ACLの中間評価:あからさまな結果論、でも結果から学ばねば

エイジーニョさんの記事は前にも注目したことあります。その時と現在とを対比させて読むことも、意味のないことではないでしょう。

ACLベスト4で広州恒大と対戦するガンバ大阪を見る目 - 大塚愛と死の哲学

Kリーグが抱える問題がこの半年余りで大きく変わったわけではない。Jリーグの問題も特に解決されたわけではない。

大きく変わったのは、Kリーグ勢とJリーグ勢とが出してきた結果です。その意味で、下の記事は正しく「結果」論であると思います。

number.bunshun.jp

 今回は「Kリーグ勢が見たJリーグ勢」の話を。

 19日と20日、ガンバ大阪FC東京がそれぞれのホームで、ACLの第5節を戦った。結果は既知のとおり韓国勢に2敗。ガンバ大阪水原三星に1-2で敗れ、FC東京全北現代に0-3で敗れた。Jリーグ勢がホームで2連敗する事態のなか、相手はどうこちらを見ていたのか。

お互いに崖っぷちの勝負だったが……。

 4月19日、勝ち上がりには勝利が必須だったガンバ大阪は水原に敗れ、大会からの敗退が決まった。双方、「敗れたら即大会敗退」というゲームで、ホームの利を生かせなかった。

 試合後の会見は、司会者から監督へ「試合の所感をお話しください」と振られ、話が始まるのが通例だ。

 水原のソ・ジョンウォン監督(選手時代、1997年フランスワールドカップ最終予選日韓戦@東京で同点ゴール)は、「こちらも大会で勝利がない状況で厳しかった」、「リーグ戦との兼ね合いもあり日程がタイト」、「先週末リーグ戦から先発を約半数入れ替え、フレッシュな選手で戦ったことが奏功した」と自軍の背景を口にしたあと、こう言った。

ガンバ大阪はとてもよいチーム。ここ2~3試合の動画を見て、分析と対処をしたことがうまくいったと思う」

ソ監督「相手の一番良いところを消す」

 こちらから、「2度の対戦も終わったことだし、その内容を聞きたい。ガンバへの分析と対処の具体的内容とは?」と斬りこんでみた。ソ監督は頷き、こう答えた。

「ガンバにはいい選手が多い。だからこそ最も重要視したことは、『相手の一番良いところを消す』ということだった。つまり相手の攻撃力にどう対処するか。それはつまり、『ポジションチェンジを伴うパスワーク』。宇佐美、遠藤をはじめとしたいい選手が効率的に動くので」

 では、それに対してどう対処したのか。ソ監督は続けた。

「コンパクトなラインを保つこと。守備ラインを下げず、ボールキープした相手の一番近くにいる選手が、まずチェックに行く。そうやることで、簡単にプレーをさせず、我々のゴール前に入ってこれないような状態をつくった。そこが一番のゲームのキーだったと考えます」

「今日は楽しいサッカーができた」

 もちろんガンバが押し込み、水原がラインを下げざるを得ない時間帯もあった。それでも水原はパスワークをベースに、時折カウンターも織り交ぜる攻撃で対抗した。

 韓国代表クォン・チャンフン、2010年南アワールドカップ代表でチームの支柱のヨム・ギフン、左サイドのヤン・サンミン、中盤のぺク・チフンらレフティーを豊富にそろえるMF陣で、“意外”といっては失礼なほどに華麗なパスワークを見せた。

 試合後、ヨム・ギフンはこんなことを口にしていた。

「これまでJリーグのチームと対戦するとき、我々はどちらかというと守備ラインを下げることが多かった。でも今回は守備ラインを上げて、ハーフラインの前くらいからプレッシャーをかけていこうという話をした。ガンバのパスワークを遮断できたと思うし、そこから攻撃を始められた。攻守の切り替えでも、高い位置でボールを奪えれば、ボールを運ぶために走る距離も減る。選手同士、『今日は楽しいサッカーができた』という話になりました」

負けたガンバの選手も、敗因をハッキリ自覚する。

 一方、ガンバの丹羽大輝は「韓国の選手があれだけ強くプレッシャーをかけてくるなかで、1対1で負け続けたら勝負にならないということ。負けたとしてもカバーリングをしっかりしなければならなかった」とゲームを振り返っている。1-2の結果が表す通り、ソ監督の戦略にはめられたのだった。

 ちなみに宇佐美貴史は、PKを2度続けてGKノ・ドンゴンにストップされている。韓国メディアはノを称賛していた。

 最初のPKをストップした後、「GKが先に動いた」との判定を下され、蹴り直し。再び宇佐美が蹴ったキックも止めたシーンをこう振り返った。

「僕としてはビリっとした喜びを感じるシーンでした。相手は(一度ストップされた後)『もう一回チャンスが来た』と喜んでいると思ったら、そうではなかった。深刻な顔をしていた。心理的なプレッシャーを感じているんだな、と悟った」

http://number.bunshun.jp/articles/-/825562

うん、まあ、当たってなくはないと思いますよ。水原三星の戦略がはまったという面は確かにありました。

ただ、その前の柏レイソル戦も、さらにその前の上海上港戦も、ガンバの負け方は判で押したように同じだったように思います。

「サッカーって、こんなにゴール前でフィニッシュまで持ちこむことが難しいスポーツだったっけ?」

「相手のゴールマウスって、こんなに小さかったっけ?」

ガンバ大阪の試合で、そんなことを90分間ずっと感じたという経験は、万博時代にはほとんど記憶にありません。それが3試合連続です。

水原三星戦のPK連続失敗のシーンも、心理的なプレッシャーを感じて深刻な顔をしていたのは宇佐美と私だけではなかったはずです。

そういう意味で、この吹田3連戦3連敗の主因は、相手ではなくやはりガンバの側にある、というのが私の見立てです。良くも悪くもガンバはそういうクラブなのかもしれませんね。

だいたい、去年のACLだって、勝つべくして勝った試合なんてほとんどなかったわけです。その意味では、去年と今年の出来は、紙一重の差なのかもしれません。でも、その差が明暗を分けるとすれば、そこにこだわらなければなりません。

敗北を糧にしてはい上がらなければ、吹田が常勝スタジアムになることもありません。終わったことはどうしようもありませんから、この結果から学んで、残りシーズンの巻き返しにつなげてください。


まあ、グループリーグの総括は全日程が終わってからになりますけど、今年のJリーグ勢のACL前半戦のハイライトは間違いなく、浦和レッズ広州恒大を撃破して事実上の引導を渡した埼玉での一戦になるでしょう。あれは最高の一戦でした。

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いや、敵地に来てるからっておべんちゃら言うてるんとちゃいますよ。