韓国の雇用と生活の問題を退職後から就職前まで

日本語版で目に付いた記事を3つ並べてみただけのことですが、後続世代のことを考えてしかるべき先行世代が、そういうことをする余裕をなくしている様子が見えてくるようで、笑えません。

最低限、良心以前の問題として、法律をまず守ってほしいのですが、そんなことすら施策的には後回しにされそうです。国民から遠いところにいると評判の大統領は、中でも若者世代との距離がひときわ遠いようですしね。


【コラム】386世代の退職津波と「半退時代」=韓国
2015年01月12日16時38分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

いわゆる「386世代」の大学の先輩L氏。1960年代初期に生まれ、80年代に大学に通った。講義室より街中で過ごした時間が多かった。石(デモで投げる石)や焼酎杯が本より馴染んでいる。それでも卒業時は学科事務室に山積みされた就職推薦書を受けて就職した。職場生活も順調だった。80年代後半の「3低(ドル安、原油安、低金利)好況」のおかげだった。30代だった90年代末、進歩政権の産婆役もした。98年に国際通貨基金IMF)危機を迎えたが、うまく切り抜けた。しかし昨年、伏兵にあった。2016年から300人以上の事業場の定年が60歳に延びると、会社が刀を抜いたのだ。50代の古参部長が次々と名誉退職者の対象となった。

よりによってなぜ定年延長を目の前にして職場を離れなければならないのかとつれなく思ったが、また余裕があった。ソウル江南(カンナム)のマンション1戸に数億ウォン台の名誉退職金も手中にあるからだ。失業者の最初の月は楽しかった。ところが銀行に預けた退職金3億ウォン(約3000万円)の利子を何気なく計算してみて驚いた。税金を差し引くと月46万5300ウォンにしかならなかった。そういえば購入して置いておけば金の卵を産んだマンションも役に立たなくなって久しい。娘2人の私教育費のため、年金や保険にも入れなかった。さらに国民年金でも受けようとすれば8年も待たなければいけない。

危機を感じたL先輩。一歩遅れて履歴書を持って駆けまわった。そのとき初めて悟った。ドラマ『未生』になぜこれほど多くの人たちが共感したのか。家に行ってチキン店経営の話を取り出し、離婚の印鑑を押すところだった。まだ大学生の次女の学費、2人の娘の結婚資金まで考えればため息ばかり出る。今後30年ほど生活しなければならないが、どうやって乗り越えていくのか先が見えない。これはL先輩だけの家庭事情ではない。韓国の「386世代」は特別な世代だ。まず人口比率(2010年総調査)が17%にのぼる。50年代生まれの12.8%よりはるかに高い。60年生まれが満60歳となる2020年からは年間80万人以上の退職者があふれる。

続いてすぐに人口比率が16.5%の70年代生まれの退職が待っている。今後30年近く韓国社会はL先輩のように、退職しても引退できず求職市場をさまよう「半退者」の津波にのまれるということだ。それに比べると、すでに経験した55−59年生まれの1次ベビーブーマー退職ショックは小さな台風だった。進歩政権誕生の主役だった386世代が挫折すればどうなるだろうか。しかし左右に分かれた韓国社会が「チャン・グレ」と「マ部長」の世代葛藤で四分五裂されることはないだろう。

定年延長という伏兵が386世代の退職の津波を5年操り上げた。ところが韓国社会は目の前に近づいた津波にあまりにも鈍感ではないだろうか。2%台の銀行金利では30年間の「半退生活」を支えることができない。4−5%台の収益率の投資商品が切実だ。チキン店とマンション警備員も答えにならない。賃金ピーク制や時間制職場の活性化で実質的な定年延長が実現しなければならない。しかし韓国社会の進化の時計は3低好況を謳歌した80年代に止まってしまった。

「政府が何とかしてくれるだろう」という期待は早くあきらめるのが身のためだ。自ら30年先を眺めて人生設計を組み直さなければならない。そうでなくてもデフレ恐怖に包まれた我々の前にもう一つの「未踏の道」が置かれている。その道の終わりがどこなのかは想像するのも難しい。今年1年、中央日報はこの道を解決していくための知恵を読者の皆様と一緒に集めていこうと思う。

チョン・ギョンミン経済部長

http://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=195194

老後を心配、30代から財布を閉じる
記事入力 2015-01-10 04:01 | 記事修正 2015-01-12 17:22:57

中堅企業に勤務会うするキム某さん(32)は最近、証券会社に通う親戚の勧めでファンド型年金貯蓄に加入した。若い時から老後の備えに入っておかないと、現在の30代は対策がないというアドバイスを聞いたからだ。「父の世代に比べて、国民年金と退職年金だけではまったく老後の備えにならない」という言葉にキム氏は焦燥感が出た。そこで乙未年新年から、月収入300万ウォンの10%を超える33万ウォンずつを毎月、年金貯蓄として納め始めた。キムさんは「そうでもしないと、退職後に暮らしに支障が出るでしょう」とし、「周囲の友人を見まわすと、いち早く年金貯蓄やその他の個人年金に入って老後の備えを開始するケースが何人にもなる」と語った。

