物価上昇が食事代を直撃

…というこのニュース。日本からの旅行者であれば円高の恩恵を受けるのでそこまで衝撃的なものではないかもしれませんが、記事に出てくる食事代の額を見ると、確かになかなか厳しいだろうなーと思います。

記事入力 : 2011/06/07 11:25:35
安い食堂を探しさまようサラリーマン(上)
庶民を直撃する物価ショック

 「最近は5000ウォン(約370円)で昼食を食べられる店が見当たらない。手軽な麺類でも8000ウォン(約590円)する」

 共働きをしているミンさん(36)夫妻は、先月から2人とも会社に弁当を持参している。ミンさんは「先月の出費を計算したところ、2人の昼食代だけで毎月40万ウォン(約3万円)から50万円(約3万7000円)も使っていた。そのため今月から弁当を持参することにした。他の女性社員も弁当を持ってくるので私は問題ないが、夫は会社で少し気まずいようだ」「マンションの支払いが終わるまでは我慢したい」と話す。

 物価が特に高いソウル・江南地区のサラリーマンたちは、昼食時間になると500ウォン(約37円)でも安い食堂を探すため、20−30分ほど歩き回ることなど何ともない。江南区新沙洞のある広告代理店で働くパクさん(28)は、昼食時になると歩いて20分の距離にある食堂で3000ウォン(約220円)ののり巻きを食べる。パクさんは「お店までかなり遠く、帰ってくるころにはお腹が空くこともある」と語った。

 ソウル市竜山区にある竜山電気街のトイレには、昼食時間が過ぎると社員たちが電気釜や茶碗を洗いにやって来る。近くの食堂に定食の配達を注文すると、今年初めまでは1人前5500ウォン(約410円)から6000ウォン(約445円)ほどで済んでいたが、最近は7000ウォン(約520円)にまで一気に値上がりした。そのため電気店の経営者たちは社員の昼食代を節約するため、自分たちでご飯を炊いている。竜山で電気店を経営するユンさん(36)は「どこの店も6、7人の社員がいる。全員の昼食代を負担するとなれば、月120万ウォン(約8万9000円)から130万ウォン(約9万6000円)は必要になる」と語った。

 「70歳にもなって車内でおにぎりを食べている。食堂は高くて利用できない」

 43年間タクシードライバーとして働いてきた(いる)キムさん(70)は、昨年末から昼食時にドライバー食堂を利用しなくなった。コンビニでおにぎり2個と牛乳1本を買い、車内で昼食を取っている。こうすれば3000ウォンを上回ることはない。キムさんは「2−3年前まではドライバー食堂で4000ウォン(約300円)払えば、腹一杯食べることができた。ところが最近は、安いところでも6000ウォンから7000ウォンは下らない。おにぎりだけでは力が出ないが、少しでも節約して金を稼ぐためには仕方がない」と話す。


最近の物価上昇で食費が急激に値上がりし、ドライバー用の食堂でも客が一気に減った。写真は、ソウル市竜山区のドライバー食堂でタクシー運転手が食事をしている様子。本来ならば忙しい時間帯のはずだが、客は2人しかいない。4日午後1時ごろ撮影。/写真=呉鍾澯(オ・ジョンチャン)記者

http://www.chosunonline.com/news/20110607000035

記事入力 : 2011/06/07 11:25:46
安い食堂を探しさまようサラリーマン(下)
庶民を直撃する物価ショック

 タクシー運転手の足が遠のいていることで、ドライバー食堂も一気に客足が途絶えた。今月4日午後2時、ソウル市竜山区青波洞のドライバー食堂を訪ねてみると、客は2人しかいなかった。本来ならば多くの客がごった返し忙しい時間帯のはずだ。個人タクシー運転手のイさん(45)は「ドライバー食堂が安いというのは昔の話だ。今では6000ウォンから7000ウォン出さなければ食べられない」と語った。

 急激な物価上昇で、サラリーマンにとっては昼食代も大きな負担となっている。ソウル市麻浦区の会社に勤めるサラリーマンのチェさん(41)は「“きょうこそは昼食を抜こう”と毎日考えている」と話す。

 客の顔色をうかがい、春から値上げを渋ってきた飲食店も、夏が近づくにつれ、多くの店で値上げに踏み切っている。豚肉、ニンニク、豆、魚など、通常の食材価格が1年前の昨年5月に比べて30%から60%も上昇しているからだ。

