韓国の教科書問題・2013

今年はこれがある年なわけですね。

2008年に比べてこの問題がさほど盛り上がっていないように見えるのは、私の主観が間違っているのかどうなのか。もし間違っていないとしたら、両者の対立の苛烈さが少しは緩和されたのか、この問題自体の重要性に変化が生じているのか、あるいは単に他のことで盛り上がりすぎて、こっちまで手が回っていないとか…。

まあ、ニューライトが出始めたころのインパクトを思えば、最近では社会がそれにだいぶ慣れてきたのかなという気はします。もちろん、「4.19」と「5.16」の評価を逆転させるとか、「4.3」や「5.18」の評価見直しに踏み込むとかいった、当事者・関係者の強烈な反発を招くこと必至なポイントを避けるといった配慮がされている効果もあると思われます。

今年の「光復節」が持つ意味

ナショナリスティックな山歩き・1―北漢山編

今年の「4.19」の主役は

記事入力 : 2013/08/31 08:46
保守派執筆の歴史教科書が検定通過

 現行の歴史教科書を「左寄り」と批判し「大韓民国が発展してきた歴史を正しく教科書に記載すべきだ」などと主張してきた保守陣営の研究者が執筆した歴史教科書が、来年3月から教育現場に登場する。韓国学中央研究院のクォン・ヒヨン教授、公州大学のイ・ミョンヒ教授などが執筆に参加した高校の歴史教科書(教学社)は30日、国史編さん委員会による検定審査で最終合格の判定を受けた。

 この教科書は現代史についての説明で「大韓民国自由民主義体制の中で成長した」とする歴史観を明確にし、さらに従来の教科書では明記されていなかった北朝鮮の核開発や人権問題などへの批判も取り上げられている。

 その一方で、この教科書については「安重根(アン・ジュングン)と金九(キム・グ)をテロリストと見なした」「5・16を革命と説明した」など流言飛語まがいの批判も広まっているが、実際はそのような記載は見られなかった。国史編さん委員会の李泰鎮イ・テジン)委員長も「この教科書は右寄りなどと指摘されているが、そのような問題は解消されたようだ」とコメントした。しかし、野党や一部左派陣営からは相変わらず批判を受けている。例えば「李承晩(イ・スンマン)はボイス・オブ・アメリカ放送を通じて国民に親しまれるようになり、光復(日本による植民地支配からの解放)後は国民的英雄になれた」とする説明や「第2共和国時代の混乱について説明することで、5・16を正当化している」といった点が問題視されている。

ユ・ソクチェ記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/08/31/2013083100444.html

"李承晩は国民英雄" "5・16に肯定的側面" ニューライト‘韓国史教科書’検定通過
登録 : 2013.08.30 21:04修正 : 2013.08.31 11:02


教学社の‘韓国史高校教科書’

 右偏向憂慮を買ってきた教学社の高校韓国史教科書が、李承晩前大統領を "国民的英雄" と持ち上げ、5・16軍事クーデターの肯定的側面を強調するなど、保守・ニューライト観点で歴史的事件を叙述していることが確認された。

 30日、国史編纂委員会の最終検定を通過した後、パク・ホングン民主党議員が入手し公開した教学社の‘高校韓国史検定審査最終原本’を見れば、当該教科書は李承晩元大統領を "当時韓国人が最も尊敬し信頼した指導者、国民的英雄" と叙述した。 この教科書は通常の出版社とは異なり、李元大統領の外交的独立活動に別途の小さいスペースを割り当て詳しく扱った反面、李元大統領が弾圧した反民族行為特別調査委員会(反民特委)に関する叙述は貧弱だった。

 5・16軍事クーデターに対する叙述では "クーデター" という編修用語を使いながらも、当初から憂慮されていた通り肯定的叙述で一貫した。 教科書は "大統領ユン・ボソンはクーデターを認めた。 陸軍士官学校生徒も支持デモをした。 米国は直ちに政権を認めた" とし、クーデターに肯定的な偏向的事実関係だけを数え上げた。

 この教科書は朴正熙前大統領が終身執権を試みた1972年10月維新に対しても "自由民主主義の正道から外れた非常体制であると同時に独裁であった" と明示しながらも、これを "北韓の韓国共産化の試みによる緊迫した雰囲気の中でなされたこと" と説明するなど、不可避性を強調し独裁の深刻性を希薄にさせる態度を見せた。

