『聯合ニュース』の「新韓流」分析

どうやら集中連載のようです。

SMエンタテイメントだけではなく、また日本市場だけではなく、もう少し広い視野で、現在のK-Popを考える題材としては、非常に参考になる記事だと思います。

「日本で/日本から見えてくるもの」は確かにいろいろありますが、それがK-Popに代表される「新韓流」の全体ではないことに、留意しておく必要があると思われます。

2010/11/02 19:14 KST
<新韓流>世界に広がるK−POP、「脱韓国コンテンツ」の結実

【ソウル2日聯合ニュース】「冬のソナタ」などドラマに端を発した「韓流」は、アイドルグループを中心とするK−POP(韓国歌謡)へと、その中心軸を移している。

 日本のオリコンシングル週間ランキングトップ3入りという、海外女性グループとしては30年ぶりの快挙を成し遂げた少女時代、同アルバム週間ランキングで2位に入ったKARA(カラ)、中華圏の各音楽チャートで1位を記録したスーパージュニアをはじめ、CNBLUE、BEAST(ビースト)などアイドルグループが相次ぎ繰り出す海外進出「成績表」が、それを裏付けている。

 国内外の音楽専門家らは、「韓流第2ラウンド」の幕を開けたK−POPブームを「新韓流」と呼ぶ。新韓流の特徴は、「韓流=ドラマ・映画」「韓流ファン=高年齢層」という構図を壊したことだ。主な消費者層は韓国ドラマや映画に熱狂した40〜50代から、K−POPに熱狂する10〜30代にシフトし、韓流のジャンルも多様化され、その定義が変化しつつある。

 少女時代の所属事務所SMエンターテインメントの金英敏(キム・ヨンミン)代表は、海外「ヤング・ジェネレーション」のK−POPに対する熱狂が、今後の韓流の維持と成長に向けた潜在力を高めたと評価する。

 こうした状況は、体系的な歌手育成システムを通じたレベルの高い音楽制作力、戦略的な海外マーケティング、世界中にコンテンツを広めたデジタルメディア環境などが複合的に作用した結果だ。K−POPの勢いはアジアを超え米国、欧州、中南米まで広がっており、さらに規模が拡大する可能性もある。

 韓国のアイドルグループが韓国の空港で数百人のファンに出迎えられ、公演チケットが完売するのも、もはや珍しい風景ではなくなった。国籍や言葉の異なる海外のファンがK−POPに熱狂するその根底には、歌唱、ダンス、外国語(現地語)の実力と質の高い音楽、洗練されたスタイルなどを備えた「作りこまれたコンテンツ」があるとの見方が支配的だ。

 4minute(フォー・ミニッツ)やBEASTらが所属するキューブエンターテインメントのホン・スンソン代表によると、韓国では音楽市場の小ささに対する不安から、10年前からアジアをひとつの市場とみなし、「脱韓国用コンテンツ」を準備してきた。国内外での人材発掘、システマチックな歌手育成、洗練された音楽作り、戦略的な海外マーケティングなどの効果が今、表れているとの説明だ。

 日本の月刊音楽誌「ミュージック・マガジン」の高橋修編集長は、韓国アイドルについて「芸能界で生き残ろうとする意識が徹底しており、歌とダンスに妥協がない」と評価する。韓国でトップの座につけば世界市場で勝負しようとする気持ちが強く表れると、アイドルグループのプロ意識も新韓流ブームの背景に挙げた。

 こうしたなかで生み出された良質のコンテンツは、インターネットやスマートフォン(高機能携帯電話)の普及、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の成長など急変したデジタルメディア環境を基盤に、リアルタイムで全世界に広がった。ネット上に公開されたミュージックビデオ、練習映像、放送出演映像を通じ、海外進出前から、ファンを獲得することができる。

 SMエンタの金代表は、動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」「フェースブック」「ツイッター」など世界共通のメディアプラットフォームを通じ、少女時代はビートルズなどのポップスターのように、日本進出前から多くの現地ファンを確保したと説明。その結果、2万2000人を動員する大規模ショーケースライブを開き、デビュー2カ月でオリコンのシングルランキング1位を記録することができたと話した。

