過去史関連二題

まずこちら。朝鮮戦争当時のこうした虐殺事件の筆頭に挙げられている居昌事件については、かつてその現場を訪れたことがあります。

d.hatena.ne.jp

ともあれ、こうした過去の事件について適用されていた「時効」が次々と覆されているというこの事態が、李明博政権下で進んでいるということは、次の政権が「保守」になろうが「進歩」だろうが、揺り戻しが来るということはなかなか考えにくいですね。朴槿恵にしても、維新政権時代の事件ならともかく、朝鮮戦争当時の李承晩政権下での事件の責任を認めることに躊躇う必然性はあまりないでしょうから。

ということは、さらにその前の時代の従軍慰安婦についてはもちろん……ともなるわけです。それは、日韓関係だけで議論しても見えてこない、問題の側面だと言えるでしょうかね。

記事入力 : 2012/11/27 14:36
朝鮮戦争当時の虐殺事件めぐり判例に変化

過去史委の調査発表時から消滅時効を適用
大法院の「時効満了」判決、次々と覆る

 6・25(朝鮮戦争)前後に韓国軍・警察などが起こした民間人殺害事件で、被害者らの損害賠償請求を認める判決が相次いでいる。

 釜山高裁は25日、「居昌事件」の犠牲者遺族が提起した訴訟で、一審判決を覆し原告勝訴の判決を下した。また今月15日には、いわゆる「江華島事件」の遺族10人に対し、5億3000万ウォン(約4000万円)の賠償請求を認めるソウル中央地裁判決が下っている。

 江華島事件とは1951年、右翼団体江華島の住民に対し「北朝鮮に協力した反逆者」という疑いをかけ、集団虐殺した事件のこと。さらに10月には「全南地域国軍11師団事件(パルチザン討伐作戦中に起きた韓国軍の民間人殺害事件)」の遺族137人に対し、21億ウォン(約1億5800万円)の賠償請求を認める一審判決が下った。加えて昨年6月以降、韓国各地のいわゆる「保導連盟事件(保導連盟=思想転向した元共産主義者の団体。朝鮮戦争開戦後、かつて共産主義活動に関わっていた保導連盟員が多数殺害された事件)」をめぐっても、賠償請求を認める判決が続いている。

 6・25時の民間人殺害事件に対する国家賠償訴訟では「消滅時効」問題が最大の争点になる。国家の違法行為によって生じた損害に対し賠償を受け取るためには、事件発生から5年以内、違法行為を知った日から3年以内に提訴しなければならない、というのが消滅時効だ。2008年に一部の「居昌事件」遺族の損害賠償請求訴訟を大法院(最高裁に相当)が棄却したのも、まさにこの消滅時効を厳格に解釈したからだ。

 しかし過去史委員会が事実関係を調査し、真相調査を発表すると、昨年から裁判所の判例が大きく変わった。

 それらの判決では、過去史委の処理結果が発表された時点を消滅時効の出発点(違法行為を知った日)としている。遺族は真相をきちんと知ることができなかったことから、国が「消滅時効が経過した」とするのは不当だ、というのが最近の判例の傾向だ。

 大法院は昨年6月、6・25当時左翼の疑いをかけられ銃殺された蔚山保導連盟員の遺族に対し、原告敗訴の原審判決を破棄して「国が処刑者の名簿などを3等秘密に指定し、真相を隠蔽(いんぺい)した後、今になって『賠償する時効は過ぎた』というのは不当」とする判決を下した。大法院は当時「過去史委の調査が終わった07年11月、遺族はようやく事件の全貌を知ることができた」と判断した。

 パルチザンに食糧を提供した疑いで民間人が集団殺害された「聞慶事件」をめぐっても、犠牲者の遺族が起こした損害賠償請求訴訟で、大法院が昨年9月「真実を隠し真相究明の努力すら怠った国が、消滅時効を理由に補償金の支払いを拒絶するのは著しく不当」という判決を下した。

 過去史委は10年12月、6・25当時民間人が犠牲になった事件6742件について真相究明を行ったと発表。この先も関連訴訟や国家賠償額が大幅に増える可能性が高い。

趙儀俊(チョ・ウィジュン)記者 , ソン・ウォンヒョン記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/11/27/2012112701523.html

