス悲歌」の連載はまだ続いています。

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10月からの駅名変更、改悪でわかりにくく、関西が混乱

この共同の記事を読んで何がどう「分かりやすく」なるのか、説明できる人います?

関西の10駅名、10月から変更
利用者に分かりやすく
2019/9/24 16:40 (JST) ©一般社団法人共同通信社

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阪急電鉄阪神電鉄(左)の駅名看板。「大阪梅田駅」に更新される=大阪市

 京都、大阪、兵庫の3府県の私鉄やモノレールの計10の駅名が10月1日に一斉に変更される。広く知られている地名や最寄りの大学名などを冠し、観光客や関西以外の人にも分かりやすくする狙いだ。各社とも同日からの消費税増税による運賃表やシステム更新のタイミングに合わせた。

 阪急電鉄阪神電鉄は大阪の中心部にあるそれぞれの梅田駅を「大阪梅田」駅に変える。両駅は大阪市北区の中心部にあり、地下街などで大阪メトロの梅田駅やJR大阪駅とつながる。これらは大きなターミナルを形成して外国人を含む多くの観光客が利用しているが「梅田は大阪にあるのか」といった声が寄せられていた。

https://this.kiji.is/549131791134655585?c=39546741839462401

唐突ですが、ここで問題です。

1.「大阪梅田」「大阪難波」「大阪阿部野橋」「大阪上本町」「大阪ビジネスパーク」「大阪港」のうち、「大阪」駅と直結する駅はどれか。地理的な予備知識はないものとして、駅名表示のみを見て答えなさい。

2.①「大阪」「大阪梅田」「梅田」「東梅田」「西梅田」「北新地」と、②「大阪」「梅田」「東梅田」「西梅田」「北新地」のうち、より「分かりやすい」と思われるものを選びなさい。

阪急阪神の両電鉄は、「神戸三宮」改称の時からなぜか三宮・梅田・河原町の駅名変更に執念を燃やしてきましたが、私には理解不能です。もともとの地名を差し置いて、「京都」「大阪」「神戸」と言いたいだけとちゃうんかと、推測するくらいですねえ。

関西で増加「都市名+駅名」への変更…梅田と河原町も改称へ
2019/07/30 15:11

 阪急電鉄阪神電鉄は30日、大阪の玄関口・梅田の駅名を10月から「大阪梅田」に変更すると発表した。外国人観光客が急増する中、大阪の中心部に位置することをわかりやすく示す狙いがある。阪急電鉄は京都側の始発駅・河原町も「京都河原町」に改める。

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 阪急梅田駅は主要3路線(神戸、宝塚、京都)の発着駅で、JR大阪駅と接続する西日本最大のターミナル。1日平均の乗降客数は約50万8000人。阪神梅田駅も1日約16万8000人が利用する。

 外国人観光客から「駅がどこにあるのか、わかりにくい」との声もあり、これまでも車内放送で駅名に大阪をつけて案内していた。

 また阪急電鉄は、宝塚線の石橋(大阪府池田市)を「石橋阪大前」、阪神電鉄阪神本線の鳴尾(兵庫県西宮市)を「鳴尾・武庫川女子大前」に変更することも発表した。

 関西では、どこにある駅かを観光客らにわかりやすくするため、駅名に都市名を付ける例が増えている。近鉄は2009年、近鉄難波を「大阪難波」に変更。13年に阪急三宮が「神戸三宮」、14年に阪神三宮も「神戸三宮」となった。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20190730-OYT1T50162/

「選択と集中」で没落する日本の大学

ま、そうでしょうよ。これまでにもさんざん言われてることですし。

日経さんもそろそろいい加減、安定した雇用や環境を確保する人件費の維持が問題の核心であることを理解してもええんやないですか?*1このままだと今後も順調に沈んでいくだろうことも、予想できますよね。

あとは資源の配分の優先順位に関わる政治の問題ですが、現状ではこの分野の改善はほぼ期待できません。残念ながら。

日本の研究力を損ねた「選択と集中
科学記者の目 編集委員 滝順一
コラム(テクノロジー) 科学&新技術
2019/9/24 2:00日本経済新聞 電子版

日本の大学の研究力低下が深刻だ。鈴鹿医療科学大学の豊田長康学長は詳細なデータ分析に基づき研究力低下の主因は、研究に費やせる時間の長さを勘案した「フルタイム換算の研究者数」であると指摘。研究者が思う存分研究に専念できる環境をつくることこそが世界との研究力競争に勝ち抜く道だと主張する。

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豊田長康・鈴鹿医療科学大学学長

――論文数の減少など日本の大学の研究力低下が指摘されます。どこに原因があるとみますか。

「大学の公的研究費が停滞している。とくに国立大学は2004年の法人化以降、大学運営の基盤的な資金である運営費交付金が削減されてきた。多くの大学で人件費を抑制、教職員の数を減らした結果、研究機能にダメージを与えた。学生教育の負担が減らないなか教職員数を減らすと、研究に充てる時間が減る。思う存分研究ができる時間や環境が損なわれた」

