高校野球佐賀・初出場を賭けた新鋭校と伝統校の激突

今年の高校野球、各地で注目ポイントはいろいろありますが、特にこの佐賀県は目を引く決勝戦のカードとなっていますね。

大隈重信ゆかりの佐賀県唐津に開校して4年目の早稲田佐賀と、1900年開校の伝統校でありながら甲子園未経験の有田工。個人的な贔屓筋はあるのですが、どちらにも頑張ってほしいと思います。

早稲田佐賀 勢い加速


準決勝・伊万里農林−早稲田佐賀 開校4年目、初の決勝進出を決めガッツポーズする早稲田佐賀の黒岩佑丞=みどりの森県営球場

 早稲田佐賀が少ない好機を得点に結びつけ、競り勝った。

 早稲田佐賀は初回、西村からの3連打で無死満塁とし、黒岩の内野ゴロが敵失を誘う間に2者が生還。四回は1死三塁から脇がスクイズを決め、3−0とリードを広げた。黒岩は丁寧にコーナーを突き、強打の伊万里農林打線を散発5安打に封じ完封。走者を背負っても落ち着いたマウンドさばきを見せた。

 伊万里農林は四回、2死一、三塁の好機で無得点。八、九回はいずれも先頭打者を出したが、あと一本が出なかった。

■エース黒岩 4連続完封

 炎暑の中、快進撃を引っ張る右腕はピンチにも動じず、この日もスコアボードに「0」を並べ続けた。早稲田佐賀の黒岩佑丞が六回コールド勝ちした2回戦・唐津西戦から続く無失点を36イニングに伸ばし、チームを決勝へ導いた。1試合平均安打が12・3本の伊万里農林に対し、「真ん中に球が集まればでかいのがある。コーナーへの投げ分けを意識した」と充実した表情で汗をぬぐった。

 初回を三者凡退で切り抜けると、二回は1死一塁から、準決勝までの4戦で7打点と勝負強い岡本を二ゴロ併殺に仕留めた。三回以降は4度得点圏に走者を進められながらも、粘り強くしのぎ続けた。古賀一則監督は「早めの勝負にいきたいところを、変化球を見せ球に使い、直球で要所を締めた」とたたえた。

 2回戦からの4試合で打たれた長打は、3回戦・厳木戦の二塁打1本だけ。1イニングに2安打を許したことはあっても、連打を浴びたことはなく、連続四球も唐津商戦の1度だけと大崩れがない。「(捕手の)野田に任せているだけ」と本人は謙遜するものの、古賀監督は「勝てない時期は捕手のミットしか見えないこともあったが、(今大会は)打者の洞察力に加え、勝負どころでのメンタルの強さが際立つ」と好調の要因を分析する。

 久留米市から早稲田佐賀に入学し、1年生のころ、学生野球の聖地・神宮球場早慶戦を観戦した。2013年夏。日焼け顔の背番号1は、高校球児の聖地に肉薄しながらも「とにかく目の前の相手を倒すだけ」と慢心なく答えた。

2013年07月21日更新

http://www.saga-s.co.jp/news/saga_sports.0.2511707.article.html

有田工、サヨナラ粘勝 接戦制し「あと一つ」


準決勝・佐賀工−有田工 有田工10回裏2死二、三塁、2番岸川侑生の中越え打でサヨナラのホームを踏み、抱き合って喜ぶ三走・草野善彦(中央手前)と藤川周=みどりの森県営球場

 2−2で迎えた延長十回裏2死二、三塁。有田工の2番岸川侑生は1−1からの3球目、内角寄りの直球を打ち返した。高々と上った白球に中堅手が手を伸ばしたが、わずかに届かなかった。値千金のサヨナラ打。全速力で一塁ベースを蹴り、拳を突き上げると、崩れ落ちた佐賀工ナインの姿が見えた。

 「どうしても打ちたかった」と岸川。七回にバントを失敗、八回は2死満塁の絶好機で内野ゴロに倒れた。三回以降スコアボードを「0」で埋めるエース古川侑利の姿に「これ以上きつい思いはさせられない」と好機を待った。

 十回裏のサヨナラ機には、右足の腓骨(ひこつ)を骨折しながらも出場を続けている草野善彦の奮闘もあった。2死二塁。1番坂本聖隆の内野ゴロの際、二走の草野は二、三塁間で相手三塁手のタッチを間一髪かいくぐり好機を広げた。

