芸能兵士から見えてくる軍の人件費ダンピング

たまに出る「夕刊フジ」の韓国関係のいい記事。基本的には「朝鮮日報」の一連の報道をまとめただけのような感じもありますが、要領よくまとめる仕事にもそれはそれで価値があります。

韓流スター熱愛から飛び火…嫉妬渦巻く「芸能兵士」って何?
2013.02.03


Rainさんとの熱愛が報じられたキム・テヒさん

 韓国を代表する歌手兼俳優のRain(ピ)さん(30)と女優、キム・テヒさん(32)の熱愛報道が思わぬ議論を呼んだ。「芸能兵士」として兵役中のRainさんが秘密デートで軍の規律に違反したと処分されたうえ、韓国国防省は芸能兵士への“特恵”見直しを行った。原則、全男子に兵役義務のある韓国で、政治家の息子や芸能人の兵役逃れが度々批判されてきたが、今回、「特別扱いだ」と韓国世論の集中砲火を浴びた「芸能兵士」とはいったい何なのか。

■世紀のビッグカップル、スクープ写真に写し出されたのは…

 Rainさんとキム・テヒさんが「昨年11月にソウル市内の公園で会い、テヒさんの車でデートした。12月は毎週日曜日に会い、クリスマスも一緒に過ごした」

 韓国のインターネットメディアが元旦にデート現場の写真とともに2人の熱愛をスッパ抜いたのがそもそもの始まりだった。

 Rainさんは、歌手として日本をはじめ、中国や東南アジアでも絶大な人気を誇る一方、ハリウッド映画にも出演し、米国の映画賞などに輝いた。キム・テヒさんは、ソウル大学出身ということもあって「才色兼備」の女優として人気を集め、日本でも話題となった韓流ドラマ「IRIS−アイリス」出演などでトップスターとなった。

 キム・テヒさんの所属事務所が熱愛報道があったその日のうちに「交際しているのは事実。現在は好感を持ってお互いを少しずつ知っていく段階」と交際を認めたため、ビッグカップル誕生にメディアは沸いた。

 しかし、単純に「祝福」とはならなかった。スクープされた写真の中のRainさんの服装がやり玉に挙がったのだ。着用が義務付けられている軍帽をかぶっていない−。これが服務規律違反に当たると批判された。

 Rainさんの事務所は「(クリスマス)休暇は軍の規定に従っている」と釈明したが、そもそも兵役中の人間がなぜデートを重ねられるのか−という点も疑惑のマトとなった。

 韓国国防相の短文投稿サイト、ツイッターに女性が「私は軍隊に行った彼氏に会えないのにキム・テヒは頻繁に会えるのはおかしい」と書き込むなど、国防省に非難が殺到。同省がRainさんを含む「芸能兵士」の実態調査に乗り出した。

■4日に1日は外泊、兵役中に愛を育む?!

 韓国国防省直属の「国防広報支援隊員」。これがRainさんの軍内での役割だ。1996年に制度化され、タレントや歌手から選抜された約20人が慰問公演や軍の広報活動に当たる。

 「芸能兵士」と通称され、一般兵士から羨望のマトになっているが、彼らが有名人だからだけではない。一般兵に比べ、慰問公演に加え、歌やダンスのレッスンを理由にした外泊の機会が多く、公演の見返りとして特別な休暇も認められているからだ。

 2011年10月に入隊したRainさんも当初は別の職務に当たっていたが、昨年3月に志願して芸能兵士となった。韓国メディアによると、2人が親しくなったのは11年10月初めのCM撮影でのこと。数日後には入隊しており、兵役中にもかかわらず、芸能兵士の「特権」を使って愛を育んでいたことになる。

 その後の国防省の調査で、Rainさんは昨年11月下旬から12月上旬にかけ3回、曲の編集のためにソウル市内のスタジオを訪れた後の夜にキム・テヒさんと密会し、いずれもテヒさんの車で国防省の裏門まで送り届けられていたことが分かった。

 慰問公演やレコーディング、レッスンのほか、特別休暇などとして、これまでに計94日間の外泊が認められていた実態も明らかになった。450日間の兵役期間中、40日強しか休暇が認められない一般兵士の倍以上に当たる。

 Rainさんは28日間の定期休暇を消化していなかった。芸能兵士になってからは4日に1日は外泊している計算になり、「定期休暇を使う必要もなかった」と皮肉られた。

■「ただ働きで酷使」 前線で働きたい…願いかなわず

 国防省は、服務規律に違反したとして、Rainさんに7日間の謹慎処分を科した。ただ、部隊に戻る際に3回、キム・テヒさんと私的に接触した事実と軍帽をかぶらなかった点だけを規律違反とみなし、外出・外泊自体はあくまで「公務」だとした。

