源氏物語、幻の続編?

ずっと昔、いちおう通し読みしたことのある『源氏物語』。
この〈続編〉を誰が書き、どのような内容なのか、気になることは多い。

源氏物語、幻の続編「巣守帖」か…写本確認


見つかった源氏物語「巣守帖」の写本

 現代に伝えられる「源氏物語」54帖(じょう)には存在せず、古い注釈書などに巻名だけが残る「巣守帖(すもりのじょう)」とみられる写本の一部が残されていたのを、池田和臣・中央大学教授(中古文学)が初めて確認した。

 光源氏の次男である薫や、孫の匂宮(におうみや)を描いた最終章「宇治十帖」の“続編”とされる内容。紫式部の死後、別人が書いたとの説が強いが、これまで実態がわからなかった〈幻の写本〉で、源氏物語の変遷を探る貴重な資料となりそうだ。

 池田教授が古書店から入手した15・5センチ四方の文書2枚。筆跡や紙質の鑑定などから、鎌倉末期から南北朝時代のものとみられる。

 源氏物語は54帖があったとされるが、鎌倉初期の故実書「白造紙(はくぞうし)」には、「巣守」など三つの物語名が巻名目録に加えられていたほか、人物紹介などを記した源氏物語古系図にも、「巣守」の名が挙げられていた。

 これらの資料に基づく「巣守」の粗筋は、薫の誠実さにひかれた「巣守の君」が若君を産み、求愛する匂宮の執着から逃れようと山中に隠れてひっそりと暮らす内容。見つかった写本には、山に沈む月を見ながら隠とん生活を送る「巣守の君」の心情を思わせる和歌が記されていた。

 池田教授は「『宇治十帖』で、浮舟をめぐる三角関係に敗れる薫に同情した後世の人物が、物語を対照的に書いた“外伝”だといえる」とし、執筆年代や人物の関係などから、散逸した写本にほぼ間違いないと結論づけた。21日に東京・実践女子大で開かれるシンポジウムで報告する。

(2009年11月2日03時37分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20091102-OYT1T00017.htm

ところで、ここのところ『源氏物語』に関するニュースを他にも目にしているが、もしかして上記の「シンポジウム」絡みだろうか。

源氏物語の写本に異なる内容 標準本との違い約2千字も

 源氏物語の写本の一つで、昨年約80年ぶりに全54帖の存在が確認された「大沢本」に、標準的な写本「青表紙本」の本文と大きく異なる展開の内容が含まれていることが、大阪大名誉教授の伊井春樹さんの研究で30日までに分かった。異なる部分は約2千字分。伊井さんは「これほど大幅に違う本文が見つかったのは初めて。展開そのものが異なっていて興味深い」と話している。

 藤原定家が編さんした青表紙本の本文と大きく違う部分が見つかったのは、主人公光源氏の死後の物語「宇治十帖」の中の「蜻蛉巻」。薫と匂宮という2人の男性との三角関係に悩んでいたヒロインの浮舟が宇治で行方不明になってしまった後のくだりだ。

 青表紙本では、匂宮に命じられた従者の時方が夕方都を出て、雨が上がったころ宇治に着く。やがて時方が帰った後に、浮舟の母君が葬儀を行うという展開。だが大沢本では、先に雨の中で母君が宇治に着き、葬儀を計画。小降りになったころに時方が着く。伊井さんは「大沢本の方がむしろ自然。この写本を誰が書いたのかも気になる」と話す。

 大沢本はこのほか、前半の「花宴巻」の巻末にも源氏の心境をつづった部分があるなど、標準本と違う部分が数多く見つかっている。

2009/10/30 12:42 【共同通信

http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009103001000435.html