関西大学が62年振りに甲子園ボウルを制す

しまった、観れなかったのに録画するのを忘れてた…。

春の定期戦では関大が完敗していたこのカード。法政有利の下馬評を見事に覆したことで、今年の関大の快進撃がフロックでなかったことを示した。50−38というハイスコアの試合、両校の戦いはおそらく観衆も充分に魅了したはず。

毎日甲子園ボウル:関大V 62季ぶり2回目


法大を降し優勝を決めて喜ぶ関大の選手たち=阪神甲子園球場で2009年12月13日、大西岳彦撮影

 13日に阪神甲子園球場で行われたアメリカンフットボール全日本大学選手権決勝「パナソニック電工杯 第64回毎日甲子園ボウル」は、関大(西日本代表・関西)が、追いすがる法大(東日本代表・関東Aブロック)を第4クオーターに突き放して62季ぶりの優勝を決め、全国212校の頂点に立った。甲子園ボウル最優秀選手には、力強いラン攻撃で3TDを決めた関大のQB原口が選ばれた。年間最優秀選手(ミルズ杯)は、関大のRB藤森が獲得した。

 ◇残り1分、原口68ヤード走り込みTD決める
 関大が点の取り合いを制した。FGで先制された関大だが、第1クオーター(Q)13分、エンドゾーンまで残り1ヤードをRB松森が逆転TDラン。第2Qは残り1分からRB藤森がキックオフを78ヤードのロングリターンで押し戻し、最後はQB原口が1ヤードのTDパスを決めて再びリード。第3Q13分には藤森が84ヤードのキックオフリターンTD。第4Q残り1分、原口が自ら68ヤードを走り込みTDを決めるなど、この日3TDラン。法大はRB原の個人技などで終盤2点差まで追い上げるも、第4QでのQB山口のパスミスが痛かった。

 ▽関大・磯和雅敏監督 予想とは違う点の取り合いで勝ててうれしい。今季は1試合ごとに成長した。ライスボウルに向けても、さらに強くならなければ。

 ▽法大・青木均監督 点の取り合いは有利だと思った。最後は逆転して逃げ切ろうとしたが、ミスが出た。関大はもう少しパスを出すと思ったが、想定外にラン攻撃が多かった。

 ◇関大、ラン攻撃に徹し勝利
 とどめを刺したのも、驚きを呼び続けたランだった。試合時間残り1分53秒。関大のQB原口が、重量感たっぷりに68ヤードを走り切り、リードは12点に。「4年間地道に努力してきた結果が出せた」と胸を張るTDが、勝利を決定づけた。

 関大はパスをほとんど使わずラン攻撃に徹した。ランの方がミスの危険性が低いうえ、試合時間を消化しやすく法大に攻撃権を与えるのも遅らせられる。だが、エースRBの藤森は厳しいマークに遭い、終盤は疲労で脚がけいれんするほど。力強さを失わない原口に接戦の行方は託された。

 関西のリーグ戦で、原口のランは7試合計153ヤード。それが、法大相手に一人で228ヤード。相手の意表も突いて、防御陣を引きずりながら、QBとして「規格外」の突進を繰り返した。172センチ、90キロというQBらしからぬ頑丈な体は、「びびり(憶病)な性格を克服し、相手より自分の方が丈夫だと思えるように」と筋力トレーニングに徹し、入学時から4年間で20キロも増やしたたまもの。磯和監督は「自分ができることを徹底してやる選手。今年の関大の飛躍の象徴」とたたえ、チーム名を冠して「ミスター・カイザース」と称賛した。

 藤森も相手キックオフのリターンで計261ヤードと持ち味を存分に見せつけた。キックへの対応も、毎日30分以上の時間をかけてきた。「いろんな場面を想定してリターンの走り方を考えてきた」と藤森。これもまた、入念な準備の成果だった。

 春の定期戦で法大に零封負けを喫したチームが、小さな取り組みを積み重ねて学生日本一に。「スターがいないチームでも頂点に上り詰められることが証明できた」と磯和監督。誇っていい、62季ぶりの栄冠だ。【石井朗生】

 ○…米大リーグ・ヤンキースの井川が観戦。アメフットのファンながら、試合観戦は2回目といい、「迫力がある」と喜んでいた。入場可能な3万席余りのうち、2万5000人が埋めたスタンドに、「甲子園はいいですね。こんなにたくさんの人たちから見られて、選手も励みになったはず」と元阪神選手らしいコメント。今季大リーグでの登板はなかったが、渡米4年目の来季は3Aからの再昇格を目指す。激しいタックルをする選手たちに「こういう闘志を生かせたらいい」と刺激を受けていた。

 ○…厳しいマークを受けながらも、目標だった100ヤード越えに1TDと評判通りの走りを見せた法大のエースRB原。相手守備陣を内に集めておいて、巧みなステップで外に逃げ込むのが持ち味。それだけに「イメージより集まりが速い」関大守備陣に「もっと早く気付けば良かった」。2年連続敢闘賞にも「負けたのは自分のせい」と悔しさをにじませた。

 ○…表彰式ではチャック・ミルズ氏(81)自身から、年間最優秀選手に贈られるミルズ杯が、関大RB藤森に手渡された。ミルズ氏は71年、ユタ州立大を率いて初来日。以後、何度も来日して日本の大学チームと合同練習を行うなどし、日本のアメフット界の発展に貢献した。甲子園ボウル全日本大学選手権決勝に位置づけられたことから4年ぶりに来日。「エキサイティングなゲーム。14番(関大QB原口)がずっと笑顔でプレーしているのが印象的だった」と話し、大会の盛り上がりを喜んでいた。

 ○…関大に一気に流れを呼び込んだのは、1年生DB中村のプレー。5点リードの第4クオーター残り2分11秒、法大QB山口のパスをインターセプト。このプレーで得た攻撃シリーズで、試合を決定付けるQB原口のTDが生まれた。「まさか1年目から甲子園ボウルに出られるとは思っていなかった。大きな試合でビッグプレーが出来てうれしい」と、興奮気味に振り返った。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20091213k0000e050028000c.html