もう一つは、以前にも何度か取り上げてきた、済州の平和博物館の売却問題。いちばん最近に書いたのは、この記事ですかね。

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朝鮮日報」の方は簡単なベタ記事に近いものですが、「ハンギョレ」にしても長々と書いている割には事実報道にとどまっています。その行間に、何とはなしに館長さんへの冷たーい空気を感じてしまうのは、私の邪推でしょうか。

記事入力 : 2012/11/27 12:57
済州平和博物館の買い取り推進へ

 済州特別自治道文化財庁は、日本による侵略の歴史を伝える済州市の私設博物館「済州戦争歴史平和博物館」の買い取りを決め、資産価値などを鑑定した結果、合計61億5600万ウォン(約4億6400万円)との暫定評価が出たと26日に発表した。同博物館は資金難で今年9月、日本人への売却覚書が交わされたと報じられていた。今回の評価では、旧日本軍によって作られた洞窟陣地が25億5600万ウォン(約1億9300万円)などの価値を持つとされた。

済州= オ・ジェヨン記者

http://d.hatena.ne.jp/bluetears_osaka/20121127

‘日本売却説’が出回った日帝洞窟陣地

済州道・文化財庁、24億で買い取り推進
登録 : 2012.11.26 22:15 修正 : 2012.11.27 01:00
運営難に陥るや借金解決のために売りに出す
平和博物館とあわせて総額‘61億ウォン’評価


済州戦争歴史平和博物館(平和博物館)

 ‘日帝強制占領期間に構築された洞窟陣地(坑道陣地)を金銭に換算すればどれ位になるのか?’

 運営難に陥り日本売却説が飛び交った済州市(チェジュシ)翰京面(ハンギョンミョン)清水里(チョンスリ)の済州戦争歴史平和博物館(平和博物館)の売却価格が出てきて関心を集めている。

 済州道は26日、運営難で日本への売却が議論されている‘済州カマオルム(釜岳)の日帝洞窟陣地と済州戦争歴史博物館’を文化財庁と共同で買い入れることにし鑑定評価をした結果、61億5600万ウォンと評価されたと明らかにした。

 カマオルム日帝坑道陣地は長さ2kmで、太平洋戦争末期に日帝が米軍の日本本土上陸を防ぐための‘決7号作戦’の一つとして済州道を最後防御拠点として想定し済州道民などを動員して構築した人工洞窟の1つだ。 文化財庁は2006年この洞窟を近代文化遺産登録文化財第308号に指定した。

 鑑定評価内容を見れば、坑道陣地の評価額は24億5600万ウォンだ。博物館および附帯施設は15億3200万ウォン、土地(4万4750㎡)は16億1900万ウォンだ。 また、文化財庁所属の中央文化財委員以外にも関連分野の大学博物館学芸研究官らが展示物や遺物など未登録動産文化財資料1800点余りを評価した結果、2億4200万ウォンと出てきた。 道は土地の場合は博物館周辺の博物館長の個人所有地1万4000㎡も文化財と付随しているため買い入れ対象に含めたと話した。

 文化財の資産価値を評価したのは今回が初めてだ。 道は「文化財の資産価値を評価した事例や評価機関がなく、困難があったが文化財庁の諮問を得て国内専門鑑定評価法人2ヶ所を選定し評価した」と話した。

 これに先立ち文化財庁は去る7月‘公益事業のための土地などの取得および補償に関する法律’により坑道陣地(1万5845㎡)について鑑定評価をした結果、2億7000万ウォンと出てきたと明らかにしたことがある。

 しかし、イ・ヨングン平和博物館長は歴史・文化・教育的価値を反映して再評価することを要求した。 日本側への売却意思を明らかにしたイ館長は10月15日、国会行政安全委員会の済州道国政監査証人として出席して「現在、借金は55億ウォンであり、この内 私債が30億ウォンだ。 韓国文化政策研究所は博物館が250億ウォンと評価したが、それと関係なく借金だけでも解決されるなら日本に渡しはしない」と話した。

 道と文化財庁は博物館を買い取ることになれば、この間平和博物館に支援した設備投資費と補助金など9億4000万ウォンを買い取りと同時に還収すると明らかにした。

ホ・ホジュン記者

韓国語原文入力:2012/11/26 20:22
http://www.hani.co.kr/arti/society/area/562454.html 訳J.S(1292字)

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/13414.html