LCC再編が始まる…か?

この報道による限り、エアアジアジャパンはエアアジアから離れて、ANA傘下でやっていくことになるようですね。

知名度の低さが指摘されていますけど、その点からすれば、ゼロからのスタートだったピーチアビエーションが、マレーシアのLCC大手であるエアアジアの名前を冠したエアアジアジャパンに優っていたとも思えません。となると、問題は「成田空港」ということになってしまいます。

だとすれば、成田を拠点とするエアアジアジャパンの路線をピーチが引き受けたりすれば、そのことが業績好調なピーチの足を引っ張ることになりはしませんかねえ。小手先の事業再編ではなく、経営戦略そのものの見直しが必要でしょう。

ANA:エアアジアと提携解消へ LCC事業不振
毎日新聞 2013年06月10日 20時59分(最終更新 06月10日 22時44分)


エアアジア・ジャパン」の1号機=成田空港で2012年6月11日、矢頭智剛撮影

 ANAホールディングスと格安航空会社(LCC)アジア最大手、エアアジア(マレーシア)がLCC事業の提携を解消する方向で調整していることが10日、分かった。合弁会社エアアジア・ジャパンの業績が低迷し、回復の方向が見いだせないためだ。ANAはエアアジア合弁会社株すべてを取得し、完全子会社にすることも検討、エアアジアは日本での事業継続を目指し、別の提携先を探す方針だ。

 ◇成田拠点、知名度低く

 合弁会社はANAが51%、エアアジアが49%を出資して設立し昨年8月に就航。現在、国内5路線、国際3路線で運航している。

 当初は搭乗率80%を目指しており、旅行シーズンの昨年8月は84%と目標を上回った。しかしシーズンオフには利用が低迷し、今年5月は53%にとどまった。LCCは搭乗率の高さが生命線。ホームページの改善などを進めてきたが、成果は上がらなかった。

 ANAは傘下にエアアジア・ジャパンピーチ・アビエーションのLCC2社を抱えているが、ピーチは搭乗率が平均75%超と好調だ。ピーチが24時間営業の関西国際空港を拠点とし、関西を基盤に知名度を上げて需要の掘り起こしに成功したのに対し、エアアジア・ジャパンは「門限がある成田空港が拠点で、知名度も低い」(航空関係者)ことが不振の要因とされる。

 成田は午後11時〜翌日午前6時は原則として航空機の離着陸ができず、営業上、大きな制約となっている。限られた航空機を使い回すための欠航もあり、「結果的に利用者の不信感を招いた」(航空関係者)側面がある。LCCはインターネット予約が基本だが、「エアアジアは日本でのブランド力が低く、ネット検索の段階で相当不利」(航空関係者)との指摘もある。

 ANAは今後、エアアジア・ジャパンをピーチブランドで運航する可能性もあるが、ピーチは今年中に関西−成田線の開設を目指しており、関西拠点のピーチと成田拠点のエアアジア・ジャパンがつながれば、路線網拡充という強い武器にもなる。

 ただ、日本のLCC市場にはすでに6カ国11社が乗り入れている。運賃などの競争激化は必至で「さまざまな再編や戦略強化の動きが加速するだろう」とみる航空関係者が多い。【宇田川恵】

 【ことば】格安航空会社(LCC)

 英語で「Low Cost Carrier(ローコストキャリアー)」の略。既存の大手航空会社とは異なるビジネスモデルで低運賃を実現する。具体的には、機内食や飲み物を有料にし、サービスを簡略化して乗務員の人件費を削減。預け入れ荷物も有料化して機体重量を軽くし、燃料費の節減につなげる。また、1機当たりの座席数を増やして機体の稼働率を高めるほか、複数の種類の航空機を保有せず、A320など同一機種に絞ることで整備費の削減にもつなげる。このため運賃は大手航空の2割〜半額程度。ただ、コスト削減の一環で保有機数を絞っているため、1機が故障すると予備機や振り替え機が調達できず、欠航となるケースもある。

 ◇日本に定期便で乗り入れているLCC(6月現在)

 国       航空会社         就航日
日本     ピーチ・アビエーション   12年 3月
       ジェットスター・ジャパン  12年 7月
       エアアジア・ジャパン    12年 8月
韓国     チェジュ航空        09年 3月
       エアプサン         10年 3月
       ジンエアー         11年 7月
       イースター航空       11年 5月
       ティーウェイ航空      11年12月
中国     春秋航空          12年 6月
シンガポール ジェットスター・アジア航空 10年 7月
       スクート          12年10月
マレーシア  エアアジアX        10年12月
フィリピン  セブ・パシフィック航空   08年11月
豪州     ジェットスター航空     07年 3月

http://mainichi.jp/select/news/20130611k0000m020045000c.html