 12月に日本を皮切りに海外進出に乗り出す2PMは、新曲のミュージックビデオが「ユーチューブ」で世界最多アクセス数を記録した。アフタースクールらが東南アジアを初めて訪問した最、すでに現地のファンがグループの歌やダンスを知っていたのは、グローバルネットワーキングの力だ。

 アジア圏以外のファンも、K−POP入門ルートに、「ユーチューブ」などのネットワークを挙げる。9月のSMエンタ所属歌手による米ロサンゼルス公演に駆けつけた18歳のスペイン女性は、聯合ニュースの取材に「ユーチューブでスーパージュニアを知った」と答えている。先月10日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで行われたK−POPのジョイントライブが大盛況となったのも、こうしたネット環境が基盤となったと業界はみている。

 日本では、少女時代を中心とするKARA、ブラウンアイドガールズ、4minuteら韓国ガールズグループの大挙進出と成功を、新しい文化現象以上のものと受け止めている。日本女性が韓国ガールズグループのダンス、メイク、ファッションスタイルまでまねている状況を、ただの一時的な流行とはみていない。

 音楽情報誌「ガール・ポップ」元編集長の前田慎二さんは、エンターテインメント以外の分野の日本メディアがこぞって少女時代を取り上げていることが、単なる文化の流れ以上のものとしてとらえていることを裏付けていると指摘した。

 NHKが少女時代のショーケースをプライムタイムのトップニュースとして報じ、時事週刊誌「AERA(アエラ)」は少女時代など韓国ガールズグループの日本進出を、1960年代にビートルズが米国に進出したことと対比させ「コリアン・インベージョン(韓国の侵攻)」と表現した。経済週刊誌「日経ビジネス」は、韓国の急成長企業と少女時代の類似性を分析した。

 一方、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)と韓国コンテンツ振興院が先月22〜24日にタイのバンコクで開催した「韓流スターライセンシング商品博覧会」には、タイの若者が大挙詰めかけた。彼らは少女時代、CNBLUE、SHINee(シャイニー)らの写真入り化粧品、アクセサリー、Tシャツ、帽子、自転車などの商品に高い関心を示した。

 ある博覧会関係者は、タイの若者はハングルを学び、韓国の企業や商品に好感を示していると伝え、文化輸出が国家イメージの向上や社会、経済的な価値をも創出したと説明した。

 参入障壁の高い中華圏でも、こうした流れは例外ではない。ソニー・ミュージック・アジアによると、K−POPは中華市場で25%のシェアを占めている。これは中華圏では非常に大きな数値で、K−POPの成長が、中華圏での韓国のイメージを向上させたという。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2010/11/02/0200000000AJP20101102002700882.HTML

2010/11/03 18:57 KST
<新韓流>K−POPブームの秘けつ、そして持続可能性は

【ソウル3日聯合ニュース】日本、中国語圏、タイなど海外の音楽専門家らは、海外のK−POP(韓国歌謡)ブームをどのように見ているのか。

 聯合ニュースのインタビューに応じた専門家らは、韓国の音楽企業にアジアを単一市場とみなす先見の明があった上、長期的な計画で大規模投資を行うなど体系的な準備を進めてきた結果だと口をそろえる。ただ、どのアイドルグループもダンス音楽一辺倒でいては、ドラマや映画の従来の韓流ブームのように一時的な流れにとどまると指摘。音楽ジャンルの多様化、個性的なイメージなど、コンテンツ開発に向けた不断の努力が必要だとアドバイスした。

