国家報勲もまた現実

韓国では割と使われることの多い「国家報勲」という言葉が日本語でどれくらい使われているか、がふと疑問になって、検索してみた。
案の定、というか何と言うか、けっきょく韓国絡みのページしかヒットしなかったのだが、1年ほど前の『中央日報』の社説でちょっと面白いのがあったのでクリップ。
「国家報勲」といえば「国家・国民のあるべき姿」を追い求めることに関わるものであるはずだが、実際には現実の国家機関において生身の公務員によって業務が遂行される。それは、経済的利益や恩恵・特典を伴うものであるだけに、現場ではこんな感じで実にベタな現実が展開されることになる。
それは、「あるべき姿」ではないかも知れないが、どうしようもなく「国家報勲」に付随する現実である。モラルや罰則を振りかざしてどうにかしきれるものではないだろう。

【社説】国家報勲まで盗んで腹を満たす報勲処

公職社会の綱紀がいくら乱れているとしても、ここまでとは知らなかった。国家報勲処の前職・現職の職員が、公傷、国家有功者の資格を認めてもらうために言いつくろった事由を見てみると、実に「猟期的」と言える。

「書類を整理する途中、腰にケガをした」「職場の上司が死亡したために、パニック障害(恐慌性障害)を引き起こした」といった具合で、どれもこれも呆れる内容ばかりだ。こうしたでたらめな事由で国家有功者に認められ、子女の学費など各種の恩恵を堂々と受けていた。

国家報勲処の任務は、国家有功者とその遺族への保護と補償だ。どの省庁よりも高い道徳性と正しい業務姿勢が求められる所だ。しかし実像は正反対であった。昨年、審査委員9人のうち5人を外部の専門家で充員する制度改善が行われたが、それ以前には9人全員が国家報勲処の前職・現職だった。これだから図々しいとしか思えない理由を挙げても、そのまま通過できたのだ。報勲処で公傷を認められた公務員が、ほかの省庁より約30倍多いのも当然だった。昨年11月当時、報勲処次長が摘発されたことに続き、今度は調査対象者92人のうち24人の国家有功者資格が取り消された。

同事件に対する国民の公憤が大きいだけに適当に済ませてはいけない。報勲処は再調査を今年1月に完了していたのに、これをもみ消そうとした後、やむを得ず公開した。事件が発生した後も、すでに支援された子女の学費などは還収しないと明らかにした。いまだに同省職員らの過ちをかばうことから抜け出せずにいるのだ。この国の公職者の意識レベルを赤裸々に見せている。

だから監査院が出て、より一層徹底的に暴かねばならない。何よりも無断横断で負傷したのに国家有功者になるという、とんでもないシステムを抜本的に改善すべきだ。いい加減な理由で申請したことが発覚した場合、厳しく問責しなければならない。支援された恩恵も還収できる法的根拠を作るべきだ。関連法律で、等しく「国家有功者」対象に位置付けられている「公傷公務員」を、独立有功者や武功受勲者と分離し、別の待遇措置を取るようにすべきだ。公傷公務員への誘惑は、独立有功者と同様の恩恵を受けられることにある。

中央日報 Joins.com
2008.10.29 11:57:12

http://japandev.joins.com/article/article.php?aid=106607&servcode=100§code=110