甲子園と商業高校の現在

数日前のサンケイスポーツに出ていたこの記事。みんな思っていることを改めて記事にしていて興味深く読みました。特に、某スカウトが言ったという地元就職の話、地元経済界にかつてあった商業系人材へのニーズが細ってしまったというのは、確かにありそうな話です。

それは、「かつては多数あった私立の商業学校がほとんどなくなってしまった」というあたりから語り起こせそうな気がします。戦前からの甲子園出場校では浪華商業・中京商業・東邦商業・松本商業など、戦後では柳川商業・福知山商業などが、現在は商業学校・商業高校から改称していますね。現在だと商業高校はほぼ公立校だと思いますから、商業高校の「凋落」は私立優位の流れとも関係があるように思います。

ただ、かつては実業系とひとくくりされていた高校も、いろいろ再編や改革が進んでいて、必ずしも就職のための学校とは言えなくなっているケースは少なくありません。ここで挙がっている高松商業などは、国公立大学に毎年30人前後の合格者を出しているという進学実績で知られた学校ですしね。

2016.1.5 13:00
【球界ここだけの話(411)】甲子園に商業高校が減ったわけは…


昨年11月の「第46回明治神宮野球大会」高校の部で、逆転で初優勝した高松商ナイン=神宮球場(撮影・加藤圭祐)

 球春到来が近づいている。日本球界で今年最初の行事といえば、3月20日に開幕する高校野球の選抜甲子園。優勝候補に挙がるのは、昨年11月の明治神宮大会を制した高松商(香川)だ。

 1996年夏を最後に甲子園から遠ざかっていた高松商は、同大会で準決勝は大阪桐蔭(大阪)、決勝は敦賀気比(福井)を撃破。水原茂(元巨人監督)、牧野茂(元巨人コーチ)ら蒼々たるOBを輩出した古豪が、復活ともいえる戦い振りを見せた。

 ただ、気になるのは全国的に商業高校が苦戦を強いられていることだ。わが母校の広島商もそのひとつ。2004年夏以来、甲子園に出場できていない。銚子商(2005年夏)、水戸商(2008年春)、松山商(2001年夏)、高知商(2006年夏)、宇部商(2007年春)など、かつては常連といわれた伝統校が、いずれも10年近く、聖地から姿を消している。

 私立校に有力選手を持っていかれる、設備が劣る、普通科高校と比べると進学が難しい…など、原因は多々あるだろうが、思わず「なるほど」とうなったのは、巨人元スカウトの言葉だった。

 「就職も難しくなっているらしいよ。昔は卒業すると地元の銀行や有力企業に就職できていたけど、そういう会社も大卒を中心に採用するようになった。工業高校は技術職などで需要があるって話だよ」

 ならば、自らを磨き、大学、社会人、プロを目指せ、と思うのは昔の考えか。自分が中学生のころは考えもしなかったことが、今は高校進学前から切実な問題となっているそうだ。東京に住み、母校の戦績を見ていただけでは分からなかった。

 昨夏の清宮(早実)やオコエ(関東第一)ら選手個人の活躍はもちろんだが、初出場校や伝統校が大舞台でどんな野球を繰り広げるのかも甲子園の楽しみ方のひとつ。だからこそ、今春は高松商の奮闘に注目してみたい。(巨人担当・桜木理)

http://www.sanspo.com/baseball/news/20160105/hig16010513000002-n1.html