 日本の音楽業界関係者は、韓国のアイドルグループは、韓国音楽産業の水準向上を象徴していると評価した。

 ガールズグループAKB48の総合プロデューサー、秋元康氏は、韓国のガールズグループは歌とダンスが圧倒的に良いと賞賛した。「会いに行けるアイドル」をコンセプトに、東京・秋葉原の専用劇場で毎日公演を行うAKB48は、ダンスや歌が優れているわけではないが、成長の過程をドキュメンタリーのように見せる親しみやすさを武器に男性ファンにアピールしている。それに対し、少女時代、KARA(カラ)、4minute(フォー・ミニッツ)は完ぺきなダンスと音楽で、日本女性のあこがれの対象となったとの見方を示した。

 このような見解に、日本の音楽専門誌も同調している。月刊音楽誌「ミュージック・マガジン」の高橋修編集長は、韓国のアイドルグループは、女性はマライア・キャリー、男性はボーイズIIマンのような歌唱力を持つが、日本ではそのようなアイドルがいないと指摘する。練習生時代に厳しいトレーニングを受け、基礎がしっかりしているというイメージが強く、実際にダンスと歌が非常に優れていると評価した。

 音楽情報誌「GiRLPOP」の元編集長、前田慎二氏は、日本は短期利益を追求するあまり、収益性が高い携帯電話の着信メロディーの生産に熱を上げ、音楽の総合的な質を高めるという志向性が低いとの見方を示した。高いレベルの制作能力を持つ韓国が、日本市場に合わせようとレベルを下げた音楽を作るのではないかとの懸念を示し、「日本のファンが求めているのは、K−POPの質の高い魅力」だと強調した。

 タイや中国語圏では、韓国の歌手育成システムを取り入れる動きが活発だ。タイの最大手レーベル、GMM・グラミーも韓国のシステムを取り入れた。同社のスラチャイ・センシリー副社長は、SMエンターテインメントを訪問したことがあるが、トレーニングシステムが整っており驚いたと話した。「思い切った投資で原石を発掘し、歌とダンスのトレーニングを受けさせ、外見も磨いた。われわれも現在、このシステムをベンチマーキングし、歌手を育成している」と説明した。

 ソニーミュージック・アジアの崔震東会長も、韓国のアイドルは完ぺきなシステムで訓練され、ボーカル、ダンス、考え方まで教育を受けており、ヘアスタイルやメーク、衣装は流行をリードするに十分で、音楽まで大衆を魅了すると賞賛した。同社でも韓国のシステムを取り入れており、中国語圏ではそうした動きが多いと伝えた。

 こうした評価の一方で、専門家らは、K−POPは似たようなダンス音楽を見せることにとどまってはならないとの助言も忘れなかった。韓流ドラマや映画のように勝敗が決まる日が来るため、各グループが個性を発揮してこそ、一つのジャンルとして定着するとの考えだ。

 日本の有線放送最大手USENの関係者は、K−POPはダンス音楽中心に確立されたが、アイドルバンドのFTIsland、ヒップホップグループのBIGBANG(ビッグバン)のようにジャンルの多角化を継続して図る努力が必要だと指摘する。「K−POP=ダンス音楽」という枠を超えるコンテンツを開発する必要があると強調した。

 センシリー副社長も、タイの音楽市場に占める韓国のアイドルグループの音楽ソフトの売り上げは5〜10%にすぎないと指摘した上で、「シェアを高めるためにはCNBLUEやFTIslandのような、別ジャンルのグループの登場が必要だ」と述べた。

 さらに専門家らは、進出する国の文化を理解することと継続的な現地活動の必要性にも言及した。

 秋元氏は、東方神起ローカライズ戦略により5年間活動を続けてきたように、ほかのグループも立地を固めるためには、継続的な活動が基本となると述べた。また、音楽から始まりドラマ、映画、テレビのバラエティー番組へと活動範囲を広げていくべきだが、準備が整っていない状態での海外進出はK−POPブームの阻害要素になると指摘した。

 崔会長も、時間の投資と現地活動の継続が必要だと前置きした上で、「もはや言語の壁は大きな問題にならない。言語よりも中国語圏の文化を理解してから進出する努力が必要だ」と述べた。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2010/11/03/0200000000AJP20101103002000882.HTML