靖国神社・遊就館に朝鮮時代の甲冑が

遊就館にこういうものがあるのは、意外と言えば意外かも知れませんが、それほど意外なことでもないとも言えそうです。

いやそれ以前にこの特別展、6月からやっているわけですから、この前行ったときに私も観てますよ。そう言われてみれば、何だか見たような気がする…。

2010/06/01 平成22年遊就館特別展「神風 そのふきゆくかなたへ」開催のお知らせ


「蒙古襲来油画」展示風景(写真は企画途中のものです。実際の展示風景とは異なります)

平成22年遊就館特別展
「神風 そのふきゆくかなたへ ―蒙古襲来と国難に立ち向かった護国の戦士たち―」

                                                                                                  • -

【期 間】 平成22年3月20日(土)〜12月8日(水)
【時 間】 《4月〜9月》 午前9時〜午後5時30分
       《3月・10〜12月》 午前9時〜午後5時
      ※入館は閉館の30分前まで 
【休館日】 6月24日・25日(遊就館休館日)
【場 所】遊就館1階 企画展示室
【拝観料】大人:300円 大学生200円 高校生100円 中学生以下無料
      ※常設展拝観者は無料です

                                                                                                  • -

主な展示内容
【1】遊就館収蔵絵画「蒙古襲来油画」修復報告
平成21年は、靖国神社御創立140年の年に当りました。
その記念事業の一環として修復された、矢田一嘯筆のパノラマ絵画
「蒙古襲来油画」(明治28年 縦2m・横2.7m) を公開展示します。
明治期の洋画家、矢田一嘯は、明治中期の国防精神の高揚を図るため
活動していた人物、湯地丈雄に共鳴し、無報酬でこの作品を完成させました。
一嘯が精魂込め描き上げた、この「蒙古襲来油画」を介し、鎌倉武士の勲(いさお)しを偲びます。
また、この度の絵画修復記録も併せて展示致します。

【2】蒙古襲来関連収蔵物の展示
遊就館を代表する収蔵品の中に、日本刀・甲冑がありますが、
鎌倉幕府が蒙古軍と闘った時代のものも多くあります。
また蒙古軍が使用したと伝えられている甲冑をはじめ武器・装備品も併せて展示致します。

【3】護国の英霊の姿を伝える
大正13年・昭和6年には、「文永・弘安両役650年祭」国を挙げて催行されている事実も
踏まえながら、今から遡ること730有余年前の未曾有の国難に対し、
身をもって代わらんと決意をされた亀山上皇や、一糸乱れぬ団結の許、
人事を尽くし毅然とした態度で立ち向かった、鎌倉武士の勲(いさお)しを偲ぶとともに、
幕末以来の幾多の事変・戦役、別けても、「神風」特別攻撃隊をはじめ、
大東亜戦争で尊い命を捧げられた護国の英霊の姿を世に伝えるべく、
御祭神の遺書・遺品を展示致します。

http://www.yasukuni.jp/~yusyukan/news/news_detail.php?article_id=0055

改めてこう指摘されてみると、どうしてこの特別展にこれが展示されていたのか、いささか理解に苦しむところです。この甲冑自体が、遊就館の文脈にはそぐわしくないものであるようにも思います。

ただ、「だから要らない」とか「意味がない」ということにはなりません。この件で何らかの対応を取らなければならなくなった時に、どのような対応を取るか。韓国サイドがどうこうというのは別にして、靖国神社側にとっても、案外それは存在意義にかかわる重大な問題になるかも知れません。

2010/12/03 10:40 KST
靖国神社が朝鮮時代の甲冑を所蔵、博物館で展示

【東京3日聯合ニュース】日本の靖国神社の戦史博物館「遊就館」に、韓国の朝鮮時代の将軍が使用した甲冑(かっちゅう)が保管されていることが3日に明らかになった。同館は8日まで開催する特別展「神風〜そのふきゆくかなたへ〜」で、これらを展示している。

 かぶとには額部分に軍の最高統帥権者であることを示す「元帥」との文字が刻まれ、上部に金色の竜と鳳凰をかたどった彫刻が取り付けられている。よろいの仕立てなどから、18〜19世紀に作られたものとみられる。


展示されている朝鮮時代の甲冑=3日、東京(聯合ニュース

 遊就館側は、1884年の甲申政変(朝鮮で起こったクーデター)で朝鮮の民衆に殺された日本の軍人・磯林真三の名義で、1885年に神社に寄贈されたと説明している。

 朝鮮半島から日本に渡った文化財を追跡している慧門(ヘムン)和尚は、保管状態や製造年代などを考慮すると、韓国でも見つけることは難しい貴重な文化財だと話している。

 一方、靖国神社は「蒙古襲来(13世紀の元と高麗軍による攻撃)と国難に立ち向かった護国の戦士たち」をテーマに遺物を展示し、当時の上皇が書いたという「敵国降伏」の額のすぐ横に、元軍の攻撃とは関係のない朝鮮時代の甲冑を展示した。


