韓国歌手の海外進出をどう見るか。

今さらという気がしないでもないですが、改めて韓国歌手の海外進出について考えてみるというのも無益なことではないと思います。

というより、他人に対する非難ではなく、自省と改善の方向で生かしてもらえれば、こうした分析や解釈も無益なことにはならないと思います。

記事入力 : 2011/05/30 18:20:07
少女時代に2PM、アイドルが海外進出するワケ

 アジアにとどまらず、世界中にK-POPブームが巻き起こっている。日本のオリコン・ランキングはKARAや少女時代が、台湾・香港・中国の音楽ランキングはSUPER JUNIORらが上位を占めた。東方神起の『Why? (Keep Your Head Down)』プロモーションビデオはブラジルMTVのワールド・ミュージックビデオ・ランキングで2位になり、フランスでは「SMTOWN LIVE WORLD TOUR in PARIS」の公演期間延長を求めるデモが起きた。韓国のアイドル歌手たちの名が世界にとどろいているのだ。だが、彼らが海外進出せざるを得ない理由は別にある。

■カネになる

 国威発揚や海外ファンとの交流などさまざまな理由はあるが、韓国のアイドル歌手がこぞって海外進出する最大の理由は収益が高いからだ。

 海外公演をしたときに得られる収益は、韓国で番組やイベントに出演したときとは比べものにならないほど。ある関係者は「大国男児や超新星など、韓国ではそれほど知名度が高くないグループでも、ひとたび海外に出れば数千万ウォン(1000万ウォン=約75万円)のギャラを稼ぐ。SUPER JUNIORのように国内外で人気があるグループは、億単位(1億ウォン=約750万円)のギャラをもらっていると聞く」と語った。

 最も収益が多く残るというイベントのギャラは格によって違うが、2PMや少女時代などのトップクラスなら地方イベントや企業イベントで5000−6000万ウォン(約370−450万円)と言われている。だが、海外ではこの2倍近くギャラを受け取っているということだ。

 また、海外の事務所と契約を結んで現地に滞在、スケジュールをこなす場合は付加収益が発生する。関係者は「メンバーたちの滞在費用はほとんどが現地事務所持ち。食費などの名目でメンバーたちは小遣いがもらえるが、それが500−700万ウォン(約37−52万円)だった」と語った。残った金額はそのまま所属事務所や歌手の手元に入るので、かなりの付加収益が生じていることになる。

■精神的に楽

 精神的にも負担が少ない。一挙手一投足を監視する熱狂的なファンが少ないこともあるが、無理なパフォーマンスの要求をこなさなくてもいいというのもある。韓国では権力構造がテレビ局側に偏っている。放送メディアの数よりもタレントの方がはるかに多く、テレビ局の要求に合わせざるを得ない構造なのだ。

 一方、日本などは各地に複数のテレビ局があり、番組に出演するタレントが足りない状況だ。だから、権力構造は大手芸能プロダクションの方に傾いている。このため、テレビ局側から要求される無理なスケジュールをこなす理由がない。

 ある関係者は「韓国では100万ウォン(約7万5000円)にもならないギャラで歌手が多数出演する韓流コンサートが行われることもあるが、これに出演しなければ同じ事務所の別の所属歌手を番組に出演させないと言われるなど、脅迫まがいのことが多い。また、苦労して(韓国のテレビ局・事務所絡みで)海外進出したとしても、滞在施設や周辺環境がいいとは限らない」と吐露。だが「その反面、海外では(現地の事務所と契約すれば)VIP待遇をしてくれる。ギャラもそうだが、宿泊施設もスイートルームなどを押さえてくれるし、タレントたちの状況に合わせ、ルームサービスもしてもらえるよう交渉してくれる。特に、タイなどでは最高級の待遇だ。テレビ局の無理な要求をのむ必要もない上、待遇が違うし、収益面でもはるかに手元に多く残るから、どうしても海外に行くようになる」と語った。

■男性アイドルグループが人気

 しかし、海外進出は言うほど簡単ではない。

 まず、ボーイズグループ(男性アイドルグループ)の方がガールズグループ(女性アイドルグループ)より好まれる。外国のアイドルに関心を持つのはほとんどが女性ファンのため、忠誠心が強いというのが第一の理由だ。アジア地域の男性アイドルと韓国のアイドルを比較すると、身長やルックスはもちろん、ダンスの実力も韓国のアイドルの方がはるかにリードしている。その上、男らしさという魅力まで兼ね備えているのだから、アジアの女性ファンのハートをがっちりキャッチできるというわけだ。

 韓流アイドルに詳しい芸能事務所関係者は「一般的に言ってボーイズグループの方が人気がある。イベントやライブスケジュールを押さえる際、ガールズグループに対する反応は懐疑的だ。KARAや少女時代を除けば、新人ボーイズグループをステージに上げる方がいいと提案している」と話す。

 言葉や食べ物、文化の違いはもちろん、「嫌韓感情」から来るさまざまなうさわも韓国アイドルを苦しめる。また、プライベートにまで干渉する韓国のファンはいなくても、パパラッチが追い回すので、予期せぬ事故を招くこともある。さらには韓国での活動が減り、ファンに支持されなくなるかもしれないというプレッシャーも伴う。このように、多くの壁が立ちはだかっているのにもかかわらず、韓国のアイドルたちが海外進出せざるを得ない理由をあらためて考えるべきではないだろうか。

ペク・チウン記者

http://www.chosunonline.com/entame/20110530000068

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