土地問題にして先進化問題である葬墓問題

ここのところ何度か書いている韓国の葬祭や墓地に関する事情を垣間見させるコラムをクリップしておく。

韓国においては、この問題が土地問題であり、先進化の問題であるという事情とロジックが簡潔にまとめられている。

国立墓地の場合、これと国家報勲とを組み合わせ、いわゆる「民族精気」の宣揚につなげる必要がある。実際には、そこはそこで一筋縄ではいかず、なかなか苦労が多いようなのだが。

記事入力 : 2010/01/19 14:03:34
【コラム】「墓地と化した国土」を受け継がせるのか(上)

 今月14日午後2時ごろ、京畿道楊平郡楊東面桂亭里山6番地。車から降りた男女5人が、雪に覆われた山道を登って行った。やがて一行は、高さ13メートルほどあるヤマザクラの下で立ち止まった。木から1.5メートルほど離れた場所には、縦50センチ、横50センチ、高さ50センチの穴が掘られていた。50代の男性が、高さ20センチほどの粘土のつぼを注意深く穴の中に入れた。その上には土が盛られ、菊の花束二つが添えられた。88歳でこの世を去った祖母の樹木葬が行われた「空の森追慕園(墓地)」の一風景だ。

 昨年5月にオープンした韓国初の国有樹木葬林である同園は、55ヘクタールの山林に造成された。マツ、アベマキ、ミズナラヤマザクラなど、2009本を追悼木に選定した。18日現在、800本余りの木の周りにはおよそ1400柱の遺骨が安置されている。碑石や土盛りの墓はなく、山林浴に訪れた感じさえする場所だ。故人の名前を記した木製の名牌がつるされているが、大きさが縦10センチ、横15センチと小さく、あまり目立たない。

 環境に優しい埋葬方法である樹木葬を大衆的に普及したのは、スイスの電気技術者ウエリー・ザウター氏だった。1993年、同氏のイギリス人の友人がこの世を去った。その友人から死ぬ前に、「一緒にいられるよう、スイスに埋葬して欲しい」と頼まれたザウター氏は、遺灰を裏山の木の下にまいた。遺灰が木の肥やしとなり、友人と木は共生するという点に着目したのだ。ザウター氏は1999年、「フリードバルト(安息の森)」というブランドを立ち上げ、本格的に樹木葬林の事業を展開した。

 樹木葬はイギリスや日本、ドイツなど、先進国で新たな葬儀文化の代案として広まっている。一方、韓国ではようやく第一歩を踏み出したものの、足踏みしている状態だ。樹木葬など自然葬に関する法律が2007年にようやく制定され、08年5月から施行された。それ以前に設けられた私設樹木葬施設は違法として取り締まりを受け、家族や祖先の遺骨を安置した国民が被害を受けた。

http://www.chosunonline.com/news/20100119000048

記事入力 : 2010/01/19 14:03:37
【コラム】「墓地と化した国土」を受け継がせるのか(下)

 保健福祉家族部の09年資料によると、最近7年間で墓地と化した国土面積は延べ42.2平方キロメートル(約1278万坪)に上る。ソウル・汝矣島の面積の5倍にもなる。全国にある土盛りの墓の数は2000万基と推定されるが、これは国土全体の約1%、ソウル特別市の面積の1.6倍だという。

 韓国でも志ある人や宗教界の努力により、火葬に対する認識が変わりつつある。70年に10.7%だった全国の火葬率は、05年に52.6%、08年には61.8%まで上昇した。このように火葬率は増加している一方で、火葬施設は遅れを取っているというのが韓国の現実だ。09年末で49カ所と、11年前に比べ5カ所しか増えていない。08年の火葬率が72.2%だったソウルの火葬場は1カ所だけだ。予約が多く、4日葬、5日葬を行うのが日常茶飯事だ。

 全国の墓地に関する正確な統計もない。01年、墓地や土盛りの墓を15年間(3回延長可能、最長60年)一時的に設置し、使用するよう定め、埋葬時の申告義務化、墓地一斉調査の実施などを盛り込んだ法律が定められた。しかし、実態調査は行われることなく、申告もでたらめだった。

 保健福祉家族部は今年から「葬儀情報総合システム」を整備、運営するとの計画を打ち出した。全国の墓地の実態調査を行い、火葬施設の予約、死亡情報などを統合・管理するというものだ。今回こそは口約束だけでうやむやになっては困る。単純な調査とサービス提供の次元を超え、葬儀・墓文化改革の転機としなければならない。高齢化社会の重荷を背負う子孫らに、「墓地と化した国土」で生きる負担まで強いるわけにはいかないからだ。

趙正薫(チョ・ジョンフン)論説委員

http://www.chosunonline.com/news/20100119000049