 「軍内では、レコーディングやレッスンの設備が不足しており、芸能兵士の外出や外泊は致し方ない」との立場だ。一方で、謹慎は処分として軽すぎるとの批判も出た。

 芸能兵士の“特恵”ばかりがやり玉に挙がることに対して芸能界からは反論の声も上がった。芸能兵士側には「軍でただでこき使われ、休暇でごまかされている」との不満がある。

 Rainさんクラスのトップスターが芸能兵士に就くと、各部隊のほか、自治体からも公演依頼が殺到し、軍の広報ビデオやポスター撮影でも忙殺されるのも実情だという。

 朝鮮日報は「トップスターの2年間のギャラは100億ウォン(約8億3千万円)を超えるのに軍はただで使っている」という芸能事務所関係者の声に加え、約2年の兵役中に公演回数が300回を超えた歌手や無理なリハーサルがたたって大けがをした俳優の実例を報じた。

 Rainさんは「広報支援隊員として自分なりに最善を尽くしてきたが、これまでの活動が全て否定された」と反発も見せたという。軍の広報公演を成功させるため、徹夜でレッスンすることもあり、外泊ではスタジオに泊まり込んでいたのも事実だ。

 謹慎中は「私の誤った行動で部隊全体に迷惑をかけ申し訳ない」と書いた反省文も提出。国防省関係者の話としてメディアが伝えたところでは「一時、体重が7キロも減るほど精神的にまいっていた」ともいう。

 国防省は1月下旬、芸能兵士にも一般兵士と同じ休暇基準を適用▽公務外出には幹部が同行▽軍主催行事での部外者との私的接触制限など管理強化−といった特別管理指針をまとめた。

 その一方で「広報支援隊員を特別扱いしているという誤解を解くためであり、Rain問題で指針が強化されたわけではない」と説明した。

 Rainさんは7月までの残る軍務を「前線で一般兵士とともに過ごしたい」と職務変更を申請したが、聞き入れられなかったという。(外信部記者)


謹慎後、軍の行事に参加するRainさん(中央)=1月19日、ソウル(ロイター)

http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20130203/enn1302030801002-n1.htm

極私的な感想を言わせてもらえば、この問題で注目されるべきは、芸能兵士であっても一般兵士(職業軍人でない徴兵対象者)であっても、娑婆の世界では当然支払われるべき報酬をダンピングしたところで成り立っているのが軍という組織だ、という点でしょうかね。

d.hatena.ne.jp

d.hatena.ne.jp

まあ、ここを「民間並み」にした日には、軍事費の膨張は恐ろしいことになると思いますけど。

RAIN騒動、「芸能兵士」めぐり批判論と擁護論

 人気歌手RAIN(ピ)こと鄭智薫(チョン・ジフン)上等兵(31)が一般兵士に比べ多い休暇や外出を認められ、公務上の外出時に交際相手の女優キム・テヒさんとデートを重ねていたなどとして規律違反に問われた騒動で、鄭上等兵が務めていた「国防広報支援隊員」(通称・芸能兵士)の在り方をめぐる論争が続いている。

 芸能兵士は通常の兵士に比べ2−3倍の休暇、外泊、外出を認められており、公平性をめぐって議論の余地がある。しかし、芸能界からは「軍で酷使されているのに休暇でごまかされている」との不満も根強い。

■「明らかに特別扱い」VS「酷使だ」

 今回の一件はトップスター同士の単なる熱愛騒動にとどまるはずだった。しかし、鄭上等兵が公務上の外出時にキム・テヒさんと会っていた事実が明らかになった後「軍の服務規定に従い、外出・外泊を認められた」と語ったことが騒ぎを拡大させた。

 芸能兵士が通常の兵役中の平均休暇(21カ月で43日)に比べ2倍以上の休暇や外出を認められている実態がインターネット上で広まり「特別扱いではないか」という批判が集まった。しかし、芸能事務所や芸能人本人の反応は全く異なる。むしろ「酷使されているのに、一方的に世論から一斉に批判されている」と不満を口にしている。ある芸能事務所の経営者は「十分な準備環境を与えずに歌わせるなど演技者を無理にステージに立たせている」と批判した。

 芸能事務所関係者の中には「トップスターが2年兵役に就けば、(仮にギャラに換算すると)100億ウォン(約8億3000万円)を超える。軍はただで使っているではないか」と話す人もいた。

 芸能兵士も苦境について語る。歌手Bさんは「2年間の兵役で公演回数が300回を超えた」と話した。メークなど公演準備も一人で行わなければならなかったという。昨年除隊した俳優イ・ジュンギさんは、入隊から50日後の2010年8月にミュージカル『命の航海』に出演したが、リハーサルで額を50針縫うけがをした。当時ファンは「ミュージカルに臨んだことがない俳優を無理にステージに立たせた結果、事件が起きた」と集団で国防部(省に相当)に抗議した。

