韓国の古本屋街の話

先日、別のところでひとしきり話題になっていた韓国の古本屋街についての朝鮮日報のコラムが、今になって邦訳されていますね。

ソウルの古本屋街 - ヌルボ・イルボ 韓国文化の海へ

[만물상]헌책방 거리 - 조선닷컴

私も昔、ちょっとだけこれ関連の記事を書いた(というか、クリップした)ことがあります。

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記事入力 : 2013/02/11 07:27
【萬物相】古本屋街

 1カ月に一度は古書店を訪れる。自宅近くのソウル・新村一帯には今も「学友書店」「コンさんの本屋」「隠れている本」というような温かみのある名前の古書店が多く残っている。先週の昼休みには、鍾路2街に開店して間もないアラジン中古書店に行った。同じ古書でも「お客様が今売った本」「今日入荷した本」のように「新鮮さ」別に分類されていてセンスがあるように見受けられた。英文学の大家、李相億(イ・サンオク)ソウル大名誉教授が20年前に出したエッセイ集『ホトトギスとコノハズク』など4冊を1万3000ウォン(約1100円)で購入した。

 1960−70年代、「街の哲学者」と呼ばれたミン・ビョンサン氏は東大門の古書店街に毎日通い続けた。ミン氏は「買いたい本があっても金が足りずにそのまま書店を出る時は胸が痛い」と話した。しかしミン氏がさらにつらい気持ちになる時がある。「持ち主の手から離れるはずのない本が古本屋に売られ、他の本の間に挟まっているとき」だ。ミン氏は「この本がどのように持ち主から離れてしまったのか、持ち主にはどんな事情があったのだろうか。あれこれ想像すると悲しくなる」と話した。

 毎年4万種類以上の新刊が大量に出版される。だがこのうちの大部分は、読者に記憶される間もなく書店から消えて行く。新刊書店ではいくら目を大きく見開いても見えなかった本が、古書店で「私、ここにいるよ」と存在を現すとき、読者は宝物を発見したような喜びを感じる。古書店巡りを50年続けている元新聞記者の南載熙(ナム・チェヒ)氏は、これを「アスファルトの上の釣り師が大物を釣り上げる喜び」と表現した。

 読書先進国には、その国を代表する古書店街がある。東京・神田の神保町、英国ロンドンのチャーリング・クロス通り、パリのセーヌ川沿いのノミの市のようなところだ。英国ウェールズのヘイ・オン・ワイは、50年前に衰退した炭鉱村を古書店街に変身させ、年間50万人を集めている。この10年、日本の新刊書店は6000店以上減少したが、神保町の古書店はむしろ増加した。

 朴淳元(パク・スンウォン)ソウル市長が先日、朝鮮日報のインタビューで「清渓川や新村の大学街にヘイ・オン・ワイや神保町のような古書店街を作る」と話した。われわれにとっても、かつてソウルの清渓川、釜山の宝水洞、大邱の南門市場、仁川・昌栄洞など、各主要都市に地域住民たちに愛される古書店街があった。物資が足りないためリサイクルする、という意味もあったが、基本的には本を大切にし貴重なものとして扱う雰囲気が、その時代にはあった。最近繁盛しているコーヒーショップと古書店文化が協力し合えば、ソウルに格調ある街が誕生するきっかけとなるかもしれない。

金泰翼(キム・テイク)論説委員

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/02/11/2013021100051.html

朴元淳市長*1への参考のために書いておけば(余計なお世話でしょうが)、神田神保町の古本屋街についての簡略な来歴を知るには、この本がまず挙げられると思います。今となっては、こういうのを同時代的に書ける人はもうおられないのではないでしょうか。

東西書肆街考 (岩波新書)

東西書肆街考 (岩波新書)

韓国の有名な古本屋街――ソウル東大門の清渓川沿い一帯や釜山の宝水洞などには、ある程度の店舗の集積はあるんですが、店舗間の専門分化や品揃えのバラエティーに欠けるような気はします。古書店街を今後、積極的に育成していくとすれば、そのあたりが課題になってくるでしょう。

その点からすると、古本屋街というほどではないのですが、仁寺洞の古書店へ足を運ぶ、ということになりますね、現状では。特に「大韓民国以前」の資料となると、余計にそうです。

韓国で一番歴史のある古書店・通文館のこと - ヌルボ・イルボ 韓国文化の海へ


ちなみに、記事に名前が挙がっていてまだ行ったことのない古本屋街のことをちょっと調べてみると。

仁川の昌栄洞にあるという「ペダリ古本屋街」は、東仁川駅から歩いて10分くらいのところにあるようです。この場所、水道局山のタルトンネ博物館に行ったときにたぶんニアミスしています。水道局山は、そこから少し北になります。東仁川駅を起点にして、どちらも余裕で徒歩圏ですね。

仁川・東区の名所 - ショッピング

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また、大邱の古本屋街があるという南門市場は、大邱の地下鉄1号線と2号線が交差する半月堂駅から歩いて数分といったところにあります。NAVER地図では(仁川・昌栄洞のように)古本屋街が項目としてあがってこないので、あまり大きな古本屋街ではないと思われます。

日本語で説明があるのは、このページくらいでしょうか。

九州大学朝鮮史学研究室 - 韓国書店めぐり テーグ編

大邱には3度ほど行ったことがありますが、経由地としての東大邱駅やその近くの高速バスターミナル・東部バスターミナルと、聖堂池(성당못)駅前の西部バスターミナルの周辺を除けば、忠魂塔とかアプ山公園とかいった市街の端っこしか訪れていません。

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「ランニングマン」の大邱編を観て以来、練炭網焼きプルコギを食べに行きたいと思っているのですが、なかなか行く機会がありませんねえ。

大邱十味」には入っていませんし、「ランニングマン」でも選外でしたけど、いちばん美味しそうだったのがそれだったんです。

大邱の味10選

런닝맨 대구의 맛을 찾아라! 맛집 투어하자! - 트래블로


*1:朝鮮日報の翻訳でなぜ名前が逆さまになっているのかは謎です。