KTX開業10年

「そないにええもんか」というツッコミはいくつか可能ではありますが*1、それにしてもKTX前と後とでは、韓国内における鉄道の位置づけが多少変わった―使い勝手がよくなったのは事実です。天安牙山や五松・大田といった忠清道地域における通勤利用などは、特に目につく変化ですね。


記事入力 : 2014/03/31 11:18
KTX 開業10年、韓国人の生活はどう変わった?
ソウル−大田1時間の「通勤革命」


 ソウル市鍾路区の雑誌社に勤めるキム・サンゴンさん(46)はこの10年間、大田市西区の自宅から通勤している。2004年8月以降、韓国高速鉄道KTX)を5000回以上利用したというキムさんは、この10年間にKTXを最も多く利用したことになる。キムさんが10年間に購入した定期券の代金は4700万ウォン(約450万円)を超える。

 キムさんが大田からソウルまでKTXに乗車する時間はわずか1時間だ。韓国鉄道公社KORAIL)によると、キムさんのように定期券を利用してKTXで首都圏に通勤する人は、現在7000人近くいるという。

 来月1日、KTXは開業から10周年を迎える。最高時速330キロで走行できるKTXの登場は「全国1日交通圏」を実現し、韓国国民の生活様式を大きく変えた。

■天安・大田からソウルに通勤

 この10年間、KTXは地球6000周に相当する2億4000万キロを走行した。利用客は4億1400万人、1日平均では15万人に上る。国民1人当たり、8回以上KTXを利用したことになる。

 特急セマウル号で4時間10分かかるソウル−釜山間を2時間18分で結ぶことにより、全国が1日で移動できる生活圏となった。ソウルから釜山への日帰り出張が可能になり、天安や大田、大邱などからソウルに通勤する人たちも登場した。定期券を利用し、KTXで通勤する人たちが主に利用する区間は、ソウル−天安間が23.8%で最も多く、以下、ソウル−大田間(11.3%)、大田−天安間(10.5%)、光明−天安間(8.3%)、ソウル−五松間(8.2%)の順となった。

 ソウル駅や釜山駅など、全国のKTXの駅に設けられた会議室を利用する人も、2005年の4000人から、昨年には37万人と、100倍近くに増加した。KTXの駅がビジネスの新たな拠点になったというわけだ。KTXが開通したことで、釜山で開催される国際会議の回数は、03年の19件から、11年には224件と、12倍に増加した。

 一方、KTXが開業したことで、航空業界は打撃を受けた。ソウル−釜山間の場合、輸送量に占める飛行機のシェアは、2003年の39%から、11年には20%と、約半分に減少した。一方で鉄道のシェアは38%から62%に増加した。韓国交通研究院は、今年末に湖南高速線が開通すると、高速バス利用者の37.5%、飛行機利用者の53.6%がKTXを利用するようになると予測している。

KTXの駅を中心に交通体系を構築すべき

 KTXが開業した当時は、首都圏への人口や経済力の集中がさらに進む「ストロー効果」を懸念する声が多く出ていた。ところが実際には、地域の経済発展という効果がもたらされた、と韓国交通研究院は分析した。同院のオ・ジェハク総合交通本部長は「KTXの駅ができた釜山(1.7%)や大邱(1.6%)、大田(1.3%)の2012年の地価上昇率は、全国平均(0.96%)を上回った。駅勢圏(駅を中心とし、その駅を利用すると期待され需要が存在する範囲)を中心に、サービス業が大きく発達したためだ」との見方を示した。

 同院が昨年、KTXの乗客を対象にアンケート調査を行った結果、ショッピングや通院、塾通いなどのためにKTXを利用するという回答は4%にすぎなかった。一方、家族や親戚に遭うために利用する人が39.2%で最も多く、出張のため利用する人(27.3%)が続いた。オ本部長は「今後、KTXの効果を最大限にするためには、KTXの駅を中心に、連携する交通体系を構築し、駅勢圏を集中的に開発する必要がある」と指摘した。


崔鍾錫(チェ・ジョンソク)記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/03/31/2014033101553.html

KTX開業前の韓国の鉄道は、電化すらあまり進んでいなかった状態でしたから、ある意味で変革のし甲斐があるようで、KTX新線だけでなく、在来路線の複線化・電化工事も各地で進められています。風情や旅情の観点からは惜しいところも含め、まだまだ変化していくはずです。


記事入力 : 2014/03/31 11:30
KTX、時速430キロ新車両や2階建て車両の開発も
進化するKTX

 KTXの開業は、韓国の高速鉄道技術が発展するきっかけになった。

 韓国はフランスの技術を導入し、最高時速330キロのKTXを開通させてから6年後の2010年に韓国製の新車両「KTX山川」の運行を開始した。鉄道技術研究院は現在、最高時速がこれを上回る次世代型車両「ヘム」の試運転を行っている。速度を徐々に引き上げ、今年末には時速430キロを達成する計画だ。「ヘム」が2015年に実用化されれば、ソウル−釜山間を1時間30分で走行できる見通しだ。

 鉄道技術研究院はまた、飽和状態にあるソウル−大田間の旅客輸送能力を引き上げるため、KTXの 2階建て車両の研究を行っている。昨年に準備作業を終え、今年は試作車を製作して、本格的な研究に取り掛かる予定だ。同院の関係者は「2016年に2階建て車両を導入できれば、現在の2倍の乗客を輸送でき、運賃も30%ほど引き下げられる見通しだ」と説明した。

 KTXの営業区間もさらに伸びる見通しだ。鉄道施設公団は今年上半期中に、ソウル駅から仁川国際空港へのKTXの乗り入れ開始に向け工事を進めている。KTXが仁川空港まで乗り入れるようになると、地方からKTXを利用し、乗り換えなしで仁川空港に行けるようになる。また今年末には木浦に向かう湖南高速線、2017年末には江原道原州市と江陵市を結ぶKTX新線を開通させる計画だ。

崔鍾錫(チェ・ジョンソク)記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/03/31/2014033101646.html

*1:例えば、「地価上昇が全国平均を上回ったという釜山・大邱・大田は、みんな既存の鉄道駅にKTXが乗り入れた大都市の例やん!?」とか…。駅が以前立地していた市街地から遠ーいところに移転した、蔚山とか南原とか進永とか晋州とかでのKTXの影響は、どやねん?