「政府は運営費交付金を減らす代わりに競争的資金を増やし『選択と集中』の考え方に基づく再配分を進めてきた。『選択と集中』はもろ刃の剣で、東京大学京都大学などでは研究力が維持されたかもしれないが、日本全体では研究機能が低下した」

――論文数などの指標に基づき研究資金を傾斜配分すれば全体の研究機能が高まるというのが政府の考え方です。

「そうした説明はもっともらしく聞こえるが、実際の研究力は(資金だけでなく)研究環境に大きく依存する。もともと大学によって研究環境に差があり、地方大学は東大や京大に比べて恵まれない。傾斜配分は、恵まれない環境で頑張っている研究者の芽をつみ、格差を広げ、日本全体の研究力を損なう」

「私の分析では論文数の多寡と相関が高いのは、フルタイム換算の研究者数だ。これは研究者がどれくらい研究に時間を費やしているかという指標で、研究者の頭数に比べて論文数との相関が高い。フルタイム換算の研究者数が減っていることが論文数だけでなく論文の質の低下にもつながっている。

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――世界をリードするような研究にも陰りがみえるとされます。

「学術情報サービス会社のクラリベイト・アナリティクス社は高被引用論文著者(HCR)を毎年発表している。他の研究者によってたびたび引用される影響力の大きな論文を数多く発表している優れた研究者をそう呼ぶ。14年時点でHCRは世界に3214人おり、18年には約25%増えて4058人になった。ところが日本のHCRは99人から65人に減った。欧米や中国、韓国、サウジアラビアなど世界の他の国はどこも増えているのに、日本だけが減っている。非常に深刻な事態だ」

「これは単に日本全体の論文数が減っているだけではなく、オリジナリティーの高い質のよい論文が出にくくなっていることを示している。研究以外のことで忙しいと、いいアイデアを思いついても完成度の高い論文に練り上げていくことが難しくなる。様々な仕事に忙殺されているうちにだれかに先を越されたらオリジナリティーは主張できなくなるので、(手早く論文を出し)完成度を追求することが困難になる」

――数値目標の設定に問題があるのでしょうか。

「目標を設定すること自体に問題があるのではない。問題は目標の使い方だ。目標達成のため努力を促すインセンティブを与えるようなポジティブな使い方ならいい。しかし目標を満足できなければ組織の死活に関わるような使い方をすると、組織は何としても目標に掲げられた数値だけを達成しようと必死になる。その結果、数値目標が独り歩きしてしまい能力を真に高めることにつながらない。海外でも事例があり、例えばオーストラリアで論文数を指標にして資金を配分した結果、数を増やそうとして質の悪い論文でもどんどん発表する事態になり、結局その仕組みを廃止したという」

「論文数や(質の指標とされる)論文の被引用回数といった指標では測れない能力もある。とりわけ社会・文化系の研究はそうした指標による評価は困難だ。学術の評価は最終的にはノーベル賞のようにピアレビュー(同分野の専門家による評価)に基づき、定量的な指標は参考にする程度にとどめるべきだ」

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――詰まるところ、研究力の向上には、フルタイム換算での研究者数を増やすのがよいと言えますか。

「欧米も中国、韓国も研究規模を拡大している。海外との差を縮めるには研究者の数を増やし思う存分研究できる環境をつくる以外の方法はない。研究資金や設備だけを増やすのはだめで、研究者の数とバランスがとれた形で増やすことだ。韓国やドイツに追いつくためにはフルタイム換算での研究者数を1.5倍~2倍に増やす必要がある」

■取材を終えて
 米国の歴史学者、ジェリー・Z・ミュラー教授による「測りすぎ」(原題はThe Tyranny of Metrics)という本がある。組織のパフォーマンス評価のため数値目標を掲げた結果、有害な影響が生じることが、学校や病院、警察など様々な職場における多くの実例で示されている。医師が自らの治療成績を高く維持するためリスクの大きな手術に手を出さないという事態が米国ではあるようだ。
 数値目標が内包する課題のひとつは、組織や個人のパフォーマンスを測るうえで目標数値が正しい評価指標であるとは限らない点だ。手術の成功率がよい医師であることの指標とは必ずしも言えない場合がある。論文の被引用回数が研究の質を保証しないこともある。本当に知りたいことを測るため、簡単に「測れる」指標をとりあえず代用しているにすぎない場合が多い。
 評価の参考のひとつであれば問題はないのだろうが、豊田さんが指摘するように組織や個人の死命を制する指標として広く使われ出すと、数値目標が独り歩きしパフォーマンスをゆがめ悪影響ばかりが生ずる。
 日本の科学技術予算配分をめぐっても、大学と政府の非難合戦にとらわれず、「測りすぎ」の問題を冷静に議論する場が必要ではないだろうか。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49938430Y9A910C1000000/

*1:最後の感想文ではそこを逃げてますけどね。