高齢化の影響で、30〜50代が支出を減らしている。引退後の社会安全網が不確実だという考えから年金保険に加入するなど、老後に備えているからだ。

9日、韓国経済研究院が統計庁の「家計動向調査」を分析した結果によると、家計当たりの平均消費性向は持続的に下落している。2006年の64%から2013年には59.6%に、4.4%ポイント下落した。この期間に60代以上が6.2%ポイントほど消費を減らした。平均消費性向とは可処分所得を消費支出額で割った百分率で計算したものだ。

問題は高齢化の問題に直面した60代だけでなく、20代を除いた30〜50代の3.4〜3.9%ポイントほどが支出を削減して財布を閉じているということだ。支出の中で将来に備える性向の強い保険支出、特に年金保険の支出は大幅に増えている。 50代の場合、2006年に平均月4万5528ウォンを保険に支出していたが、2013年には月8万3585ウォンに増え、増加率は83.6%に達した。この期間に50代の経常所得の増加率は43%だった。30代と40代の保険支出の増加率も、それぞれ45.4%と49.8%に達した。

金保険は50代の増加率がなんと175.9%に達し、40代と30代もそれぞれ144.1%と136.2%と集計された。韓国経済研究院のピョン・ヤンギュ マクロ政策研究室長は、「老後を含めて将来の生活安定のための支出が大幅に増加する現象が現れている」とし、「65歳以上の消費性向が最も大きく下落して、高齢化が進むほど内需不足に苦しめられる可能性が大きくなった」と指摘した。

ピョン室長は続けて「さらに懸念すべきは、30〜50代はすでに消費を減らし始めたという点」だとし、「彼らが引退する10〜30年後にも、高齢化の否定的な影響が続くと予想される」と付け加えた。

[ソ・ドンチョル記者/キム・テジュン記者]

http://japan.mk.co.kr/view.php?type=M1&category=30600004&year=2015&idx=2017

記事入力 : 2015/01/12 10:13
【社説】若者から搾取する企業、法以前に良心の問題だ

 見習いやインターン社員、学生アルバイトなどを通常よりも低い賃金で働かせることが一種の慣行となっているアパレル業界に対し、雇用労働部(省に相当)が一斉に実態調査と指導を行うことを決めた。情熱と「ペイ(給与)」を合わせたいわゆる「情熱ペイ」という不当労働を意味する言葉が最近若者たちの間で広まっているが、社会に横行するこのあしき慣行にメスを入れるため政府もついに重い腰を動かし始めたのだ。企業や公共機関が最初からインターン社員を低賃金で酷使しようと考え、募集広告などに「あなたの情熱を買います」などともっともらしい言葉を使う社会の実態を皮肉ったのがこの「情熱ペイ」という言葉だ。

 先日は正社員に110万ウォン(約12万円)の給与を支払うというある有名デザイナーのデザイン事務所が、インターンには1カ月30万ウォン(約3万3000円)、見習いにはわずか10万ウォン(約1万1000円)しか給与を支払っていないといううわさが広まり大きな問題となった。しかもこれは深夜労働手当など残業代を含めた賃金で、企業だけでなく公共機関、国際機関、非政府組織(NGO)などでも同じようなことをやっているという。履歴書に記載する経歴を1行増やせるといううたい文句で、賃金なしの労働を会社側が要求するケースも決して珍しくない。仁川アジア大会でもボランティアに食費や交通費さえ支払われず、しかも食事のための休憩時間さえ与えられないまま空腹の状態で働かされるケースが多いことが分かり、問題となった。

 昨年韓国では20代の失業率が9.1%に達し、アジア通貨危機後では最悪を記録した。今では仕事を始めるにしても非正規職からが当たり前となり、正社員での就職などほぼ不可能に近いのが実情だ。大学の授業料を支払うためにローンを借りても、卒業後に就職ができないことから返済が滞り、社会に出ると同時に信用不良者(金融債務不履行者)となるケースを「青年失信(失業者と信用不良者を合わせた造語)」と呼んでいるが、この言葉はすでに広く定着してしまった。このような実情を反映してか、無給のインターン募集広告に応募者が殺到するケースも珍しくない。学生や就職浪人たちは履歴書にインターンの経歴を1行増やすため、劣悪な労働条件であることを知りつつもやむなく募集広告に応募するのだ。

 学びと経験のチャンスを提供することを口実に、若者たちをほぼ無給で働かせるのは法律の隙を巧みに利用した労働の搾取であり賃金泥棒だ。法的な根拠なしに雇用労働部が監督するだけではどうしても限界があるだけに、見習いやインターンに最低限の賃金さえ支払わない行為を厳しく処罰できるよう、この機会に関係する法律を見直す必要があるだろう。しかし若者を支援するどころか、彼らの追い込まれた立場を悪用し搾取する行為は、法律以前に人間としての良心の問題だ。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/01/12/2015011201017.html