教育費負担と世帯収入、「奨学金」返済とバイト貯金

記事自体はバラバラに出てきたものですが、これらを並べてみることで、単体よりももう少し先まで現実が見えてくるような気がします。

個人的にはいちおう、ここで言われるところの「不利な家庭環境」出身で、奨学金返済が重くのしかかっています。

進学格差―深刻化する教育費負担 (ちくま新書)

進学格差―深刻化する教育費負担 (ちくま新書)


離島世帯、重い教育費 収入の6割超占める
2014年3月25日 06:53

 沖縄振興開発金融公庫(譜久山當則理事長)が24日発表した教育資金利用者調査報告によると、離島から島外の学校に進学する際の入学費を含めた教育費は世帯収入の64・5%を占め、沖縄平均の50・6%を大きく上回った。入学の翌年以降の教育費も離島世帯は37・8%と、沖縄平均の34・8%を超えており、離島の教育費の重い負担が浮き彫りとなった。同公庫は、離島からの進学には住居費が加わるため、負担が増えると分析。「所得環境によって教育が制約されないよう、教育機会の一層の改善が必要」としている。

 2012年度に同公庫の教育資金を利用した1640件を調査。利子負担が軽減される離島特例の利用者と県内の利用者を比較した。

 入学金や住居費、交通費などを含めた入学費用は沖縄平均が137万円だった。離島特例利用者は158万円と沖縄平均より21万円も多かった。

 入学の翌年以降の年間在学費用は、離島特例利用者が121万9千円と、沖縄平均を25万円上回っている。一方、平均世帯年収は離島特例利用者が367万6千円で、沖縄平均より20万円低かった。

 年収に占める教育費の割合は、年収が低いほど高くなっており、200万円未満の離島特例利用者は105・8%と年収を上回っている。200万〜400万円未満は46・1%、400万〜600万円未満26・2%、600万〜800万円未満19・5%、800万円以上は14・7%となった。

http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=65455

学力テスト:成績は保護者の年収や学歴も影響 文科省分析
毎日新聞 2014年03月29日 10時29分(最終更新 03月29日 11時30分)

 小学6年と中学3年を対象に昨年4月に実施した全国学力テストで、世帯収入や保護者の学歴が高いほど成績が良いことが文部科学省の分析で分かった。また、読書や新聞を読むことが学力向上に効果的であることも示された。家庭の状況に起因する子供の学力格差の存在は教育界では指摘されてきたが、全国規模の調査結果を基に数値として裏付けられたのは初めてという。

 調査はお茶の水女子大(東京)に委託し、抽出校の保護者約4万人へのアンケートと学力テストの結果の関係を調べた。

 家庭の年収では、小学6年の算数B(応用)で「200万円未満」の平均正答率が45.7%だったのに対し、「1500万円以上」は71.5%で約26ポイントの差があった。また、塾など学校外の教育費支出が高いほど学力も高い傾向だった。

 保護者の教育への関与・意識との関係をみると、読書活動(本や新聞を読むことを推奨)▽生活習慣(規則正しい生活)▽コミュニケーション(学校での出来事を聞く)−−などが学力向上に好影響を及ぼしていた。

 一方、家庭の状況が不利であっても学力が上位4分の1に入る児童生徒の特徴を調べたところ、保護者が教育に熱心であることが判明。経済的に不利な環境でも、家庭での学習時間が長ければ学力向上に効果があった。

 家庭背景による学力格差の影響が比較的少ない学校7校を抽出して調べたところ、家庭学習の指導▽校長など管理職のリーダーシップ▽少人数指導や少人数学級−−などの特徴があった。

 調査に当たった耳塚寛明・お茶の水女子大副学長は「学力格差を解消するには教育施策で取り組むことも重要だが、社会問題の性質もある。雇用問題など格差縮小対策が重要だ」と話している。【三木陽介】

【不利な家庭環境でも学力上位の児童生徒の特徴】

▽規則正しい生活習慣(朝食を毎日食べている。毎日ほぼ同じ時刻に就寝・起床)

