論文盗作問題に対する認識と対策

先日、これが問題になった時には、「一部の特殊大学院の問題」とでも言いたげな論調も目につきましたけど、今回の朝鮮日報の一連の記事ではそういうニュアンスは影を潜めているように見えます。

執筆者本人の問題、では済まされない話

論文盗作問題の続き

「一部にはちゃんとしているところもある」という主張は、言ってて情けなくなってくるものではありますが、それが現実だとすれば、そこから出発するほかありません。

記事入力 : 2013/05/12 08:59
論文盗作、各大学で根絶の動き
盗作根絶、希望はある

 論文盗作が韓国の学界で一般的な現象となっているが、盗作には一切縁のない「潔白な学科」もある。

 ソウル大学東洋史学科の論文指導は厳しいことで有名だ。修士論文を書くのに少なくとも3年、博士論文は6年かかる。同学科では、なんとか修了したからといって論文も適当にパスさせてくれると思ったら大間違いだ。同学科の修士過程で学ぶある学生は「10年以上在籍しても、教授たちに認められず、結局博士学位を取ることができずに去っていった人も少なくない」と話す。ソウル大学の関係者は「学科ごとに違いはあるが、韓国国内では一般的に修士号は2年、博士号は5年あれば取得でき、これよりも短い期間で取得できるケースも多々ある」と話した。

 ソウル大学東洋史学科の学位論文の審査過程は非常に厳しいことで有名だ。論文審査の対象者は、審査前に参考文献リストを全て教授に提出し、教授たちは審査対象となる論文の参考文献まで全て目を通してから審査場に入る。学科長のキム・ビョンジュン教授は「自分の考えではない他人の考えを、引用の記号なしに黙って持って来るのは全て盗用だ。これは基本中の基本であって、強調しなければならないこと自体、恥ずかしいこと」と話した。数年前には、ある学生の学士論文で盗作が発覚し、その学生は1学期遅れて卒業することになった。同学科の研究成果は世界的だ。同学科が定期的に発刊する『ソウル大学校東洋史学科論集』は、正式な学術誌ではないものの、海外の東洋史関連の研究者たちの間では「必読書」とされている。

 延世大学天文宇宙学科も盗用が許されないことで名高い。同学科のイ・ヨンウク教授は「うちの学科は『文章1行たりとも同じものがあってはならない』と教えている。本人のオリジナルリサーチではない内容が論文に入ることは犯罪だ」と話す。学位論文の審査と関連し、天文宇宙学科のある関係者は「他の大学のように審査対象者の指導教授が審査委員の教授よりも先輩だからといって『人目』を気にしながら適当に審査するなど絶対にあってはならないこと」と言い切った。同学科は、国際的にも認められるSCI(科学技術論文索引)クラスの学術誌の中でも最高等級に、1年に平均で50編ぐらいの論文を掲載している。それも、全て英語の論文だ。学科の優秀さについては、米国航空宇宙局(NASA)でも認められており、1998年から昨年までに二つの機関が共同研究を進めた。

 二つの学科のほかにも最近、盗作問題の根絶に向け、さまざまな動きを見せる大学がある。中央大学は7日、研究上の不正を調査する研究倫理委員会(研究真実性委員会)の常設化について検討している、と明らかにした。同大学のハン・サンジュン教務所長は「研究倫理委員会は情報提供がなければ動かないという消極的な姿勢から脱し、新しく任命された教授の論文検証はもちろんのこと、学位論文や研究論文の代筆、盗作までを検証することになる」と明らかにした。西江大学は、学位・研究論文の研究倫理における不正行為を検証・教育する倫理センターを、早ければ来学期にも開設する。倫理センターでは、論文の盗作・代筆問題をはじめ、学内の全般的な倫理問題を全て取り扱っていく予定だ。

