朝鮮日報の「スチューデントプア」特集

朝鮮日報日本語版にあるこの特集記事。

こちらの記事はインターンに賃金が支払われるのを当然視するところが引っかかるのですが、逆に言えば、「インターンを労働力として組み込む」ことが当たり前になっている実態を示すものと思われます。インターンを希望する側と受け入れる側の需要と供給のバランスが崩壊して、受け入れ側が一方的に強い立場にあることが、こうした事態を招いているのではないでしょうか。

仮に、インターンの労働から利益を得ているのであれば、形式的には「インターン」であっても、彼らは労働者そのものです。となれば、それはその労働に見合った給与が支払われるべきでしょう。

インターンが「不法な就労」になるとき、「不当な搾取」になるとき

記事入力 : 2014/09/08 06:59
スチューデントプア:まるで奴隷のようなインターン
最低賃金を大幅に下回る給与、仕事は雑務ばかり

 ソウル市内の大学3年生の男子学生(23)は昨年夏、ケーブルテレビ局のインターンの期間が終わるや、すぐに次のアルバイトを探さなければならない状況に陥った。8月の1カ月間、インターンとして働いていた間に、後払いの交通カードの代金が支払えなくなったためだ。午前9時から午後6時まで、週5日間勤務するケーブルテレビ局のインターンの月給は40万ウォン(約4万1000円)。時給に換算すれば2500ウォン(約255円)で、昨年の最低賃金(時給)4860ウォン(約500円)を大幅に下回っている。交通費や食費の支給、残業手当もなかった。男子学生は「契約書もなく、月給が40万ウォンということも後で問い合わせて初めて知った」と話した。

 男子学生は「(インターンの)月給の支払いも3週間遅れたため、インターンの期間が終了するやいなや別のアルバイトを探し、何とか生活費の赤字を埋め合わせられた」と話した。男子学生がこれほどひどい待遇のインターンをやったのは、スペック(学歴や資格など)を増やすことができると考えたからだ。「給料が少なくても、専門学校に通うような気持ちで1カ月間耐え忍んだが、(ケーブルテレビ局でインターンとして)私がやったことは簡単な『雑務』にすぎなかった。安い給料で人を使おうとして、『インターン』という名前で雇ったのではないかと思えてならない」と男子学生は話した。

 最低賃金にも満たない低賃金のインターンや、給料の支給さえないインターンが「ステューデントプア」の若者たちを2度泣かせている。インターン労働基準法上の労働者と認められれば賃金を支給しなければならないが、「教育生」または「ボランティア」として届け出れば、賃金を支払う必要はない。「産学協力インターン」も、学校と会社が職務経験を積むという趣旨で設けられた制度であるため、最低賃金を守らなくてもよい。

 特に政府や国会、国際機関など、職務経験を積むのが困難な職種では無給のインターンが多い。国連工業開発機関(UNIDO)は先月、インターンを募集する広告を出したが、国際学を専攻した大卒者や大学院生でTOEIC国際コミュニケーション英語能力テスト)850点以上、パソコン上級者という厳しい要件が設けられた。ところが給与は、食費や交通費を除いて支給されない。

 就職活動中の人たちは「インターンではなく『奴隷』を集めている」「みんな志願しないようにしよう」などと反発しているが、就職市場で弱者である学生たちは、スペックのために無給のインターンでも志願するというのが現実だ。

特別取材チーム

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/09/08/2014090800052.html

それはそれとして、「スチューデントプア」とは何なのか、については、こちらの整理が参考になります。どの類型も、非常によく聞くパターンです。

記事入力 : 2014/09/07 07:06
スチューデントプア:4類型にみる韓国社会の高費用構造

 いわゆる「スチューデントプア」には四つのパターンがある。それぞれ独自の特徴があるが、いずれも「良い就職先」を手にするために多額の費用が必要な韓国社会の「高費用構造」を抱えている。

 最初のパターンは、就職に必要な「スペック(学歴や資格など)」を高めるため、必要であれば数千万ウォン(1000万ウォン=約100万円)でも投じる若年求職者だ。最近になって一層厳しくなった就職競争を勝ち抜くため、求められるスペックも徐々に高くなり、そのために必要な費用も非常に高額になっている。1回で数千万ウォンは必要とされる海外の大学との交換留学制度や海外語学研修も、最近では特別なものでもなくなった。その上TOEICTOEFLなど英語試験の点数向上や資格取得、インターンやボランティア経歴の獲得、面接のためのスクールでの受講、エントリーシートの代筆などにまで資金を投入しなければ、ライバルたちと同じスタートラインに立つことができない。

 2番目のパターンは行政考試(日本の国家公務員試験総合職試験に相当)、一般の公務員試験、教員採用試験などの合格を目指す学生たちだ。これらは合格さえすれば定年まで安定した身分が保証されるため、多くの学生が激しい受験競争を繰り広げている。特別に高いスペックが求められるわけではないが、それぞれの試験に特化した専門のスクールも増えているため、最近は「寺にこもって独学し考試に合格した」という話もほとんど聞かれなくなった。また有名講師によるネット講義は、1科目100万ウォン(約10万円)近くになるため、専門のスクールで2−3科目を受講する場合、大学の授業料に匹敵する費用が必要になる。そのため受験生の多くは合格まで極貧ともいえるレベルの生活に耐え、スクールの受講料を支払うため試験の準備とアルバイトを並行して行い、結果的に不合格を重ねるスチューデントプアに転落してしまうのだ。

