では、その悪循環をどう断ち切るか

目新しい話ではありません。「相変わらずそうなんです」という話です。「人材のソウル一極集中」が韓国の国内的な一側面だとすれば、「人材の流出と空洞化」が韓国の国際的な一面だということになります。

ソウル大工学部大学院の斜陽化

もちろん韓国は極端な事例ではありますが、日本の大学も無縁な話ではありません。

記事入力 : 2012/04/03 14:09
【コラム】人材流出の悪循環を断ち切れない韓国の大学

 韓国科学技術団体総連合会(科総)が先ごろ、理工系の学生と理工系分野の従事者を対象に、理工系忌避傾向に対する認識調査を実施した。科学高校・英才高校の生徒から大学生・大学院生・会社員に至るまで幅広い調査対象者にアンケートを行った結果、大学院生の調査で予想外の結果が出た。修士・博士課程を修了した後の希望進路を尋ねる質問で、公共研究所との回答が42.1%、企業が38.9%を占め、最も比率が高いと予想された大学教授は18.3%にとどまった。

 調査チームは、その理由をこう分析した。大学院に進学するときには、学生の大半が大学に残って学問を続けたいとの夢を抱くものの、次第に誰でも教授になれるわけではないという現実を悟るようになるためだ、と。博士号取得者が年間1万人に達している中、たとえ無名大学の教授ポストだろううと韓国の博士号では到底望めず、一般的な大学に志願するなら、外国の博士号、それも米国の博士号を取得する必要があることを悟るというわけだ。

 実際に、韓国の有名大学に在籍する教授陣は外国の博士号取得者が絶対多数を占める。いわゆる「SKY(ソウル大・高麗大・延世大)」の場合、韓国で博士号を取得した教授の割合は20−40%にとどまる。昨年下半期に全国の四年制大学で教授として採用された博士号取得者684人のうち、55%が外国の博士号取得者だった。博士号を取得した国は米国が220人で圧倒的に多く、ドイツ(22人)、英国(21人)、日本(14人)と続く。また、ソウル大が昨年新たに採用した教授89人のうち、50人が外国の博士号取得者だった。韓国で博士号を取得した残りの教授らは、大半がむしろ外国の博士号が不利になる医学・歯学・法律分野のため、実質的には採用枠のほぼ全てを外国の博士号取得者が占めたことになる。

 こうした状況では、優秀な学生がチャンスさえあれば外国に留学しようとするのは当然だ。韓国で修士課程を修めた学生は外国で博士課程に進学し、韓国で博士号を取得した学生は外国で博士研究員(ポスドク)を目指すケースが多い。その際、最も人気のある国は米国だ。

 2010年に米国の大学で博士号を取得した外国人留学生は、1万3490人(157カ国)に上る。中国が3735人で最も多く、次いでインドが2140人、韓国が1379人と続く。この3カ国からの留学生が博士号取得者の半分以上を占める。ソウル大出身の留学生は、1997年から2006年にかけ3420人が米国で博士号を取得した。単体の大学としては、米国の大学も含め世界で2番目に多い。米国での博士号取得者がソウル大を上回ったのは、カリフォルニア大学バークレー校(4298人)だけだった。

 国の学問を発展させるには、優秀な研究者が大いに必要だ。米国の大学が目覚ましい研究成果を収めているのは、優秀な教授の元に世界各国から優れた人材が集まり、研究を支えているためだ。だが、韓国の大学では、優秀な学生がひたすら国外に出ようとしている。いくら頑張っても、韓国の博士号では教授になるのは難しいとの認識があるためだ。教授たちも現実を無視するわけにいかず、やむを得ず教え子たちに留学を勧める。こうして外国で学位を取得した韓国人学生の多くは、帰国せず現地で仕事を探している。今回の科総の調査では、回答者の27%が「留学後に就職できれば帰国しない」と答えた。

 米国では、特定の上級学校に多くの学生を進学させる学校を「フィーダー・スクール」と呼ぶ。言葉通り「養う学校」という意味だ。韓国の大学はまさしく、米国の大学にとって最も優良なフィーダー・スクールということになる。韓国の大学が人材流出の悪循環を断ち切れず、米国の大学のフィーダー・スクールであり続ける限り、韓国は学問の一流国家にはなれない。

金亨基(キム・ヒョンギ)論説委員

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/04/03/2012040301382.html

「そしたらどうすんねん?」となった時に、どういう答えを用意するか、ということですけど、まあ難しいでしょうね。

「学部でSKY+学位は外国」というエスタブリッシュメントのスタンダードがほぼ確立している韓国では、そのセットをすでに手にしている人は、その価値を死守したいでしょう。また、そのスタンダードに同意していれば、自分がそれを持っていなくても、息子や娘にそうした「学歴セット」を手に入れさせることを目指さずにはおれないでしょう。この巨大な流れに掉ささずにああだこうだ言っても、けっきょくは流されるに決まっています。

とりあえず、そこに乗っかかっている人や乗っかかりたい人にあれこれ言っても仕方ないような気がします。そちらはそちらで自由にやってもらいましょう。

その傍らで、見回してみれば少なくはない、そこから「はみご」になっている人間が、やれることをやることから、始めてみてはどうでしょうか。


ええそうです。自分に言ってます。


ちなみにこちらは、自由にやってもらったらいい方の話です。

【社説】韓国・松島に吹くグローバル教育ブーム
2012年04月03日18時09分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

ニューヨーク州立大ストーニーブルックの韓国分校、韓国ニューヨーク州立大(SUNY Korea)が先月19日、仁川(インチョン)松島(ソンド)国際都市で開校したのに続き、外国の大学が本格的に開校の準備をしている。米ジョージ・メイソン大が来年の春学期、ユタ大は来年9月、ベルギーのゲント大は2014年春学期に学部または大学院課程を開設するのを目標に、韓国政府に設立承認申請を提出または準備中という。これから松島に形成されるグローバル大学教育の新しい雰囲気が非常に期待される。

もちろんここで開校した外国大学はまだ一つにすぎない。にもかかわらず、仁川市と仁川経済自由区が外国大学や政府関係者との接触を続け、誘致に力を注いだ結果が徐々に表れているという点に注目したい。この際、韓国政府は昨年末に海外優秀名門大学を誘致するために出した約束を振り返る必要がある。韓国政府は今年上半期中に外国大学が韓国で生じた決算上の余剰金の一部を本国に送金できるよう法令を改正し、外国大学に設立支援金などの補助金を増やすという約束をした。しかしどの一つもきちんと履行されていない。余剰金の送金許容などを含む法律案は第18代国会で廃棄直前の状況だ。

シンガポールやドバイ、中国などは外国大学を一つでも多く誘致するために、大学敷地の無償貸与や建設費支援など破格的なインセンティブを約束している。こうした提案をする理由は明白だ。優秀頭脳の海外流出を防ぎ、国外に送金される莫大な留学費用を自国内にとどめるためだ。2010年を基準に韓国の留学収支赤字は45億ドルにのぼるという点で、韓国も外国大学の誘致を先延ばしにしてはいられない。

韓国政府は何よりも自ら出した規制緩和の約束を守らなければならない。そうしてこそ松島が外国大学に魅力的な投資先になる。優秀な教授陣と優れた研究成果を保有する大学が集まってこそ、松島を北東アジアの教育のハブに育成できるという政府のビジョンも実現される。

http://japanese.joins.com/article/806/149806.html?servcode=100§code=110