「墓じまい」という動き

韓国ほど極端な変化ではありませんが、現在の墓参りの利便性の問題だけでなく、後代の子孫が末永く墓を守るという条件が満たせないようであれば、こうした動きが起きてきても当然のことだと思います。韓国と違うのは、行政的な施策としてではなく、もっぱら当事者の自主的な行動として、そうした動きがみられるところでしょうかね。

その進め方や形式はもちろん問題にはなってきますが、より大事な問題は「当事者自身がどのように納得して受け入れ(られ)るか」です。そこをすっ飛ばしたやり方は、それだけで論外です。

墓じまい、墓守の後継なく…手続き代行業者も登場


「墓じまい」を済ませ、祖父母や両親が眠る合葬墓で手を合わせる夫婦。「先祖も『これで良かった』と思ってくれているはず」という(北摂池田メモリアルパークで)

 古里にある先祖代々の墓を撤去し、遺骨を永代供養の合葬墓などに移す「墓じまい」をする人が増えている。

 少子高齢化の時代になり、「墓守の後継ぎがいない」といった事情があるためだ。手続きを代行する業者も出てきた。

 大阪府門真市の男性(66)は昨年5月、兵庫県養父やぶ市にあった先祖の墓を撤去した。両親ら7人の遺骨は、同府池田市の霊園「北摂池田メモリアルパーク」の合葬墓に移し、納めた。

 男性は40年前から大阪に住んでいて、養父市の墓へは車で3時間もかかっていた。同居する長女(40)は大阪で生まれ育った。「長女に田舎の墓を守れとは言えず、私の代で墓じまいをしようと思った」と話す。

 墓じまいをするには、墓地埋葬法で定められた手続きが必要だ。古い墓の管理者から「埋蔵証明書」を出してもらい、遺骨を移す先の霊園の「受入証明書」などと一緒に自治体に提出し、許可を得た。

 先祖が入った合葬墓は、霊園が管理する永代供養墓だ。男性も、将来は妻(65)と一緒に霊園内の「夫婦墓」に入り、十三回忌以降は両親らが眠る合葬墓に移される生前契約をしている。

 男性は今回、この霊園を運営する「霊園・墓石のヤシロ」の、墓じまいのサービスを利用した。証明書の提出などの手続きの代行から、古い墓の撤去、合葬墓で遺骨を永代供養する費用などまで含め、遺骨2人分で29万8000円(税抜き)。追加料金は1人分5万円(同)。墓の規模や移動距離によっても変わってくる。

 ヤシロによると、「子どもがおらず、墓守がいなくなる」などの声が増え、2009年に墓じまいのサービスを始めた。09〜12年は年間2〜9基の撤去だったが、13年は36基の依頼があった。社長の八城勝彦さんは「『無縁墓にならずに良かった』という声が多い。墓じまいの需要は今後も増える」とみる。

 同様のサービスを提供する業者は増えている。

 「やすらか庵」(千葉市)は、墓の撤去後、遺骨を東京湾や千葉県内の森林へ散骨するサービスをしている。霊園・寺院との交渉から改葬許可の手続きや遺骨を取り出す際の供養までを僧侶の清野勉代表(54)が行う。数年前から「先祖の骨を先に散骨して墓を閉じたい」という要望が増え、昨年10月から墓じまいの支援を開始した。2月までに5家族が墓を撤去し、相談も30件以上寄せられた。

 「清蓮」(横浜市)は散骨を契約した客が墓じまいも希望する場合、手続き方法などをアドバイスする。11〜13年で約400基の墓が撤去されたという。

 第一生命経済研究所主任研究員の小谷みどりさんは、「少子高齢化で死亡者数が増える反面、墓を継承する人は減り続ける。子孫が墓を継ぐという前提は破綻しつつあり、無縁墓を増やさないために、墓じまいは合理的な方法ともいえる」と話している。

「先祖代々」断念し合葬へ…トラブル防ぐ事前相談

 「墓じまい」しようとしたところ、檀家だんかが減るのを防ぎたい寺院から高額の金銭を要求されるケースもあるという。また、親族が先祖の墓をなくすことに反対してトラブルになることもある。墓じまいを円満に進めるためには、寺や親類への早めの相談、報告が欠かせない。

 「寺から公営墓地に墓を移そうとしたら、100万円もの支払いを求められた」。各地の消費生活センターには近年、「離檀料りだんりょう」に関する相談が増えている。

 国民生活センター相談情報部の加藤玲子さんによると、離檀料は、墓を移して菩提ぼだい寺から離れる際に支払う金のこと。寺への謝礼として慣習的に支払われている。「相場がいくらかなどを答えることは難しい。寺とよく話し合ってほしい」

 「墓じまいをするなら、早めに寺に相談するのが、トラブル回避の鉄則」。墓や葬儀のコンサルティング業務を行うアルック・葬儀ビジネス研究所(東京)代表の吉川きっかわ美津子さんは、コミュニケーション不足が問題をこじらせる最大の原因になると指摘する。

 代々世話になった寺に、いきなり「墓を移したい」と切り出すと心証が悪くなる。書類への署名と引き換えに、高額な離檀料の支払いを要求されるケースもあるという。

 檀家が減って運営が苦しい寺も少なくない。ただ、寺離れが進んだり、墓守がいなくなったりして墓地の管理料すら納めてもらえなくても、無縁墓にしてはいけないとお勤めを続けている住職も多い。

 吉川さんは「後継ぎがいないといった事情を説明し、途中経過を報告するなどこまめな連絡を心がけてほしい。離檀料は1回の法要で寺に支払う金額が目安。実際には数万円〜20万円程度が多いようです」と助言する。

 永代供養墓のある寺を紹介するNPO法人永代供養推進協会(東京)代表理事の小原崇裕さんは、「墓を継承する立場でも、親族に知らせず、勝手に墓じまいを進めると身内でトラブルになる場合もある」と注意を呼びかける。墓をなくしたり、遺骨を合祀ごうししたりという方法に違和感を持つ人もいるからだ。親族が「なぜ他人の骨と一緒にするのか」などと反発し、関係がこじれることもある。

 小原さんは「たとえば両親の遺骨を移すなら、事前に親のきょうだいと自分のきょうだいには声をかけておくべきだ。疎遠になっている親族にも、墓じまいの契約をしたことを知らせる手紙を送るなどの配慮を」と話している。(妻鹿国和)

(2014年3月4日 読売新聞)

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=93911

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