 また、盗作防止プログラムを取り入れる大学も増えている。ソウル大学、淑明女子大学、啓明大学、建国大学大学院は、盗作防止プログラム「Turnitin」の導入を検討している。漢陽大学、仁荷大学などがすでに導入を決めている同プログラムは、全世界の単行本や論文のデータベース(DB)と利用大学が提出した論文の類似性を単語単位で検査して、盗作かどうかを選り分ける。「Turnitin」のサービス業者であるアイ・パラダイムス・コリアのユ・ヨンジェ代表は「最近、論文の盗作が社会的問題として浮上して以来、1日に3、4校の大学から問い合わせがあるほどに脚光を浴びている」と話した。同業者が今月9日、建国大学で開催する研究倫理セミナーには、すでに国内の50大学が参加を決めている。

タン・スンシク記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/12/2013051200205.html

記事入力 : 2013/05/12 09:02
韓国の大学教授86%、同僚の盗作行為を「黙認」

盗作に罪の意識を持たない韓国
「沈黙のカルテル」…大学教授600人にアンケート調査

 大学教授の86%が、同僚教授の盗作行為を「穏便に処理」あるいは「黙認」していることが明らかになった。

 教授新聞は17日、創刊21周年に合わせ、韓国の四年制大学の専任教授600人を対象に電子メールでアンケート調査を行った。その結果、回答者の62.6%が、同僚の盗作行為について「批判はするが穏便に処理する」と答えた。また「知らないふりをする」という回答も23.7%に上った。同僚の盗作行為を黙認する教授が、全体の86.3%に上るというわけだ。特に、同僚教授の盗作に知らんぷりをするという回答は、2001年のアンケート調査では4%だったのに対し、今回は6倍に増えている。一方「直ちに批判して責任を問う」という教授は、同じ期間に12.5%から5.7%へと半分以下に減った。

 盗作問題は「教授の無分別な政治参加」(24.3%)に続き、教授社会で至急解決すべき2番目の課題(23.5%)に挙げられた。盗作とも関連する「学位論文の不正な指導及び審査」の問題を最優先の解決課題に挙げた教授が23.3%に達したことを考慮すると、教授全体のおよそ半分が盗作問題の解決を最優先課題と考えていることが明らかになった。

 自分が所属する教授社会での盗作問題については「極めて深刻」(5.3%)、あるいは「やや深刻」(35.3%)という回答が合わせて40.6%に達した。

 一方、学界の論文盗作・捏造(ねつぞう)問題が社会的な問題として浮上したことを受け、主要な各大学は次々と対策の整備に乗り出している。ソウル大学は17日、研究真実性委員会の綱領を現行より厳しく改正すると発表した。これまで、研究上の不正を行った教授が、真実性委員会の調査に誠実に応じてこなかったという判断に伴うものだ。また高麗大学は、全ての新規任用対象教授について論文の盗作をチェックしており、今後修士・博士の学位論文まで全数検査する案も検討している。

ヤン・スンシク記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/12/2013051200206.html

ただですねえ、こういうことの対策に多大な労力を投入されるというのは、決していいことではありません。様々な仕事に投入できる労力というのは限られているわけですから。

「ちゃんとしていることが例外的」であるところを出発点にして、「ちゃんとしてないことが例外的」であるところまでどうやって到達するか。

前にも書きましたけど、技術的な方策の以前に、「なぜ盗作がだめなのか」というところを、大学に関わるすべての人たちの間で、ちゃんと論じておかないといけないと思います。

記事入力 : 2013/05/12 09:06
韓国の名門大学、論文盗作対策に躍起

盗作に罪の意識を持たない韓国
対策に乗り出した学界


 罪の意識なく行われる論文の盗作・捏造(ねつぞう)問題に対し、韓国の学界や関連機関が本格的な対策の整備に乗り出した。ソウル大学高麗大学は研究倫理の強化に乗り出し、教育部(省に相当)は韓国の各大学を対象に研究倫理上の不正の実態調査を行った。また国会には、大学の研究倫理を強化する内容を盛り込んだ高等教育法改正案が上程された。

 とはいえ、依然として多くの大学や教授は対策に後ろ向きだ。盗作が確認された修士・博士論文を直ちに取り消す処分すら取らず、教授を対象にしたアンケート調査では「同僚教授の論文盗作問題は穏便に扱う」という回答が全体の86%に達した。

