【韓国の風景】金海市進永邑:盧武鉉大統領墓所

昨年末に訪れた盧武鉉元大統領の墓所

釜山から向かうには、まず西部市外ターミナルから進永行きの市外バスに乗るのがいちばん簡単だろう。所要時間は1時間ほど。このバスは、途中の金海市内では普通に市民の足として使われていた。


終点の進永市外バス停留所から程近いところには、慶全線の進永駅があった。昨年12月にKTX開通に伴って移転してしまったけれども、駅舎やプラットホームなどはまだ残っていた。






この旧進永駅や進永市外バス停留所から新しい進永駅に行くには、普通は15分間隔で出ている14番のバスに乗ることになる。KTXのために路線を整備(複線電化)した沿線にはありがちな、何もないところにぽつんと存在する駅である。KTXは上下合わせて平日には4本、週末でも6本が停車するのみで、あとはムグンファ号セマウル号が停車する。全部合わせれば1時間に1〜2本は停まるので、ローカル駅としてはまずまずといったところ。





ここから盧武鉉大統領の墓所がある烽下マウルへは、旧進永駅・市外バス停留所・(新)進永駅を結んで一回りする10番のバスが走っているのだけど、1時間に1本の配車間隔なので、この時には折りよくやって来たタクシーに乗った*1

思ったよりも広々とした平地が広がる烽下マウルには、盧武鉉記念館や復元生家・売店・追慕の家などが点在している。






墓所はこれらの先、烽火山の手前にある。お墓自体はそれほど大きなものではない。ただ、周辺部分まで合わせれば、これはなかなかどうしてソウル顕忠院の3人の大統領の墓所や同じソウルの孝昌公園にある金九の墓と比べても決して引けを取らない、立派な墓域である。

形式としては、慶尚南道南海郡などでみられる「平葬」のお墓になっている。盧武鉉は(歴代大統領の中では初めて)火葬されているため、土饅頭を築く従来の墳墓形式を取らなかったのはある意味で必然だと言える。

ちなみに、昨年の11月にここに糞尿を撒いた人物が逮捕されるという事件があったためか、墓所周辺では常に2人の警備員が立っていた。




とはいえ、このエリアを一通り回ってみて得られた大雑把な感触としては、「ともかく、悪い人ではなかった」という評価については定まっている、といったところになる。もちろん、地元であるが故の贔屓目というのはあるのだが、政治家・大統領としての政治的業績や評価といったところとは別の次元で、この人は記憶されていくことになるのではなかろうか。

責任を持つ気はないが、何となく、そんな気がする。


*1:タクシーは、(新)進永駅前には並んでいるほどにはいないが、列車が到着すれば乗降客がいないわけではないので、しばらく待てばやって来る。また、峰下マウルからの帰りには、流しのタクシーはほとんど当てにできないので、10番のバスをタイミングよく捕まえるのが面倒がなくて楽だと思われる。