LCCと日本:もはや成田・関空だけではなく

『読売新聞』今日の朝刊トップを飾っていたこの記事。正直、ようやく動き出したという感じで、LCCを中心とした変化のスピードに比べれば、いかにものんびりしているような気がするのですが。

成田空港、格安航空会社専用ターミナル建設へ

 成田国際空港会社は12日、低料金で利用できる格安航空会社(LCC)専用の旅客ターミナルビルを新たに建設し、既存のターミナルビルも拡張する方針を固めた。

 2014年度に年間発着枠が現行の約4割増の30万回に増えるのに伴うものだ。国内線の路線網も充実させ、国際線との乗り継ぎを便利にすることで、アジアのハブ(拠点)空港としての機能を強化する。

 国際化する羽田空港に対抗する狙いもある。

 成田空港会社は13日に国や千葉県、空港周辺9市町との「四者協議会」で発着枠を現行の22万回から30万回に増やすことで最終合意した上で、月内にもターミナルの新設や拡充を決める。

 LCCターミナルは、第1ターミナルの南側に設ける案が最有力で、13年度の運用開始を目指す。

 投資額は30億〜50億円を見込む。成田に就航しているLCCは豪州のジェットスター航空だけだが、アジア大手のエアアジアX(マレーシア)の就航が有力視されるほか、フィリピンのセブ・パシフィックなど複数社が関心を示している。

(2010年10月13日03時02分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20101012-OYT1T01178.htm

実際問題として、事態はすでに成田や関空といった主要空港の枠を離れたところでも動いているわけです。今のところLCCについては先行している関空も、うかうかしてる暇はありません。

「次は九州-上海で3000円」―中国LCC春秋航空社長が明かす激安運賃の秘密
2010年10月13日

――成田空港や関西空港LCC専用ターミナルの設置を検討するなど、LCCの積極誘致に動く日本の空港は多い。今後、茨城空港以外への就航計画はあるか。

王氏:最も路線を開設したいのは成田空港や関西空港だが、日中両国で簡単には認可が下りないのが現状だ。地方空港では、四国や九州の5〜6空港と具体的な条件を交渉している。四国や九州に就航することになった場合は、片道3000円のキャンペーン運賃を売り出す計画だ。ちなみに、9月28日に運航を始めた上海―香港路線では、往復で199元(約2500円)のチケットを販売している。


チェジュ航空など、国内の空港で最も多くのLCCが就航している関西空港LCC専用ターミナルの設置が検討されるなど、積極的に誘致する

http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20101012/1033319/?ST=life&P=4

2010年10月12日更新
格安航空誘致で空港の活性化狙う佐賀 経過と課題

 佐賀空港の活性化策として、佐賀県は格安航空会社(LCC)のチャーター便誘致に乗り出した。中国の春秋航空には古川知事自らがトップセールスし、好感触を得た。来年1月の大阪便の休止、夜間貨物便の減便など厳しい運営環境の中、世界の航空業界で台頭するLCCの翼が空港浮揚のきっかけとなるのか注目される。

 開港13年目となる本年度は、定期便が東京便4便、大阪便2便、夜間貨物便が羽田−佐賀、佐賀−関空を結ぶ1便就航。ただ貨物便は今月末から土日、祝日が休便、来年1月からは大阪便が休止となり、それに伴って着陸料など年間約1900万円の減収が見込まれる。昨年度の定期便搭乗者数が31万7872人と6年ぶりに30万人台に回復したとはいえ、収支は開港以来、毎年赤字を計上。赤字圧縮には着陸料収入を増やすしかない。

 そこで県が東京便増便と並んで改善策として掲げるのがLCCの誘致だ。空港の稼働率向上とともに県内への観光客増を狙う。経営難の大手航空会社が次々と地方路線撤退を打ち出す中、海外のLCCが空港使用料などが安い日本の地方空港への就航を図っている。7月に茨城−上海便を就航させた春秋航空は、路線拡大の意向を持っており、佐賀空港もその候補の一つだ。

 古川知事は先月末の上海訪問の際、春秋航空の王正華会長と面会。「九州に拠点をつくるとした場合、佐賀空港はロケーションが非常に良い」との評価を得たことを6日の定例会見で明らかにした。ハウステンボス阿蘇など中国人に人気の観光地にアクセスしやすい立地の良さで「鹿児島からも利用客を取り込めるのではないかとの感想もあった」との反応も紹介。県営のため着陸料交渉がしやすい、気象条件が安定していて就航率が高い、などの強みを挙げ「いろんなLCCが就航する可能性が見えてきた」と手応えを語った。

 県ではこれまでに春秋航空のほか、韓国のLCC3社と接触。具体的な交渉はこれからだが、ハードルは低くない。

 成田、関西国際空港がLCC専用ターミナル整備を検討しているほか、全国の地方空港が佐賀同様に誘致に動き出している。県は国基準額の3分の1の着陸料などをPR材料にする考えだが、誘致実現には利用客確保の具体案を示していくことも求められる。

 また定期便化を目指すなら、専用ターミナルなどの施設のほか、CIQ(税関、出入国管理、検疫)体制も整備しなければならない。整備費用のほか、関係機関との協議なども必要だ。

 本腰を入れて取り組むなら、どのような波及効果、恩恵があるのか、さらに誘致による空港、地域活性化の明確なビジョンを示して、県民の理解を得る努力も求められる。それが県民の利用促進にもつながる。

http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1742713.article.html