かぶとの額部分には軍の最高統帥権者であることを示す「元帥」という文字が刻まれている=3日、東京(聯合ニュース

 これに対し慧門和尚は、「李舜臣(イ・スンシン)将軍が使用した物と同じ形の甲冑を、よりによって『敵国降伏』という文字の隣に展示した意図は釈然としない」とし、抗議の書簡を神社側に送った。李舜臣豊臣秀吉朝鮮出兵の際、水軍を率いて日本軍と戦った朝鮮時代の英雄。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2010/12/03/0400000000AJP20101203001100882.HTML

2010/12/03 11:50 KST
靖国の甲冑展示、朝鮮軍事文化財の全面公開に期待

【東京3日聯合ニュース】日本の靖国神社の戦史博物館「遊就館」に韓国の朝鮮時代の将軍が使用した甲冑(かっちゅう)が保管されていることが分かった。韓国内には甲冑、弓、盾など朝鮮時代の軍事文化財がほとんど残されておらず、その希少性は高い。日帝時代、朝鮮の民衆が義兵運動に利用する恐れがあるとの理由で大々的に回収・破棄されたためだ。

 これまでに、この甲冑を直接見たという韓国人もほとんどいない。国防部・軍事編纂(へんさん)研究所の金炳崙(キム・ビョンリュン)客員研究員によると、陸軍博物館長を歴任した故李康七(イ・ガンチル)氏が唯一だ。同氏は1968年3月に靖国神社を訪れ、写真を受け取っているが、当時の写真はモノクロ。ただ存在だけが知られていた甲冑の形から色までが、今回、鮮明に公開された。


遊就館」に展示されている朝鮮時代の甲冑=3日、東京(聯合ニュース

 甲冑が作られたのは、18〜19世紀と推定される。よろいは脇の部分が開いているが、専門家によると、もともとは脇もつながっていたものを活動しやすくするよう、朝鮮後期からこのように仕立てるようになったという。

 着用していた人物については、専門家の意見が分かれている。朝鮮半島から日本に渡った文化財を追跡している慧門(ヘムン)和尚は、かぶとの額部分に「元帥」という文字が刻まれていること、頭上に金色の竜と鳳凰をかたどった彫刻が取り付けられていることを根拠に、朝鮮時代の軍の最高統帥権者が着用した甲冑だとの見方を示した。

 韓国でも、陸軍士官学校の陸軍博物館が関連遺物を所蔵しているが、保存状態がさほどよくない。慧門和尚は、靖国神社にあるものは保存状態や製造年代などを考慮すればたぐいのない貴重な文化財だと話した。

 一方、金研究員の意見はやや異なる。朝鮮後期からは統制が緩み、軍の最高統帥権者ではなくても、こうした作りの甲冑を身につけるケースがあったとの主張だ。韓国内だけでも、陸軍博物館のほか高麗大学東亜大学、国立慶州博物館などに、同じような仕立てのものが保管されているという。ただ、靖国神社にあるもののように、保存状態が良いものが韓国にほとんどないのは事実だとした。

 甲冑の価値より重要なことは、靖国神社がこれまで公開したことのない朝鮮時代の軍事文化財を展示したという点だ。

 韓国の文化財専門家らは、1875年の雲揚号事件(日本の軍艦雲揚号による江華島攻撃)当時、日本が朝鮮から略奪した軍事遺物が、遊就館に保管されていると推測してきた。

 日帝時代の書籍に記録された遊就館展示物の写真を分析し、同博物館には、韓国陸軍博物館の所蔵品に迫る量と質の朝鮮時代の兵器が保管されていると主張する専門家もいる。

 今回の遊就館の特別展示を機に、今後の朝鮮時代の軍事文化財公開に期待がかかる。陸軍博物館はまず、特別展(8日まで)期間内に展示品を写真に記録する許可を求める計画だ。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2010/12/03/0400000000AJP20101203001600882.HTML

ちなみに、「陸軍博物館」というのは、上の記事にあるように陸軍士官学校内にある施設で、三角地の戦争記念館とは別物です。私もここには行ったことがありません。

http://museum.kma.ac.kr/kor/mai/mai.jsp

サイトを見てみると、観覧料は無料なんですが、1週間前に予約して、案内員の案内で観覧しなければならないらしく、ぶらりと行くにはちょっとめんどくさいですね。

内容的にはこんな感じらしいです。

「韓国観光の新しい顔「陸軍士官学校」ではスーパーエリート予備軍が待っています」 - エイビーロード