原州は熱かった

引き続きソルラル休みの今日、원주(原州)に行ってきた。もちろん言うまでもなく、原州東部プロミの本拠地である江原道の都市である。
一昨日、初めてKBLの試合を観たものの、今ひとつすっきりしないものが残った。まだまだ韓国プロバスケの何たるかを、私は観れていないのではないか。何よりも、KBLチャンピオンである原州東部プロミのふがいない試合だけを観ても、どうにも寝覚めが悪い。
そこで今日、原州でプロミのホームゲームがあるのを確認し、調べてみるとバスターミナルから会場の体育館までそれほど遠くないという情報もあった。

원주 터미널에서 치악체육관 가는 길과 터미널 근처 찜질방 가보신분..

そこで、「ではいっちょ行ってみるか」とばかりに、東ソウルバスターミナルから原州行きの市外バスに乗ったのである。東ソウルから原州までは6800ウォン。所要時間は約1時間半。

原州の市外バスターミナルに着いて、「さて体育館はどっちだ」と交通整理の警察官に聞いてみると、「ここから歩くのは遠いよ」と言われる。ターミナルから体育館は歩いて1キロぐらいだと聞いていたのに、なんでやねん。
しかし、再度確認してみてもやはり歩くのはちょっと無理らしい。その人は「バスに乗ったほうがいいよ」とバス停を教えてくれたが、路線案内が(ハイテクなのだけど)どうも不親切で、いくら見ても体育館に行くのか行かないのかよくわからない。仕方ないのでタクシーに乗ることにする。
バスターミナル前のタクシー乗り場から試合会場の総合運動場・雉岳体育館までは10分ちょっと、料金にして3400ウォンであった。

あとで知ったのだが、原州は現在、市外バスターミナルと高速バスターミナルが別々の場所にあって、上記のNAVERの지식Q&Aにあった情報は、高速バスターミナルからのアクセス情報だったのである*1

上記は高速バスターミナル前の案内図の拡大写真だが、中央の赤丸の中にあるのが高速バスターミナルである。右斜め下に野球場・陸上競技場と並んで치악체육관(雉岳体育館)の文字が見える。市外バスターミナルはと言えば、上方中央、鉄道の線路を越えたところに赤字で示してある*2
さて、ソウルSKナイツを迎えての今日の原州東部プロミのホームゲームだったのであるが。


ハコはこんな感じである。一昨日行った安養よりも二回りくらい小さい。原州は江原道の地方都市であるから、まあこんなもんであろう。
しかし、その会場が、試合が始まる頃には9割以上の座席が埋まり、最終的にはほぼ完全に満員となる*3



会場が一体となった応援ぶりは安養の時にも感じたが、原州は会場に満ち溢れる熱気の密度がワンランク違う。圧倒されるというより飲み込まれるように、一緒になって原州東部を応援する。楽しい。この一体感には魅せられる。
とは言っても、前半でSKにかなりのリードを許してしまい、疫病神の汚名を着せられても申し開きができない状況に追い込まれたのだが、前半終了直前から東部が追い上げを開始し、後半一気に逆転して逃げ切った。

ああよかった。原州まで来て、頭を下げて謝って回る必要がなくなって…。
むろん、会場の盛り上がりは、この痛快な逆転勝ちのおかげでもあっただろう。けれども、この感覚をいちど経験したら、たとえ一度や二度負けたところで、次の勝利を願って会場に足を運びたくなる。
しかもこのチームは、3度のリーグ優勝を誇り、V4を目指して首位をひた走る、文字通りの「최강동부(最強東部)」なのだ。
原州市民に親しまれるこのチームのあり方には、日本のバスケットボールが学ぶべきことが実に多く含まれている。
また観に行きたいなぁ…。

2008年(平成20年)10月3日(金)
原州に学べ!大阪エヴェッサ“生の声”(バスケット)

 スポーツ観戦における観客の熱狂ぶりは、その競技をさらに盛り上げてくれることを再認識させられた。先日、日韓のプロバスケットボールリーグ、bjリーグとKBL各王者によるホーム&アウェーの王座決定戦が、大阪と韓国・原州(ウォンジュ)であった。ともに大阪エヴェッサの完敗に終わった試合以上に、ブースター(応援団)の盛り上がりで見劣っていたのには歴史の差を感じた。

 1997年に創設されたKBLは野球、サッカーと並ぶ韓国3大プロスポーツ。最高俸の選手は7000万円とそれほど高額ではないものの、全10チームの選手平均年俸は2500万円とNo.1である。一方、今季で4年目を迎えるbjは、サラリーキャップのため各チームに年俸総額の制限があり、大阪は11選手で7000万円強と、まだまだ夢の世界とは言えないのが実情だ。

 原州はソウル市内から東へ車で2時間の地方都市。KBLの中では一番“田舎”とされるが、バスケット専用の体育館を保有する。試合は、大音量のBGMと実況するDJの声が場内に響くのはbjと同様だったが、驚かされたのはブースターの声のでかさ。BGMに頼りがちな大阪より、生の声は心にまで響いた。まだまだ発展途上のbj。原州を訪れた10人近くの大阪ブースターが、また新たなスタイルを日本に還元してくれることを期待したい。(一般スポーツ担当 川上 誠)

http://www.sponichi.co.jp/osaka/editors_column/2008/10/03.html

余談ながら、帰りの高速バスのチケットが取れなくて、5時半に高速バスターミナルに行ったのに、買えたのは8時半の優等バス(9500ウォン)だった。タクシー代をかけて市外バスターミナルにもう一度戻れば状況は違ったのかも知れないけれど、まあそれも体験と強がっておく。

*1:東ソウルバスターミナルから原州に向かうと市外バスターミナルに、ソウルの高速バスターミナル(総合ターミナル)から原州に向かうと高速バスターミナルに着くことになる。

*2:もっとも、老朽化したこの市外バスターミナルは、2009年中に高速バスターミナルの隣に移転する予定であるらしい。それが実現すれば、私のような珍道中をすることもなくなると思われる。

*3:座席は一般席(8000ウォン)を含めて指定制なので、立ち見は見かけなかった。もっとも構造上、立ち見ができるようなスペースはほとんどない。