釜山駅までのKTXの専用路線が開通し、馬山駅から太和江駅までを結ぶ慶全線・東海南部線の複線電化路線からは外れますが、旧来の京釜線は依然として、釜山と大邱との間でそれなりに重要な地位を占めています。釜山駅発着のKTXの一部には、こちらの路線を通るものもあります。
釜山市内には、今までにも訪れたことのある釜山駅・釜山鎮駅・沙上駅に加えて、京釜線の駅があと2つ存在しています。
まずは亀浦駅。地下鉄3号線の亀浦駅とは陸橋を挟んで接しています。地下鉄駅は洛東江沿いの高架駅で、なかなかの見晴らしが楽しめます。KORAIL京釜線の亀浦駅は、それほど大きな駅ではありませんが、待合室も乗客で込み合っていてかなり活気があります。
それもある意味当然のことで、ムグンファを中心にセマウルやKTXが合わせればかなりの本数が、この駅には停車します。現状を見ると、釜田駅よりも利用客の多い「釜山第2の鉄道駅」として機能しているようです。
他方、その隣の駅である華明駅も、亀浦駅と同じ釜山市の北区に位置します。こちらも近くに地下鉄2号線の華明駅がありますが、近いといっても亀浦に比べれば少々離れています。両駅の間の移動には数百メートル歩く必要があります。
地下鉄の華明駅から洛東江方面へ歩くと見えてくるKORAIL京釜線の華明駅は、大通りに面して亀浦駅よりもはるかに立派な駅舎が威容を誇っている…ように見えます。パッと見に一瞬だけ。
しかし、寄って行ってちゃんと見てみれば、どぉも様子がおかしいことにすぐ気づきます。
長い階段を上がって駅舎に足を踏み入れてみると*1、これが凄まじいゴースト駅っぷりを見せています。大きなガラス天井から陽光が差し込んでいるからまだいいものの、広い空間の照明はすべて落とされ、掃除のアジュンマ以外には人っ子一人見かけません。ネコすらいません*2。
いちおう京釜線・慶全線合わせて一日当たり上下各10本前後の列車が停まるようですが、この調子だと乗降客もかなり少ないのではないでしょうか。駅周辺は僻地でも過疎でもなく、それなりの住宅地として栄えているのですが、それとこの駅の寂れぶりとの対比は、どうも不思議な感じがします。
Wikipediaによれば、この駅は亀浦駅の機能移転を目的として1990年代後半から計画されたもので、2003年に旅客駅として開業したものの、住民の反対などで機能移転計画は頓挫してしまったということのようです。この駅に漂っている「取り残された感」には、そうした経緯があったわけですね。
地下鉄亀浦駅と同じく、この駅舎から見える洛東江の眺望は、なかなか素敵なのですけどねえ。
あまり長々とそこにいても仕方がないので、駅前に見かけた「釜山漁村民俗館」でものぞいてみようかな、と思ったのですが、この時には残念ながらまだオープンしていませんでした。今はもう開館しているのでしょうか。