学校体育の惨状とプロ野球の活況

しばらく前のコラムですが、ここでも何度か言及したことのある話題なのでクリップ。

惨憺たる学校体育の現況

とにかくこれ、学校体育の現状はホントにひどいですね。女性教員が多いせいにして済ませられるようなレベルの問題じゃないでしょう。

記事入力 : 2011/08/27 11:32:28
【コラム】ぜい肉と弱い骨ばかりの韓国(上)

 朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領は1960年代初めからスポーツ政策に力を入れた。その方向性は二つある。一つは優秀な選手を育成して国威を高めること、もう一つは国民の健康増進だった。泰陵選手村の設置や学校体育への支援など一連の政策は、スポーツでの国際競争力を高めると同時に、国民の体力を向上させる基盤となった。

 朴元大統領の語録の中に「強靱な体力は国力だ」というものがある。朴元大統領は66年に全国体育大会での祝辞をはじめ、機会あるごとにこの点を強調してきた。そのため当時を知る人たちは「体力は国力」という言葉を何度も聞いたはずだ。この言葉はあるビタミン剤のキャッチコピーにもなり、一つの時代を象徴するスローガンになった。

 その後、72年には体力章制度(中高生の体力テスト)が始まり、これによって生徒たちの基礎体力は向上した。しかし、軍事政権の名残という批判に加え、体力テストの際に死亡事故が発生したことを機に、この制度は94年に廃止された。

 体育の専門家はこの体力章制度の廃止が、国民がひ弱になった大きな原因の一つと主張している。体育科学研究院が2009年に実施した「国民の体力に関する実態調査」によると、韓国の20代は中国や日本に比べ体力が劣っていることが分かった。韓国の20代前半の若者の握力は、40代前半の親指の力にも劣るという。同研究院でこの研究を行った担当者は「最近の若者は中学・高校の時代に体力をつけることができず、その状態で大学や社会に出るため、体力の育成や管理が十分に行われていない」と分析している。

http://www.chosunonline.com/news/20110827000030

記事入力 : 2011/08/27 11:33:12
【コラム】ぜい肉と弱い骨ばかりの韓国(下)

 体力章制度が廃止されたことで、学校体育や児童生徒の体力への関心は急速に弱まった。学校での体育の時間は国語、英語、数学などの補習の時間となり、子どもたちは学校から帰ると塾に直行する。さらに、不動産価格の高騰や建物の増築などで学校の運動場もかなり狭くなった。ソウル市内にある584の小学校のうち、100メートル走ができる学校は42校、7.2%に過ぎない。またここ2年の間に運動場が狭くなったり、完全になくなった学校は全国で小学校399校、中学校194校、高校109校に達する。全国の小学校教員のうち、女性が占める割合が75.1%にもなるため、体育の授業も十分に行われていない。

 子どもたちの体力に関する統計は、「肥満」「体力低下」という韓国の実情を裏付ける数値ばかりだ。2009年に行われた中高生の身体能力検査によると、45%が最低ランクに属するとの結果が出た。またソウル教育統計年報によると、2000年から09年までの間に小中高校生の身長は2センチから3センチ伸び、体重も2キロから3キロ増えたが、長距離走、50メートル走、立ち幅跳びなどの記録は逆に低下したという。中学2年生のケースを見ると、2000年には1600メートル走の記録が平均8分44秒だったが、9年後にはこれより39秒遅くなった。体格は大きくなる一方で体力は逆に低下している実態が裏付けられたわけだ。

 世界陸上競技選手権大邱大会がきょう開幕する。韓国はサッカー・ワールドカップ、五輪、世界陸上という世界3大スポーツイベントを開催する7番目の国となった。これは、世界のスポーツ界で韓国の立場が非常に高いレベルに到達したことを示す証でもある。

 「ぜい肉」と「弱い骨」ばかりの韓国の若者も、今や考えを変えるべきだ。これは、学校給食を無料化するだけで解決する問題ではない。地球村の健脚たちが大邱に集まる世界陸上を通じ、健康の大切さ、運動の重要性について改めて考え直さなければならない。「体力は国力」というスローガンは今なお健在だ。

趙正薫(チョ・ジョンフン)スポーツ部長

http://www.chosunonline.com/news/20110827000031

「韓国人の体力」については、トップクラスのプロスポーツでの活躍や徴兵制のイメージがあるかもしれませんが、それとこれは別々の側面なわけで、どっちかで韓国の実情を代表させるわけにはいきません。

超格差社会・韓国 (扶桑社新書 56)

超格差社会・韓国 (扶桑社新書 56)

こんな状況の学校でスポーツをしている学生とは、すなわちスポーツエリート(少なくともその予備軍)を意味することになります。その先にプロスポーツの世界があるわけですが、韓国国内のメジャープロスポーツと言えば、たぶん野球・サッカー・バスケットボール・バレーボールとなるでしょう*1。その中で最もメジャーなのは言うまでもなく野球です。一時は停滞気味だったんですが、最近ははっきりと人気回復傾向にあって、球団数を増やしてリーグを拡張する話もずっと続いています。

韓国プロ野球にも新球団誕生か

記事入力 : 2011/08/30 08:25:08
野球:全羅北道、新球団誘致意向書をKBOに提出

 全羅北道は29日、韓国野球委員会KBO)にプロ野球第10球団誘致意向書を提出した。金完柱(キム・ワンジュ)全羅北道知事と金鎬虬(キム・ホソ)道議会議長が、全州市・群山市・益山市・完州郡の4市郡の市長・郡守と共にKBOを訪れ、具本綾(グ・ボンヌン)総裁に意向書を手渡した。

 全羅北道はおよそ1000億ウォン(約71億円)を投じ、最先端のスポーツ文化複合施設を備えた2万5000席規模の球場を、2015年までに全州市に新築する。

 また、新たに建設される球場を、球団創設を希望する企業に長期賃貸(25年間)し、球場経営の自律権と収益性を最大限保障することとした。

http://www.chosunonline.com/news/20110830000013

他のニュース*2では水原も新球団誘致の意向を示しているらしいんですが、全州も水原もかつて球団があったものの、ともにその球団が消滅してしまった歴史を抱えています。どこになるにせよ、昌原に次ぐ10番目の新球団を設立して、それがうまく定着を果たせるか、ちょっと注目しています。

http://www.strike-zone.jp/frame-kbb.html

*1:もちろんゴルフやボクシングなどもありますが、ここではとりあえず団体の球技に限定して話を進めます。

*2:例えば、「전북도 ‘프로야구 10구단’ 유치전 가세」など。