 ソウル大学は17日、最近研究真実性委員会の全体会議を開き、研究倫理規定を大幅に強化する案を整備することにしたと発表した。新たに改正される研究倫理規定には、現行の規定よりも研究真実性委員会の権限を強化する内容が追加されるという。ソウル大学の関係者は「これまで、研究倫理上の不正が発覚しても、知らんぷりをする人が多かった。本人が積極的に盗作ではないことを釈明しない場合、研究倫理上の不正を認めたものと見なすべき、という意見もある」と語った。

 高麗大学は現在、新規任用が有力な教授の全論文を検証している。同大学によると、情報分析センターを通じ、任用審査の最終過程で盗作の事実が判明したため、審査に落ちた人もいるという。また、論文業績がスター級の教授でも、盗作が原因で赴任できなくなったケースもある。情報分析センターでは、それぞれの任用予定者の論文と全世界のデーターベースの論文とを比較し、盗作を探し出す。高麗大学は、大学院生の修士論文・博士論文についても盗作・捏造をチェックするシステムを整備している。同大学のキム・サンシク研究処長は「ごくささいな内容であっても、引用と明記されていない文章が五つ六つ出てきたら盗作と考える。情報分析センターのような機構による修士論文・博士論文のチェックも推進中」と語った。

 西江大学は、早ければ来学期にも、学位論文・研究論文関連の研究倫理不正行為を検証・教育する倫理センターを立ち上げる。中央大学は、不定期で開催していた研究倫理委員会を常設化し、新規任用教諭の論文の盗作・捏造だけでなく、学位論文の不正も検証する予定だ。

 国会には、チョン・ヒス議員が代表発議した「高等教育法一部改正法案」が上程された。改正案には、教育部レベルでの盗作基準の整備や、各大学の学位論文審査委員会の設置義務化など制度的改善と共に、学位論文の審査を不正に行って盗作論文を量産する大学に対し、行政的・財政的制裁を加える案も盛り込まれた。国会の関係者は「深刻な盗作の問題をめぐり、教育部や学界も、法律の改正が必要だという意見を伝えてきた」と語った。教育部は最近、韓国の各大学に対し「過去5年間の研究倫理不正の実態および事後の処理」について報告するよう指示した。教育部の関係者は「最近、論文盗作が社会問題になっていることを受け、実態把握のため各大学に文書を送った。近日中に研究倫理の改善案を取りまとめたい」と語った。

 有名人の修士論文盗作疑惑が持ち上がった一部の大学は、問題の論文について検証作業を進めている。成均館大学研究倫理委員会は17日、最近盗作疑惑が持ち上がったタレントのキム・ミファさん(49)の修士論文について、本調査を行うことにしたと発表した。成均館大学の関係者は「外部の専門家を招き、キムさんの論文で盗作が疑われる点について検討した。本調査を実施し、キムさんの論文を綿密に検証したい」と語った。また梨花女子大学は、盗作疑惑が持ち上がったスター講師、キム・ミギョンさん(48)の論文を検証している。梨花女子大学の関係者は「現在、予備調査委員会でキムさんの論文に関する調査を行っている」と語った。

 しかし、5年前に論文の盗作が判明したソウル教育大学の教授や韓南大学の教授は、今も教授の職にある。韓南大学の関係者は「問題の教授の盗作事件は、かなり前に起こったという点を考慮すべき」と語った。D外国語高校などソウルの有名高校の校長・教頭3人に対する処分もあいまいだ。教育庁の関係者は「まだ監査担当の部署で調査していない」と語った。

 ソウル大学は、所属する教授の論文盗作・捏造疑惑が外部から提起された場合、研究真実性委員会を開いて問題の教授の全論文を検証している。

ヤン・スンシク記者 , イ・オクチン記者 , ウォン・ソンウ記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/12/2013051200210_2.html

個人的には、これと同じことなんだと思うんですが。