西日本新聞による「金海国際空港拡張」への論評

先日発表のあった、韓国東南圏新空港について既存の金海国際空港の拡張案の採用を決定した件について、福岡の西日本新聞が論評記事を出しています。背景にある地域や政治の問題についても適切に触れられていて、いい記事だと思います。

福岡は釜山のお隣ですから、そこの新空港に関心が高いのは当然でしょう。また、金海空港の将来を考えるために、福岡空港のケースは参考になるはずです。ここはもう、これ以上の蒸し返しはやめて、他のことに力を注いだ方がよいと思うのですよ。

韓国新空港「拡張」で決着、激しい誘致合戦の舞台裏 福岡との微妙な距離感
2016年08月02日 03時00分 更新

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密陽案優位の臆測が流れると、釜山市側は大規模集会で対抗した。参加者は主催者発表で3万人に上った=6月14日、釜山市(釜山日報提供)

【釜山・鶴加寿子】韓国南東部で検討されてきた新空港建設は、既存の金海(キメ)国際空港(釜山市)を拡張することで決着した。滑走路は1本増やして計3本になり、利用客数は仁川国際空港(仁川市)に次ぐ韓国第2の規模となる。都市間の激しい誘致合戦が繰り広げられた「新空港建設」が、「現空港の拡張」という意外な結論になったのはなぜか。

 釜山市中心部から車で約40分。金海国際空港は同市江西区の中州にある。2015年の利用者は約1240万人。格安航空会社(LCC)の路線充実で混雑が激しくなった。政府の予測では23年ごろに利用者数1678万人となって「飽和状態に達する」見通しだ。

 新空港の候補地は、釜山市沖の加徳島と、内陸部の慶尚南道密陽(ミリャン)市だった。海上を一部埋め立てて建設する「加徳島案」に対し、「密陽案」は山地に造成する。近隣自治体も巻き込んだ誘致合戦の末、政府が6月下旬に出した結論は、そのどちらでもない既存空港の拡張だった。

 中央メディアは「新空港よりも工費が安い」と評価したが、南東部の不満は爆発。密陽市に近い大邱市の地元紙は政府発表の翌日、朝刊1面を白紙で発行し、猛烈に批判した。

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 政府の決定根拠は、フランスの調査会社の報告だ。加徳島案は海上埋め立ての工費がかさみ、密陽案は交通アクセスが悪いとして、既存拡張を有利とした。

 ただ、背景には、激しくなりすぎた誘致合戦がある。「大邱出身の中央官僚が密陽案を優位にしようと画策している」との臆測も飛び交い、釜山市長が「加徳島案が選ばれなければ職を退く」と繰り返すなど、混乱が生じ始めていた。

 「どちらか一方を選べば地域分断の恐れがあった。それを回避したかったのではないか」と東西大(釜山市)の張済国(チャンジェグク)総長は指摘する。メディアも「分断回避の妙手」(韓国日報)「絶妙な政治的選択」(釜山日報)と分析する。

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 「ここまで状況を悪化させたのは政治家だ」(朝鮮日報)との批判は多い。

 新空港構想は、盧武鉉ノムヒョン)大統領が06年、釜山財界などの要請を受けて検討を指示。続く李明博(イミョンバク)氏が07年大統領選で建設を公約に掲げたものの、採算がとれないと白紙化した。朴槿恵(パククネ)氏が12年大統領選で計画推進を公約に掲げ、論議が再燃した。

 福岡空港(福岡市)も過密化を背景に「新空港」か「既存拡張」かが論議され、工期や事業費などを勘案して現空港の拡張に決まった。韓国の場合は、政治家が選挙のたびに口約束で地域の期待をあおった結果、新たな建設地を選べなくなった−という構図に映る。

 「公約違反」の批判をかわそうと、政府は大規模に拡張し「事実上の新空港」とすると宣言した。ターミナル整備も進め、年間利用者3800万人を見込む。早ければ21年着工というが、仁川空港とのすみ分けなど将来像はまだ見えない。

 来年末には大統領選を控える。張総長は「宣言通り計画を進めるのか、政治家の姿勢が問われる」と指摘している。

http://qbiz.jp/article/91681/1/

せっかく金海国際空港に乗り入れる鉄道路線ができることですし、ここはひとつ、空港と慶尚道各地を結ぶスペシャルな空港特急を導入したらどうでしょう?

というのも、鉄道路線を軸にして考えると、大邱・密陽方面/晋州・馬山方面/浦項蔚山(太和江)・釜田方面と各地からの直通運転が可能という、実に絶妙な位置にあるんですよ、金海国際空港は。

www.knnews.co.kr

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例えばこんなの。お好きでしょう?

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「南海ラピート人気」が何故か今になって取り上げられる。 - 大塚愛と死の哲学

韓国の鉄道は南海電鉄と違って標準軌ですし、KTX導入とまでは行かないとしても、かなりの高速運行が可能なはずです。