 こうした状況の中、ホームレスや1人暮らしの高齢者に無料で炊き出しを行っているボランティア団体も、昼食の準備が大変になってきた。竜山区漢江路3街でホームレスに無料の炊き出しを行っている「神様の家」では、最近は100人分のチキンスープに鶏肉3羽しか入れられない。「神様の家」代表のユ・ヨンオクさん(44)は「ガスや野菜、小麦粉、調味料などの価格が一気に20%から30%も上がったため、仕方がない」と述べた。

 延世大学経済学部のチョン・ジンホ教授は「物価上昇による庶民への影響は、昼食代のように、どうしても支払うしかないところでより大きくなっている。物価の安定は政府が力を入れるべき部分だが、すでにタイミングを逸したようだ」と指摘した。



李錫雨(イ・ソクウ)記者

http://www.chosunonline.com/news/20110607000036

記事中、「ドライバー食堂」なんていう何とも微妙な訳語が出ていますが、原語は「기사식당(キサシクタン/技士食堂)」ですね。安くておいしい店が多いという、韓国で食事をするときの裏技的なところなんですが、そういうところこそこの物価上昇の直撃を受けてしまうようです。

また、安く食事ができるところと言えば、他に思いつくのは大学の学食だったりするわけです。もっとも、このへんも相対的に安いとは言え、この物価上昇で多少値段が変わっている可能性は高いでしょうけど。

ソウル大学校の学食

『朝鮮日報』特集「追いつめられる大学生」

人気の学食を食べに行こう!〜梨花女子大学編〜 - ソウルナビ

人気の学食を食べに行こう!〜成均館大学編〜 - ソウルナビ

人気の学食を食べに行こう!〜高麗大学編〜 - ソウルナビ

人気の学食を食べに行こう!〜延世大学編〜 - ソウルナビ

ただ、ソウル市の中でもどうしようもない僻地にあるソウル大学校は論外としても、新村のような大学街と江南のようなビジネス街とは立地的にかなりはっきり分離しているので、ビジネスマンが学食を利用するという光景はなかなか見れないのではないかと思います。

そこで、自衛策としてこんなのが登場したりするわけです。

記事入力 : 2011/06/07 11:26:49
社員食堂に通う「幽霊社員」とは
安い昼食求めて遠征

 「人目は気になるが貯金するためには仕方がない」

 ソウル市松坡区にある国民年金公団の職員数は350人ほどだが、昼食時に公団の食堂を利用する人は平均500人に上る。昼食代を節約しようと、近隣の会社員150人余りが訪れるためだ。こうした人たちは「幽霊社員」と呼ばれる。

 会社員Aさん(28)は「(一般の飲食店は)キムチチゲが7000ウォン(約520円)を超える。給料を全て昼食代につぎ込むわけにもいかず…」と、公団の食堂に通う理由を説明した。また「4000ウォン(約300円)で昼食を食べられる場所はここ以外、近所にほとんどない。他社の食堂なので人目が気になるが、貯金するためには仕方がない」と語った。Aさんはこの食堂の食券を一度に10枚ずつ買っている。

 物価が上昇し、昼食代が1食5000ウォン(約370円)を超える中、食堂のない会社の社員たちが近所の会社の社員食堂に通うのは、オフィス街では当たり前の光景になった。

 ソウル市江南区駅三洞のホームプラス本社20階の社員食堂は眺めがよく、価格も4000ウォンほどと安いため、近所の会社員にとって羨望(せんぼう)の的となっている。同社の社員と、同じビルで働く会社員だけが利用できるが、何とかして食券を手に入れようとする人も少なくない。

 近所の会社員Bさん(29)は「江南の中心地で、4000ウォンでこのような食事ができる場所はほとんどない。ホームプラスの社員に頼んで食券をこっそり購入する人は意外に多い」と話した。

 中小企業では経費削減のため、昼食時に会社を訪れた客を社員食堂で接待することもある。ソウル市九老区のデジタル団地にあるIT(情報技術)専門中小企業の経営陣は今年2月「特別なケースを除き、来客を社員食堂で接待するように」と指示を出した。周辺の飲食店の昼食メニューが値上がりし、昼の接待費もばかにならないためだ。

チェ・ヨンジン記者

http://www.chosunonline.com/news/20110607000037