期待したほどではないにしても、そう悪くもない。

それぞれに共感できる部分のある記事をクリップ。

まあ、「これでいいのかどうか」はわかりませんが、「そう悪くもないんとちゃうのん?」と個人的には思っています。この間の変化に何を読み込んで何を期待したかは人ぞれぞれでしょうが、小倉紀蔵センセの「落胆」を、私は気分的に共有していませんねえ。

日韓間の国家間関係や相手方に対する好悪の感情なんて、短期的・中期的にはよくなったり悪くなったりするでしょうけど、この10年、20年を考えてみれば、がっかりすることはあまりないんじゃないかなあ、と感じています。

特集ワイド:“韓流”ブームから10年−駐日韓国大使と新大久保を歩く 「近くて遠い国」つなぐ


コリアンタウンに立つ申・駐日韓国大使=東京・新大久保で

◇イケメン、料理…課題は相互理解

 韓流ブームの“聖地”である東京・新大久保。相変わらずの大にぎわいだ。しかしわずか10年前、日本と韓国がサッカー・ワールドカップ(W杯)を合同開催した02年には、少女時代もKARAも「冬のソナタ」もまだ日本には存在しなかった。まさに十年一昔。進化を続ける日本一のコリアンタウンを、申〓秀(シンガクス)駐日韓国大使(57)と歩いた。【小国綾子、写真・久保玲】

 黒塗りの公用車から申大使が降り立ったのは、韓流俳優やK−POPアイドルが訪れることで有名な韓国レストラン「大使館」の前。ホンモノの大使が「大使館」の前にいる……何だか不思議な光景だ。

 W杯開催の02年に開業し、大会中は駐車場に大型モニターを設置したこのお店、韓国がアジア勢で初の4強入りした夜には、真っ赤なユニホーム姿の韓国サポーターで埋め尽くされたのだっけ。

 「あの夜、ソウルの広場で私と娘は赤いユニホームを着て、韓国全土の700万人のサポーターとともに街頭中継を観戦していました」。申大使はソウル大在学中に外交官試験に合格。1986年から3年間日本で勤務した、韓国外交通商省きっての「ジャパンスクール」のメンバー。「W杯を両国で共同開催できたことが一番うれしかった」と振り返る。

 あれから10年。今の新大久保は「韓流のテーマパーク」だ。職安通りと大久保通り、それを結ぶ路地に韓国系の飲食店や雑貨屋など約350軒がひしめく。店先には韓流スターのブロマイドやK−POPアイドルのポスター。春休み中の女子大生が韓国コスメを夢中で物色している。

 そんな風景をながめつつ、申大使はしみじみと「韓流は未来に向けた韓日関係の大切な資産です」。前回日本で勤務した25年前とは隔世の感があるという。「当時、日本人はニンニクのにおいを嫌がるから、とキムチを我慢する在日韓国人もいたんです。それが今やこの通り」。飲食店の看板には、サムギョプサル(豚の三枚肉の焼き肉)にトッポッキ(餅のコチュジャン炒め)、それにホットク(黒砂糖入りお焼き)。まさに「電車で行けるソウル」である。

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 新大久保は「韓流10年」を凝縮した街だ。韓国料理のコラムニスト、八田靖史さん(35)によると「10年前、韓国系の店は50〜80軒だったが、03年の『冬ソナ』ブームを経て05年には韓流ショップが急増。さらに10年のK−POP人気で『オバサマの街』は全世代の女性のための街となった。『原宿から巣鴨まで』が凝縮されたってわけです」。

 東日本大震災直後は多くの韓国人が日本を離れ、一時はゴーストタウン化したものの、「『海外旅行の自粛ムード』が逆に味方し、5月の大型連休には客足が復活。今も右肩上がりの韓流バブルは続いています」と八田さんはいう。


大勢の女性たちでにぎわう東京・新大久保のコリアンタウン

 街を歩けば、ブームの定着ぶりがよく分かる。ショップに流れるBGMに合わせ、韓国語の歌詞を口ずさむ女子高校生たちは「聞いているうちに覚えちゃった」。ペラペラは無理でも、片言の韓国語をしゃべる人は増えている。大学の韓国語学習者もブームを受けて大きく増えた。

 韓国食材店はいつも大混雑。「紅酢(ホンチョ。ザクロなどを熟成させた酢)はどこ」「このブランド、好き」。普段使いのしょうゆでも買うように女性たちが韓国食材に手を伸ばす。ブーム初期は物珍しさから買う人が多かったのに。

 10代の少女と50代の熟女が同じ男性を「いいわー」とめでる不思議な女の園にも、最近は若いパパの姿がちらほら。小学生の娘がグッズを選ぶのを根気強く待っている。

 かつて、ミーハーだ、表層的だ、と批判もされた韓流ブームだが、時を経てより広く深く定着したように見える。

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 韓国ドラマのDVDが並ぶお店に「日本語字幕ありません」の張り紙を見つけた。原語でも大丈夫な客すら増えているのか!と驚いたら、隣で50代後半の女性5人組が「レンタルビデオ屋よりずっと安いわ」「でも字幕ないって」「あら、顔が見られればいいんだもーん」。

 何だかいたたまれなくなって、店頭に並ぶイケメン俳優の写真満載の韓国語学習用テキストを開けば、ハングルの説明より先にこんな例文が。「私はあなたのファンです」「握手していいですか」「永遠に愛しています」