 芸能兵士を志願せず、前線部隊で捜索隊員として兵役を終えた歌手キム・テウさんは「軍での生活までスケジュールに縛られて暮らしたくはなかった。芸能人だという理由で、望まないステージに出演することに自信がなかった」と述べた。

■国防部の管理に問題

 芸能兵士は国防部直属の広報支援隊に所属している。俳優やタレント、コメディアン、歌手、司会者、作曲・編曲家など芸能活動の経歴があり、兵役期間が半年以上残っている兵士から選抜される。定員は20人(現在16人所属)で、必要に応じて随時選抜されている。競争率は3倍ほどだ。

 鄭上等兵のようなトップスターが広報支援隊に入ると、各部隊から慰問公演の要請が殺到するという。軍の広報映像やポスターの撮影もひっきりなしだ。地方自治体がトップスター級の芸能兵士の出演を条件に、軍に共同公演を提案することもある。

 軍関係者は「各部隊がトップスターを招こうとするので、芸能兵士には休暇や外出・外泊などで補償せざるを得ない面がある」と述べた。別の軍関係者は「軍内に練習施設が不足しているため、頻繁な休暇、外出、外泊は避けられない」と話した。

 昨年国会で芸能兵士の問題を指摘した陳声準(チン・ソンジュン)国会議員(民主統合党)は「外出、外泊、休暇を嫌がる兵士はいない。しっかり管理しなかった国防部が問題だ」と指摘した。

 ソウル芸術大放送演芸科のキム・スンス教授は「芸能人と言うと以前は兵役不正がまず思い浮かんだ。彼らが堂々と入隊し、才能を発揮する一方で、軍は徹底した管理を行うシステムをつくる必要がある」と訴えた。

チェ・スンヒョン記者 , チョン・ヒョンソク記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/05/2013010500410.htm

それにしても、この騒動がなかったら、今さらこの欄で「ラストプレゼント」なんて旧作を取り上げることはなかったでしょうねえ。いえ、好きな韓国映画では五本の指に入る作品なんですが。

そうか、イヨンエの中学時代を演じていたのはキムテヒだったんですね。思えば、私が彼女を認識したのは、本放送からずいぶん後にサンテレビか何かで観た「ラブストーリー・イン・ハーバード」が最初でした。

ラスト・プレゼント 誰もが羨む自然美人キム・テヒ 不釣合いな熱愛に強い風当たり
2013.02.02
連載:夫婦で観よう!韓国エンタメ

 韓国にいると、とんでもないテレビ番組を目にすることがある。人気女優たちの顔写真を並べ、どの女優の整形手術が優れているかを競うのだ。整形外科医が解説し、手術にかかった費用を予想する。日本ではまずあり得ない番組だと思う。

 それだけ整形美人が多い韓国芸能界で、“自然美人”といわれているのがイ・ヨンエとキム・テヒだ。日本でも人気の高い女優だが、名作『ラスト・プレゼント』では、キム・テヒがイ・ヨンエの中学時代を演じている。

 ヨンギはまったく売れない芸人。妻のジョンヨン(イ・ヨンエ)とケンカばかりしていた。だが、突然ジョンヨンが倒れ、彼は初めて妻の余命が短いことを知る。ヨンギは妻の病気に気づかない振りをしながら、彼女の初恋の相手を探すことに。一方、何も知らないジョンヨンも内助の功で、夫のコンテスト出場を助けるが…。

 キム・テヒといえば、日本の東大にあたるソウル大学出身の才媛。子供の頃から美人で知られており、在学中にスカウトされて芸能界入りした。

 韓国では「母親の友達の娘」という言葉を略した“オムチンタル”と呼ばれている。母親が子供に小言をいうとき「私の友達の娘は…」と比較に出す模範生のことだ。家柄や学歴、容姿のすべてに恵まれ、誰もが羨む完璧な女性をいう。

 ただし、彼女の女優としてのキャリアは演技派ではなく、“美人女優”という位置づけにとどまっている。

 プライベートでは年明け早々、人気歌手RAIN(ピ)との交際が発覚し、日本でも報じられた。RAINは現在入隊中で、キム・テヒとの密会が軍規違反にあたると非難を浴びた。謹慎処分を受けたが、その処分は軽く、いまだ風当たりは強い。

 ちなみに、韓国で2人は不釣合いなカップルと見られている。やはり学歴や家柄がものを言う社会。キム・テヒの学歴の高さと家庭環境であれば、RAIN以上の男が似合うというのだ。もちろん、生まれながらの美貌も彼女の価値をグッと高めている。(児玉愛子)

【オススメ度】★★★★☆

●DVD情報…全国のレンタルショップで。

http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20130202/enn1302021513001-n1.htm

ラスト・プレゼント [DVD]

ラスト・プレゼント [DVD]

  • 発売日: 2003/06/04
  • メディア: DVD