北原みのり「村木厚子さんと東電OL」

他でも言及されているのを見かけましたが、この文章はよかったです。読み甲斐があります。

北原みのり|村木厚子さんと東電OL

もちろん、北原さんにこの文章を書かせた村木さんの〈凄さ〉が、その根底にはあります。

私が村木さんの立場に立ったとしたら・・・と想像するだに恐ろしい。
自殺したと思う。
死なずとも心は完全に死んだと、思う。
死ねばいいのにリストに何人もの男の名前を入れ、呪詛し、気が狂うほど叫び、髪の毛を真っ白にし、恨み辛みを吐き涙で毎日あけくれ、例え支援者が例えいたとしても半信半疑で、世の中を恨み、女であることを恨み(女だからターゲットにされたんじゃないかと妄想し)、ギャーギャーギャー、歯ぎしりで顔が歪み、狂い死んだと思う。

それなのに村木さんというお方は。
拘置所で出される食事の献立をメモし、ああ今日の照り焼きがおいしいな、あれ? このご飯なんだろうと考えたり、拘留所の女性職員の過酷な労働を観察しては「妊娠したら、もう少し楽な部署に行けるのかな」と心配し、この機会にと150冊もの本を読んで過ごしたのだ。

もちろん、その凄味を私が〈読む〉とすれば、北原さんとは違った読み方になると思います。フェミニストにこれだけの影響を与えながら、フェミニズムに回収されきらないものが、そこにはあるからです。