 3番目のパターンは弁護士や医師など高所得専門職を目指し、専門の大学院に通う学生たちだ。2005年から09年にかけて導入されたロースクール法科大学院)や医学専門大学院の大半は、年間の授業料が1500万ウォン(約150万円)を上回る。学生たちは「卒業さえすれば返済できる」と考えて金融機関の学資ローンを利用するが、時には金利が2桁の高利貸に手を出すケースもあり、借金が数千万ウォンにまで膨らむことも珍しくない。また借金をせずに休学と復学を繰り返し、身分の上でフリーターと学生を行ったり来たりするスチューデントプアも少なくない。

 4番目のパターンは最初からスチューデントプアとして大学生活をスタートし、そこから抜け出せないまま貧困層にとどまるケースだ。低所得層出身の学生たちはほとんどがこのパターンに該当する。「良い就職先」を手にするには大学の授業料以外にもさまざまな費用が掛かるため、奨学金や支援金だけでは、「小川から竜(貧しい家庭から偉大な人物が生まれることの例え)」を生み出すための費用を捻出できないからだ。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/09/06/2014090600956.html

「チーズインザトラップ」で言えば、見た目そのまんまの考試浪人だったコンジュヨンを先頭にして、今はまだ学生であるアラサーのキムサンチョルも、また主役であるはずのホンソルも、そこに出てくる学生たちはみんな、こうした類型のどれかに落ち込む予備軍そのものの境遇を生きています。



あ、大会社の御曹司として父親の会社でインターンしているユジョンは、もちろんこの枠には入りません。

あんたはお呼びではないんで、そのままインターンしてなさい。


追記:こちらの記事も、大学近くの下宿を経済的な事情から引き揚げて、餅店にある実家からソウルに通うホンソルや、地方を転々として下宿や考試院暮らしの長いペクインホには関連が深い話ですが、江南の超一等地でお手伝いさん付きのアパートに暮らしているユジョンには縁のない話です。

記事入力 : 2014/09/09 07:04
スチューデントプア:ソウルの住居費にあえぐ地方就活生

 一般の人よりも遅く大学に進学したAさん(29)は、2年生だった2011年に大学の寮を出て自炊生活を始めた。食費や公共料金などを自分で支払うようになり、寮にいたころよりも毎月の支出が15万ウォン(約1万5000円)ほど増えたため、貯蓄銀行から180万ウォン(約19万円)を借り入れた。毎月8万ウォン(約8000円)の返済が滞りがちになり、借金は1年で300万ウォン(約31万円)に膨らんだ。Aさんは昨年、大学を卒業したが、いまだに学費ローンを含め2300万ウォン(約237万円)の借金を抱えている。

 ソウルの高い住居費が、地方から上京した学生たちを「スチューデントプア」に追い込んでいる。住居費のため、地方出身の学生たちはソウルの自宅から通学する学生に比べ、毎月の支出が30万−60万ウォン(約3万1000−6万2000円)ほど多い。契約期間が終わったら家賃を上げると家主に言われれば、交渉するか、さもなければ新たな部屋を探さなければならない。そのため、学生街では住居の不安にさらされている貧しい学生を殻のないナメクジに例え「ナメクジ族」と呼んでいる。

 檀国大3年生のBさん(24)は、ナメクジ族の中の「バッタ族」だ。家主の家賃値上げ要請に応じず、契約期間が終わるたびに引っ越しているためだ。Bさんは、入学後1年間は大学近くの下宿に住んでいたが、家主に保証金を1000万ウォン(約103万円)値上げしたいと言われたため、考試院(貸し部屋)に引っ越した。その後は考試院や寮を転々とした。大学が休みの期間は、帰省する友人の部屋を安く借りた。Bさんは「荷造りが上手になったが、今では一部しか荷ほどきをせずに暮らしている」と語った。

 より良い部屋に引っ越すことを諦め、安い所に住み続けている「くい族」(韓国語でくいを打つ=ある地位・場所に長く居座る、の意)もいる。崇実大に通うCさん(24)は、ソウルに上京した09年から6年にわたり同じ考試テル(貸し部屋)に住んでいる。部屋にはベッドと机、わずかな収納スペースがあるだけで、トイレ、洗濯室、キッチンは共同だ。Cさんは「ずっと住んでいるおかげで家主が家賃を5万ウォン(約5000円)下げてくれたが、それでも月35万ウォン(約3万6000円)だ。ほかの所はもっと高い。これからもここから引っ越せないと思う」と話した。

 最初から部屋を借りるのを諦め、毎日数時間かけて地方とソウルを往復している学生もおり、その通学距離の長さから「マラソン族」と呼ばれている。忠清南道・天安からソウル・清凉里の四年制大学まで、毎日往復5時間かけて通学していたというDさん(25)は「節約のため天安から地下鉄で通っていた。毎日長旅だったが、それでもソウルに住むよりは安く済んだ」と話している。

ナム・ジョンミ社会部記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/09/09/2014090900091.html