都市の歴史を歩く試み

最近、そういう本を立て続けに読んでいたところでしたので、この記事も目につきました。

大阪アースダイバー

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世に居場所のない旅人(気取り)として、こういう試みにはやはり共感を覚えます。


記事入力 : 2013/03/03 09:52
失われたソウルを探して…歴史探訪本が人気


▲ソウル・鍾路の路地裏にあった繁華街「ピマッコル」がなくなり、清進洞のピンデトック(緑豆の粉で作るお好み焼き風の食べ物)店「チョンイルチプ」も、今ではルメイエル鍾路タウンの中に移転して、多数の飲食店のうちの一つになってしまった。写真は2009年10月23日、工事中のチョンイルチプの入り口。/写真提供=オ・ヨンウクさん、ペーパーストーリー社

 本を1冊かばんに入れて「ソウル」を探しに出掛ける巡礼者たちがいる。彼らが探し求めるソウルは、シネマコンプレックスや複合商業施設、新しい広場などで埋め尽くされた2013年のソウルではない。ソウルの思い出を探しに出掛ける人もいれば、開発の陰で注目を浴びることのなかったソウルの歴史をたどる人もいる。

 ここ1年で、ソウルをテーマにした書籍が十数冊出版された。『サ・ソクウォンのソウル恋歌』(セムター社)、『再び、ソウルを歩く』(アルマ社)、『それでも私はソウルが好き』(ペーパーストーリー社)、『ザ・ソウル』(ブック・ノマド社)などがそうだ。最も新しい『サ・ソクウォンのソウル恋歌』は、1月16日の発売からわずか1週間で増刷が決まったほか、昨年6月に出版された『それでも私はソウルが好き』も6回目の増刷に入っている。

 「ソウルの人々の故郷は、すでにソウルから消えてしまった」(サ・ソクウォン)。鍾路にあるピマッゴル(飲食店が集まる路地裏の繁華街)にはルメイエル鍾路タウンが建設され、広場となった光化門には世宗大王の銅像がそびえ立つ。清渓川には再び水が流れるようになったが、これは人工の噴水のようなものだ。光熙洞はモンゴル・タウンと化し、明洞は日本や中国からの観光客に占領されている。ソウル市庁舎もいつの間にか様変わりし、前ソウル市長が掲げた「デザイン・ソウル」という公約によって、市内の看板のサイズと色は統一され、町の風景はシンプルに変わってしまった。だが、本当のソウルを探す人たちは「そのようなソウルは『私のソウル』とは違う」と語る。

 画家のサ・ソクウォンさんは、ソウルが「黒」だった時代を振り返る。「食堂の一角に積まれた黒い練炭が、白黒の映像として記憶に残っている。(中略)制服も黒かったし、自動車も黒かった。丸刈りの中高生たちの頭をたたく長くて固い出席簿も黒だった。テレビももちろん白黒だ。目に見えるものだけではなかった。緊急措置1号から9号、維新、デモ、大統領逝去…」。そして「仮にソウルの一部が欠けたり付け加えられたり新しく色を塗られたりして、昔の姿とは異なったとしても、それでもなお私にとっては温かく思い出のぎっしり詰まった宝箱」と語る。

 ランドマークビルや不動産価格だけで論じられるソウルだが、こうした人たちの作業を通じて本来の地域的特性がよみがえってくる。『再び、ソウルを歩く』の著者で作家のクォン・ギボンさんは、聖水大橋や高速ターミナルなど20カ所以上を歩き、その場所に関するソウルの開発の歴史を解き明かしてくれている。出版社「ブック・ノマド」のユン・ドンヒ代表は「ソウルを壮大な場所として造り上げ、ランドマーク化するという計画が、行き過ぎたものに思えて嫌悪感があった」と語った。

 これらの書籍は、ここ2−3年にわたり低迷していた旅行エッセー分野の市場に新たに食い込んでいる。出版界ではこうした本を選ぶ客層が、海外旅行の自由化された1990年代以降に20−30代でニューヨークやロンドン、パリなどを旅行した世代だとみている。出版社「ペーパーストーリー」のシン・ジュヨン編集長は「いつでも旅行に出掛けられたこの世代は、外からの視線でソウルを再び見詰め、新たな見方をしている。ソウルもニューヨークやパリ、ロンドンに劣らず、最先端の部分と開発されていない部分が共に存在する都市ということに気付いたのだろう」と分析した。『それでも私はソウルが好き』の著者で作家のオ・ヨンウクさんはすでに「旅行しているようにソウルで暮らしたい」と宣言している。こうした人たちにとってソウルは、恥ずかしさや醜さを感じる所ではない。オさんはスペインからやって来た留学時代の友人に、鍾路の派手なネオンや看板、ごちゃごちゃした多世帯住宅を見せ、夕食にはホルモン料理を振る舞う。ファッション誌『オー・ボーイ』はこれまでベルリンやパリのような都市を特集することが多かったが、最近になってソウル特集を組んだ。また、毎号「マイ・プライベート・ソウル」というコーナーを設け、読者から、自分にゆかりのある場所の写真や文章の投稿を受け付けており、同誌がソウルに対して持っている自信や愛情がうかがえる。

シン・ドンフン記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/03/03/2013030300182.html

でも、こういう試みって、必ずしも楽しいものとは限りませんよ。反吐が出そうに嫌なものとか、「いっそ見なければよかった」とか思うものも、見てしまうことを、覚悟しておかないと、いずれ痛い目を見ます。

都市の政治学 (岩波新書 新赤版 (366))

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そういう意味で、上の朝鮮日報の記事には陰影のない平板な明るさが感じられてなりません。「わかってないなー」とエラそうに言うつもりはありませんが、いかにも「今どきのソウル」っぽい書き方な気がします。「その都市本来のもの」として、ホントに嫌なものを見せられた時に、こうした軽いノリが一転しなければ、よいのですが。


というわけで、今日はこの本が、私のお友だちです。

上海歴史ガイドマップ

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