鉄道旅行観に見る日韓比較

まあ、そんな大層なことではありませんけど。

聯合ニュースによると、韓国内を周遊する鉄道旅行が日本人の高齢者にウケているとのこと。

2009/11/06 11:38 KST
「韓国を隅々まで」日本高齢者がレールクルーズ参加

【ソウル6日聯合ニュース】「すみずみまで驚きの韓国」とは、韓国観光公社が韓国人向けに作ったキャッチフレーズだが、最近は日本の高齢者がこれを体験しており、注目を集めている。観光公社がコレール(韓国鉄道公社)と共同で企画したレールクルーズ商品を利用し、観光寝台列車で韓国を周遊する日本人観光客たちがそれだ。

 日本旅行最大手のJTBで申し込んだ60〜70代を中心とする日本人40人が、8日から11日まで観光寝台列車「ヘラン2号」で韓国周遊を行う。ソウルを出発し、木浦〜霊岩〜宝城〜順天〜釜山〜慶州〜安東〜丹陽を経てソウルに戻るツアーだ。


観光寝台列車「ヘラン」の内部=(聯合ニュース

 初日の夜は木浦で儒達山から夜景を見て、南道韓定食の夕食を楽しんだ後に列車内で宿泊する。2日目は霊岩に移動し、日本に漢字を伝えたとされる王仁博士の遺跡地をめぐるほか、ドラマロケ地の茶畑も訪れる。続けて順天に向かい、史跡地の楽安邑城民俗村でわらぶきの家屋や石垣道などを見学した後、釜山で海雲台の夜景とスパランドを楽しむ。

 3日目は慶州の仏国寺と安東の河回村、忠清北道・丹陽のオンダルオープンセット場などを巡ってからソウルに戻る。2日間は車中泊、最後の夜はホテルで過ごすことになる。

 これに先立ち、先月には37人の日本人観光客が水原〜谷城〜順天〜馬山〜慶州〜東海を6日間で回る「ヘラン1号」定期便に参加し、良い反応を示したという。3泊4日の価格は約16万円。

 観光公社のクォン・ビョンジョン日本チーム長は、「日本の高齢者は、韓国人もあまり足を向けない田舎らしい田舎に行きたがる。郷愁以上の安らぎを感じる人もいる」と話している。

 主に韓国人対象レールクルーズのため製作された「ヘラン」は、すべての客室にベッドが備えられており、一部の部屋はシャワー室や応接ソファも備えている。レストラン・カフェ車両、文化公演を鑑賞できる車両もある。観光公社は年内に7つの商品を発売する予定だ。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2009/11/06/0400000000AJP20091106001100882.HTML

このツアーが人気な理由はよくわかります。リピーターであればあるほど、バスであっちこっち連れて行かれるパックツアーにはうんざりしてくるでしょうし、かといって、それ以外の交通手段であちこち移動するには様々な意味で不便を覚悟しなければならないのが、韓国の交通事情。鉄道で周遊旅行をしたくても、やってやれないことはありませんが、個人でそれをやるのはなかなか骨が折れます。

その時代にここまでやった辻真先は、大したもんだと思います。こんなこと、なかなか真似できません。

韓国を乗る韓国を食べる (徳間文庫)

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そこで、です。上の引用に見えるようなツアーであれば、特別編成の専用寝台列車でそんな周遊旅行を実現してくれるのですから、魅力的でないはずがありません。そもそも、これだけ時間をかけて鉄道で回るなんてこと自体が、なかなかできることではありませんから。

ところが、そうしたツアーのいちばんの魅力を、この報道がぜんぜん捉えてない、ってところが、このニュースのいちばん面白いところです。確かに木浦や慶州や安東や、「韓国人もあまり足を向けない田舎らしい田舎」やに行くのもこのツアーの魅力には違いないのですが、最大の魅力は、車中で泊り込みで堪能できる鉄道旅行そのものに決まってるやないですか。

実際、同じ旅程を、高速道路からの味気ない車窓風景が続くバス旅行に替えて、観光地滞在を長くしたり食事を豪華にしたりしたところで、日本人旅行者に人気は出ないと思いますよ。

その辺の日本人的感覚を理解できない韓国人的感覚というのが、個人的には興味深いのです。

http://www.kampoo.com/jp/travel/rail/map-download.htm

まあ、ちょっと残念なのは、海沿いの鉄道路線ってのが、韓国にはあまりないことです。東海南部線と嶺東線の一部くらいですか。ただ、個人的には行ったことないのですが、嶺東線と太白線は山岳路線として随一の渓谷美が楽しめるらしいので、そこもコースに組み込むべきだと思いますね。

ちなみに、下の映画の中で、そうした太白線の風景がちょっとだけ観られます。