 教学社版教科書を代表執筆した著者らは、保守・ニューライト指向に分類され、彼らが韓国史教科書を執筆するという事実自体が議論になってきた。 イ・ミョンヒ韓国現代史学会2代会長(公州(コンジュ)大教授)は、ニューライト指向の団体である自由教育連合代表を務めており、クォン・ヒヨン韓国現代史学会初代会長(韓国学中央研究院教授)は他の出版社の韓国史教科書が "スターリン-金日成-パク・ホンヨンに現れる情勢認識に立っている" として思想論争を提起し論難を起こした経緯がある。

キム・ジフン記者

韓国語原文入力:2013/08/30 20:28
http://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/601573.html 訳J.S(1048字)

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/15511.html

【社説】韓国史教科書論争、歴史認識発展の契機にしなくては=韓国
2013年09月01日12時59分
[ⓒ 中央SUNDAY/中央日報日本語版]

先月30日、教学社の高校韓国史の教科書が国史編纂委員会の検定審議を最終通過した。教学社の教科書は現代史を自由民主主義中心に記述して北朝鮮の核問題を詳細に紹介し、北朝鮮を世界最悪の人権違反国と指摘した。歓迎すべきことだ。何より左派陣営が「安重根(アン・ジュングン)や金九(キム・グ)をテロリストと書いた」と先だって非難したがそれが根拠のない主張だったことが明らかになった。

国史の教科書はこれまで進歩と保守の理念の代理戦が繰り広げられる場だった。大韓民国建国の正統性記述問題で火がついた論争は簡単には合意点を見出しにくい状況に達した。特に現代史をめぐり進歩陣営は「歴史の政治化」を試みてきたのが事実だ。教科書問題ではないがすでに進歩陣営の一部では韓国史の修能必修化方針と関連し、「政権の好みに合う史観を強要する政治的策略がある」と主張する。

教科書論争の核心は韓国現代史の主体と目標をどのように決めるかにある。いわゆる「左偏向」の教科書は民族を主体に、統一を目標に設定する。右偏向の教科書は産業化・民主化を成し遂げた国民を主体に、先進化を主目標とする。前者にとって分断は原罪であり大韓民国誕生は悲劇だ。これに対し後者に大韓民国の成功は後世が必ず知っていなければならない内容だ。双方の見解の差はこうした形でひとつひとつ列挙するのも難しいほどだ。

事実、歴史をめぐる争いは韓国だけの問題でない。米国も1994〜96年に歴史論争が起きた。ジョージ・ブッシュ大統領の新しい米国史の教科書製作指針に合わせ91年に国家評議会が作られた。28人の評議員には8つの学会会長、著名教授、歴史教育関連者が任命された。2年以上にわたり6000人余りが熱を帯びた議論を行い、単語ひとつひとつを検討した。それでも結局激しい論争の犠牲になった。新しい標準教科書が「南北戦争前に奴隷脱走を助けた黒人の名前を6度言及しながらも建国の父であるジョージ・ワシントントーマス・ジェファーソンを大まかに記述した」という指摘のためだ。米国版保守・進歩の対立だった。

韓国でも左右陣営は常に歴史戦争を行う準備ができている。「進歩」を標ぼうする韓国歴史研究会ではすでに保守指向の教科書を「歴史退行」と主張する。はなはだしくは力で教科書流通を防がなければならないという話まで出てくる。

歴史は過去に対する現代的解釈だ。そうした観点から21世紀の韓国史の教科書の話題は「私たちはだれであり、どこへ行かなければならないか」になるのが望ましい。そうするならばイデオロギーより事実を知り、是非の判断観点から歴史的省察をする必要がある。このために進歩と保守、中道が公開的に歴史論争をしてみることも必要だろう。歴史認識の地平はそのような正・反・合の過程でさらに広げられる。南北分断もくやしいが歴史の左右分断が続くことを放置しては困る。韓国史教科書論争が歴史認識発展の契機になるよう願う。(中央SUNDAY第338号)

http://japanese.joins.com/article/634/175634.html