【上海の風景】上海交通大学・徐匯校区

上海の名門大学といってまず名前が挙がるのはおそらく復旦大学でしょうが、上海交通大学もそれに並ぶ名門校です。

1896年創設の「南洋公学」を起源とするこの大学の「交通」という名称は、工学系であることを意味するとのことです*1。ですから、今は文系理系の各学部に医学部も擁する総合大学になっていますが、基本的には理工系のイメージが強いと言えます。復旦大学と上海交通大学との関係は、北京大学に対する清華大学京都大学に対する大阪大学のようなイメージでしょうか。

上海交通大学 - Wikipedia

上海交通大学 - 百度百科

現在では複数のキャンパスを抱えていますが、本部があるのは上海屈指の繁華街・徐家匯に近い徐匯校区です。フランス租界に接したこの場所は、交通大学揺籃の地であるとともに、今は郊外の五角場近くにある復旦大学の前身・復旦公学の校地もありましたし、すぐ近くには東亜同文書院が校舎を構えていました。日中戦争中には、重慶疎開した交通大学の施設を東亜同文書院が利用していたという話もあります。

東亜同文書院大学 (旧制) - Wikipedia

というわけで、地下鉄交通大学駅を降りてすぐのところにあるこの上海交通大学のキャンパスには、20世紀初頭から残る歴史ある建物が数多く見られます。こうした校舎の建築年を解説板で見れば、1937年から1945年までこの場所を使っていた東亜同文書院の学生も、これらの建物の多くを目にしていたということがわかります。



この門を入ってすぐ右手に見えてくるのが、「老図書館」と呼ばれているかつての図書館。堂々たる構えのこの建物は、現在は交通大学校史博物館として使われています。この時には訪れた時間が遅くて、展示を見学できなかったのは残念でした。




ちなみに校史博物館の題字を壁に揮毫しているのは、上海交通大学の卒業生である江沢民です。


老図書館の前に広がる芝生広場の中心に建っている建校100周年紀念碑も、江沢民の揮毫です。


大学の研究教育機能の大半は、この手狭な徐匯校区から新しい別のキャンパスに移されているため、すし詰めといった様子ではなく、見ての通り、周辺の一般住民も散歩を楽しめるような開放的な雰囲気です。

緑の多いこうした佇まいは、北京の大学のそれとはやはり違います。








*1:なので、韓国で鉄道大学が他大学と合併して「韓国交通大学校」になったというニュースを聞いた時には、ちょっと「ん?」となりました。意味は分かるんですけど、何となく違うような気も…。