長居球技場の天然芝化問題

ここでも触れた長居球技場セレッソ大阪ホームグラウンド化=天然芝化だが、このコラムを見る限り、そう単純にセレッソの都合だけで話を進めていいのかはやや疑問が残る状況であるらしい。
アメリカンフットボールに関しては、長居球技場の人工芝がかなりひどい状態にあるので張り替えが懸案になっていたことは聞き知っていた。ただこれに関しては、天然芝で丁寧に使ったほうがいい条件で試合できるのではないかと思っていた。
だが、フィールドホッケーについては念頭になかった。迂闊だった。
札幌ドームのように芝を可動式にするのも、余計に経費がかかることは明らかで、いろいろと計画の見直しが必要となってくるだろうし、悩ましいところではあるが、そこはやはり悩みどころだと思う。ごり押しして遺恨が残るのは、誰にとってもいいことではない。

長居の天然芝化、他競技と調整を
2009/10/16配信

 大阪市長居スタジアムを本拠地とするサッカーJ2のセレッソ大阪が、スタジアム隣の球技場を人工芝から天然芝に張り替え、主戦場とする計画を進めている。

 しかし、1986年の完成以来、同球技場を主会場にしてきたアメリカンフットボールの社会人Xリーグや、大阪ホッケー協会が人工芝の存続を強く要望している。特にホッケーは、国際ルールにより主要大会は人工芝での開催が基本。天然芝になれば利用できなくなるため、大阪市議会あてに人工芝存続の請願署名運動を始めている。

 球技場の魅力は臨場感。陸上競技のトラックがなく、プレーが間近に見える。現在の2万人収容から、ゴール裏にも数千席増設し、ほぼ満員状態でホームを盛り上げようとしている。C大阪はJ2首位で4季ぶりJ1昇格が濃厚。ガンバ大阪戦など人気カードでは5万人収容の長居スタジアムを使用するという。C大阪関係者やファンにとっては都合のいい計画だ。

 残念なのは、アメフトやホッケー関係者との話し合いの場を持たず、一方的に計画を進めていることだ。2年前、この2団体は、消耗した人工芝の張り替え嘆願書を管理運営会社に提出している。その回答も得られないまま今回の改装計画を外部から聞いた。

 Xリーグは今季も長居球技場で40試合を開催。毎週末1日3試合ペースでフル活用しているが、天然になれば芝の状態を保つため2試合が限度に。「開催日程も制限され、運営上の手間と時間がかなり増える」。日本社会人アメリカンフットボール協会の池野邦彦理事長は来年以降の開催場所の確保に奔走する。

 ホッケーは女子がアテネ、北京と夏季五輪2大会連続出場を果たし、球技で数少ないメダル候補。国体開催などで人工芝は普及してきたが、国際空港のある大阪から人工芝グラウンドが消えることは国際試合誘致にも大きな痛手となる。利用者の多くが納得できる公平な解決策をもう一度みんなで考える必要がある。
スポーツライター 福永美佐子)

http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news002454.html