 さすがに考え込んだ。これでいいんだろうか? かつて「近くて遠い国」と呼ばれたかの国は、確かにずっと近くなった。でも焼き肉食べて、イケメンめでて、コスメを買って……それだけ? 一方で「嫌韓流」への共感はじわじわと広がる。国家間に横たわる領土問題や歴史問題にも、さしたる進展はない。

 韓国研究者の小倉紀蔵・京大大学院准教授は8年前、韓流ブームを評し、こう書いた。「ミーハー軍団の分厚い勢力こそが日韓関係を良くしていく」と。彼は今、「10年たってもイケメンと料理だけ、という展開に多少落胆しています。もっと多くの分野で日韓関係の専門家が育ち、活躍してくれると期待していたのに」。しかし一方で「この街で、日本と韓国が最高の形で出会っているとは思わないが、少なくとも『出会った』ことは大きい。今後は、両国の間に起こる多少の摩擦にも揺るがない、より強固で深い相互理解が市民レベルで広がってほしいですね」と話す。

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 申大使がこんな話を教えてくれた。「日本ではあまり知られていませんが、実は韓国への日本文化の浸透ぶりもすごいんですよ。韓国人は週に2、3度日本料理を食べますし、ジャージャー麺を食べる時には必ずタクアンを一緒に食べます。韓国で1年間に出版される刊行物の40%は日本のアニメや漫画、文学作品なんですよ」。それからちゃめっ気たっぷりに「私の28歳の娘なんか、まるで日本アニメの専門家です」と言い添えた。

 ハングルがあふれ、「韓流」と書いたノボリが立つ街を、屈託ない笑顔をたたえた日本人観光客が行く。

 申大使は「いつかドラマとK−POPにとどまらず、文学やクラシック音楽、舞踊などより多様な韓国文化を知っていただければ……。より多様な分野でお互いに交流を深めて初めて真の相互理解にたどりつく。これが私たちの次の10年の課題ですね」。

 2022年の新大久保を、行き交う人を、見たくなった。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120312dde012040008000c.html

【から(韓)くに便り】
日韓相互理解と大震災 ソウル駐在特別記者・黒田勝弘
2012.3.13 03:26

 今から1年前、東日本大震災に際して韓国では日本に対する異例の“救援ブーム”が起きた。反日愛国キャンペーンではいつも先頭に立つマスコミが、今度は「日本がんばれ」と大々的な対日救援キャンペーンを展開した。

 さまざまな人や団体からたくさんの支援金が寄せられ、その額は台湾、米国に次いで3番目となった。この日本救援の盛り上がりに日本人はもちろん、韓国人自身が驚いた。日本はいまなお「嫌いな国」となっている韓国だから、これには双方で「革命的なできごと」「劇的な変化」といった声が上がった。

 ところがすぐ後に、日本の教科書検定で「竹島」をめぐる領土問題が再燃すると、とたんに救援ブームはしぼんだ。マスコミでも「あんなに日本を思ってやったのに…」「善意が裏切られた」などと、不満が堂々と語られた。

 これには日本人が驚いた。「日本ガンバレや救援運動は計算ずくだったのか」「それを言っちゃあ、おしまいよ」…と。

 結果は“元のもくあみ”で、日韓関係に革命的変化も劇的変化も起きなかった。世論調査では、日本では韓流ブームもあって韓国に対する親近感は50%を超えるほど劇的に変化しているが、韓国ではいまなお50%以上が「日本は嫌い」のままだ。

 では、韓国での当初の日本支援の気持ちは嘘だったのかというと、それはそうではなかったと思う。当時、テレビ映像などで伝えられた津波のものすごさや、それがもたらした惨状は、間違いなく韓国人の気持ちを激しく動かした。テレビを見ながら涙を流す人もいた。

 そこに日韓関係など入り込む余地はない。ひたすら「大変だ」「かわいそう」だった。

 経験的にいって、悲劇には日本人より韓国人の方がはるかに感情的、感傷的、情緒的である。日常的にも不幸な人に出くわすとわれを忘れて助けたがるし、恵みたがる。黙ってみていられないのだ。

 だから救援ムードは純粋だったし政治的計算はなかったのだが、にもかかわらず領土問題が再燃して「裏切られた」となった背景は、これもやはり韓国らしいできごとではなかったかと思う。

 日本人の筆者は当時、韓国マスコミとのインタビューなどで「領土問題がらみで“譲れ”みたいなこと言えば救援の純粋性が疑われて損じゃないのか」と自制を勧めたのだが、韓国人には日本流の「それを言っちゃあ、おしまいよ」が通じない。

 日本人なら、それを言いたくても言わないようにする“遠慮”が働くが、韓国人は遠慮せず「言っちゃう」のだ。感情、気持ちを隠さないという意味で実に正直なのだ。

 感情に忠実あるいは正直というのは、日本のはやり言葉でいえば“ジコチュウ(自己中心)”になりやすい。韓国での日常風景でも、韓国人は聞き上手では全然なくて、圧倒的に話し上手なのだ。酒席ではみんなが「オレの話を聞け!」と言い合っている。

 そんな韓国が、日韓の歴史認識や教科書問題などで「自国中心主義」などと日本を非難するのにはいつも苦笑させられる。大震災で寄せられた韓国人の積極救援には感動を新たにしつつ、日韓相互理解の難しさも改めて感じている。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/120313/kor12031303260000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120313/kor12031303260000-n2.htm


ちなみに余計なことですが、共感という点ではこちらの記事はまったくダメです。「韓流アイドル」って何なんですか。

止まらない韓流! なぜテレビはK-POPアイドルを起用するのか