 「善彦をホームに呼び込みたい」。小学1年から一緒に野球をやってきた親友の力走にバットで応えた。人生初のサヨナラ打はチームを27年ぶりの決勝へ導く一打となった。

 準決勝までの3試合で8打数1安打。この日も4打席は凡退で「結果を残していないのは自分だけ…」と少し焦りもあった。安堵(あんど)とうれしさがこみ上げ、大粒の涙を流した。

 初戦から4試合すべて1点差の勝利。厳しい試合をものにする中、準々決勝で川元空が決勝打を放ち、この日も岸川がサヨナラを決めるなど試合ごとにヒーローが誕生している。植松幸嗣監督は「接戦を勝ち上がり、我慢強くなってきている」とナインの成長をたたえる。聖地への切符まであと一つ。全力でぶつかるだけだ。

2013年07月21日更新

http://www.saga-s.co.jp/news/saga_sports.0.2511705.article.html

伝統か、新鋭か 好投手擁する2校激突

 有田工は最速144キロの古川、早稲田佐賀は36イニング無失点の黒岩と、ともに好投手を擁し、ロースコアの展開が予想される。打線がそれぞれの良さを出し、先に主導権を握れるかが鍵になりそうだ。

■エース安定感 有田工

 全4試合で先発し、完投したエース古川侑利。最速144キロの直球を軸にスライダーを織り交ぜる。37回を投げて奪った三振は37個。与えた四死球は10個だが、準々決勝・神埼清明戦以降は1試合1個ずつと制球力は上向きだ。防御率0・97と安定感が光る。

 平均打率は2割6分8厘。4試合で21犠打と得点圏に走者を進める手堅さもある。3回戦・佐賀西戦で4安打と固め打ちした俊足巧打の1番百武将太朗は打率5割と好調。3割を超える3番藤川周、4番古川、6番桑原耕生に好機で回したい。

植松幸嗣監督

 1戦1戦接戦をものにして勝ち上がってきた。疲労はあると思うが、選手たちは我慢強くなり、成長している。野球部には113年の歴史がある。野球部員や在校生、OBの大きな応援も力に変えて一体となり、“伝統”という誇りを胸に絶対に頂点を勝ち取りたい。

■力強い打線 早稲田佐賀

 エース黒岩佑丞は準決勝まで4試合36回を投げて無失点。準決勝では1試合平均の安打数が12・3本と好調だった伊万里農林打線を5安打に抑えた。球威のある直球とスライダーでゴロの山を築き、前原昂汰と瀬尾翼の二遊間を中心にバックが堅守で支えている。

 チーム打率は2割6分と高くないが、17打点と勝負強さが光る。西村僚太、瀬尾の1、2番はともに打率3割を超え、3番前原は4打点と好機に強い。犠打は5個ながら準々決勝でサヨナラスクイズを決めるなど手堅い攻めもある。4番に座る黒岩の復調が鍵を握りそうだ。

古賀一則監督

 有田工の古川君からそう簡単には点は取れないと思うが、相手は古川君一人ではない。ここまで攻守ともにいいリズムで来ているので、決勝も全員で攻めて守り勝機を見いだしたい。創部4年目。できすぎの部分もあるが、ここまでの戦いを無駄にせず、大一番に挑む。

2013年07月21日更新

http://www.saga-s.co.jp/news/saga_sports.0.2511768.article.html


追記:大熱戦となった決勝戦は、延長サヨナラで有田工が制したようです。

http://www.saga-s.co.jp/var/rev0/0191/2827/M0721SE10GO1.pdf


執念の劇勝!有田工、延長サヨナラで悲願の甲子園切符

佐賀大会決勝 有田工6―5早稲田佐賀 (7月21日 みどりの森県営球場)

 第95回全国高校野球選手権佐賀大会決勝は21日、佐賀市のみどりの森県営球場で行われ、27年ぶりに決勝進出を果たした有田工が延長10回6―5で早稲田佐賀を下し、初の甲子園出場を決めた。

 創設110年を超える伝統校が土壇場ですさまじい執念を見せた。2点リードの8回に守備の乱れもあって3点を失い、逆転を許した有田工だったが、9回2死から3連打で満塁とし、主将・桑原の左前適時打で同点。延長10回2死一、三塁ピンチをしのぐと、その裏2死二、三塁から3番・藤川が左越えにサヨナラ打を放ち、激闘にピリオドを打った。

 創部4年目でノーシードから決勝に進んだ早稲田佐賀だったが、甲子園にはあと一歩届かなかった。

[ 2013年7月21日 15:34 ]

http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2013/07/21/kiji/K20130721006263340.html