▽読書活動(親が本や新聞を読むようすすめている。小さい頃に絵本の読み聞かせをしている)

▽コミュニケーション(親子で勉強や成績の会話をする)

▽保護者自身の行動(授業参観、運動会など学校行事に参加)

▽学習習慣(家で自ら計画を立てて勉強し、宿題をする)

▽学校での学習指導(自分の考えを発表する機会がある)

http://mainichi.jp/select/news/20140329k0000e040175000c.html

2014/3/29 11:00
奨学金返済苦深刻に 就職難背景、延滞金「消費者金融並み」

 就職難を背景に奨学金の返済に苦しむ若者が増えており、全国各地で弁護士や市民団体が支援活動に乗り出している。兵庫県でも昨年、「奨学金問題と学費を考える兵庫の会」が発足。深刻な相談が相次ぎ、数年の滞納で約100万円の利息・延滞金が請求された例もあった。(中部 剛)

 奨学金を扱う日本学生支援機構によると、無利子・有利子を合わせ奨学金を貸与しているのは2012年度で134万人、過去10年で約1・5倍。特に有利子の増加が著しい。

 これに伴い、未返済が増え、同機構の11年度調査では延滞している人のうち、39%が年収100万円未満、19%が無職・失業中など。不安定な雇用の影響がうかがえる。

 兵庫の会は昨年から活動を始め、これまでに神戸・阪神地域などから16件の深刻な相談が寄せられている。

 その一人、30歳代の男性は計約600万円の奨学金を借りた。専門学校を卒業したが、就職が決まらず、返済が滞った。昨秋、同機構に元金と延滞金などを合わせ、約300万円の支払いを求められ、うち100万円が延滞金と利息だった。

 現在、男性の収入は月約20万円。約300万円を一括返済し、今後も月額2万7千円ずつ返済するが、「雇用不安が続く中、10%の延滞金はあまりにも高い」と困惑する。

 兵庫の会は「奨学金消費者金融並みになっている」と指摘。30日午後2時から神戸市中央区雲井通5の市勤労会館で、返済実態と問題点を考える集いを開く。奨学金問題対策全国会議事務局長の岩重佳治弁護士が講演する。参加費500円。

 兵庫の会では随時、相談を受け付けている。

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201403/0006817733.shtml

厚労省:生活保護世帯の高校生、「バイト代で貯金」拡大 使い道柔軟に
毎日新聞 2014年03月30日 東京朝刊

 厚生労働省は29日、生活保護受給世帯の高校生のアルバイト収入について、保護費の減額につなげず、貯金することを積極的に認める方針を固めた。生活保護受給世帯の子どもが成人後も困窮から抜け出せない「貧困の連鎖」を断ち切るのが目的だ。同省は4月1日付で都道府県などに事務次官通知を出す。

 生活保護を受けていると貯金が制限され、金額が多ければ保護費はカットされる。高校生のアルバイト収入も「その収入で家族の生活にゆとりができた」とみなされ、一定額が保護費から差し引かれる。月収5万円なら手元に残せるのは3万円程度。アルバイト代をそっくり貯金できるのは目的が修学旅行費やクラブ活動費などの場合に限られる。

 しかし、厚労省は今の仕組みが子どもの自立を難しくしていると判断、さまざまな目的に応じ貯金を可能とすることにした。就職で必要となる運転免許の取得費用や大学の入学金、簿記検定やパソコンの技能講習に加え、引っ越し費用や敷金・礼金、新居での生活用品、国や自治体からの奨学金の返済−−などを挙げている。高校生は進路や学習状況を自治体の担当職員と相談し、事前に承認を得る必要がある。貯金額の上限は定めていない。生活保護世帯の高校生は全受給者約216万人(昨年12月時点)のうち約5万人。【遠藤拓】

http://mainichi.jp/shimen/news/20140330ddm008010057000c.html