「真実・和解のための過去史整理委員会(真実和解委)」

盧武鉉政権期に始まって、李明博政権の時代に終了するというのも、なかなか因果な巡り合わせです。誰もが認める「成果」もあり、究明というにはほど遠い「論争」もあり、といった感じでしょうか。

例によって、クリップしておきます。

記事入力 : 2010/07/02 17:17:48
真実和解委が公式活動終了、4年間で9987件処理(上)

「チョ・ボンアム・スパイ事件と学林事件はでっち上げ」 名誉回復を勧告
「結論ありきで証拠は取捨選択」 一部で歪曲の論争も
「朴鍾哲拷問致死事件の組織的隠ぺい工作」 関連者の証言で確認
パルチザン討伐作戦でコチャン郡の住民273人を銃殺」 一部発表、事実と異なる

 2005年12月に発足した「真実・和解のための過去史整理委員会(真実和解委)」が6月30日、全体委員会を開き、約4年間に及んだ公式の調査活動を終了した。一部、異議申請に対する審査と総合報告書の作成が残っているが、それ以外の委員会の活動は事実上終了し、盧武鉉ノ・ムヒョン)政権時代に始まった過去史究明作業が一段落することになる。


「真実・和解のための過去史整理委員会」の歴代委員長。左から最後(第3代)の委員長イ・ヨンジョ慶熙大教授、第2代委員長・安秉旭(アン・ビョンウク)カトリック大教授、初代委員長ソン・ギイン神父。/写真=全基炳(チョン・ギビョン)記者

■現代史の裏側で横行していた人権弾圧の究明に成果

 盧武鉉政権による過去史清算推進の勢いに乗って、05年5月に制定された「過去史整理基本法」に基づく真実和解委は、日帝強占期と光復(日本植民地支配からの解放)以後に起こった人権侵害や暴力・虐殺・疑問死事件を調査するために設置された。大統領と国会、大法院(最高裁判所に相当)が選出・指名した委員15人と、委員を補佐し、事件を調査する調査官などで構成された真実和解委は、過去4年余りの間に9987件(先月22日現在)の事件を処理した。この過程で、国家機関による民間人殺害と人権弾圧の真実を明らかにし、被害者らの名誉回復に努めた。

 真実和解委はまず、1959年にスパイ容疑で死刑となったチョ・ボンアム氏は濡れ衣を着せられたという事実を明らかにした。そして、国家にチョ氏とその遺族に対し謝罪するとともに、被害者の救済と名誉回復措置を取るよう勧告した。67年、北朝鮮警備艇に拉致され、後に帰還しながらもスパイと見なされ7年間にわたり投獄された漁師ソ・チャンドク氏の事件の場合、長期間にわたる調査を通じて、捜査機関の拷問によるでっち上げだったことを突き止め、無念を晴らした。また81年には、李泰馥(イ・テボク)元保健福祉部長官など知識人25人が国家保安法違反の容疑で無期懲役などの実刑を言い渡された、いわゆる「学林事件」も、捜査機関の拷問によるでっち上げだった、との捜査結果を発表した。全斗煥(チョン・ドゥファン)政権が、「朴鍾哲(パク・ジョンチョル)拷問致死事件」を組織的に隠ぺいしようと工作した事実を、関係者の証言などから突き止めたことも注目に値する。ハンナラ党の鄭鎮燮(チョン・ジンソプ)議員など、80年と81年の司法試験・公務員試験で筆記試験に合格した一部の人を、政府が作成した予備校査察リストに基づいて不合格にした事実を確認し、当時国家機関の内部で横行していた人権侵害の事実も突き止めた。

http://www.chosunonline.com/news/20100702000064

記事入力 : 2010/07/02 17:18:13
真実和解委が公式活動終了、4年間で9987件処理(下)

■真実究明における恣意的歪曲・捏造(ねつぞう)の論争も

 真実和解委の活動をめぐっては論争も絶えなかった。委員会発足時から提起された政治的偏向性の問題が代表的だが、以後の調査過程と内容からも、こうした論争は続いた。

 実際、08年4月に真実和解委は「1950−51年、全羅北道コチャン郡一帯で国軍第11師団などがパルチザン討伐作戦中、住民や避難民273人を、合法的な手続きなしに銃殺した」と発表したが、ハンナラ党の申志鎬(シン・ジホ)議員がこのほど入手した真実和解委の資料によると、このうち41人はコチャン地域の左翼勢力などによって殺害されたか、あるいは原因不明であることが確認された。

 真実和解委の現職A委員は、「こうした事例は“過去史は捏造”だとか、”大韓民国は悪が勝利した歴史“と見る一部の委員会構成員による偏向した視点が原因となっている可能性がある」と述べた。A委員は「一部調査官らが、厳密な事例究明よりも“過去史を覆して新しい歴史をつくる”という偏向性を持って接近するケースが少なくない。このため、初めから結論ありきで、好き勝手に証拠を取捨選択しているのではないかという懸念もあった」と話した。

 盧武鉉政権時に始まった過去清算事業が頂点に達した05年、国家情報院の過去史委員会が「朴正熙(パク・チョンヒ)政権のでっち上げ」との結論を下した第一次人民革命党事件について、朴範珍(パク・ボムジン)元議員が最近、人民革命党は実際に存在した地下政党で、自分も加入していたと証言したことからも、こうした懸念が強まっている。

 真実和解委のイ・ヨンジョ委員長は、「国家機関による民間人殺害の真実を究明し、名誉を回復する成果は大きいが、真実和解委の決定が完全無欠とは言い切れない限界も認めなければならない」と述べた。

■統計で見る真実和解委の活動

 真実和解委はこれまで約4年間の活動で1万1160件の事件を担当し、9987件(89.5%)を処理したと集計された。

 先月22日基準で真実和解委が処理した9987件のうち、真相が究明された事件は7770件(69.6%)で、真相が解明されなかった事件は221件(2%)、事件要件を満たさず却下された事件は1549件(13.9%)となった。

 類型別では、韓国戦争(朝鮮戦争)時の韓国軍・米軍などによる民間人殺害に関する申請が8160件と最も多く、次いでパルチザンなどによるテロや暴力事件が1762件、人権侵害が466件、抗日独立運動関連が274件という結果になった。

 真実和解委は調査結果に基づき、昨年末までに国家機関などに被害救済や名誉回復を含め155件に上る勧告を行った。しかし、現在までに受け入れられたのはわずか12件だ。真実和解委が法院(裁判所)に再審を勧告した59件のうち、「民族日報チョ・ヨンス事件」など20件で無罪が確定し、「カン・ギフン遺書代筆事件」など残りのケースについては、再審手続きが行われている段階だ。

崔慶韻(チェ・ギョンウン)記者

http://www.chosunonline.com/news/20100702000065