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映画「明日へ(原題:카트)」を(DVDで)観る。

日常の事々

2014年公開の韓国映画ですが、映画館で観る機会はありませんでした。

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明日へ [DVD]

明日へ [DVD]

この映画は、いろいろ凄いです。とりわけ、何と言っても、現実にあった「非正規労働者の大量解雇撤回争議」を映画化して、完成度の高いエンタテイメント作品としても成功を収めたということ。なかなかできることではありません。

韓国で2007年から2008年にかけて500日以上にわたって継続された現実の「イーランド解雇争議」は、「しんぶん赤旗」が記事にしています。末尾に引かれている京郷新聞の社説とともにどうぞ。

2008年11月19日(水)「しんぶん赤旗
韓国 イーランド解雇争議が和解
非正規職のパワー発揮
闘争512日、180人が職場復帰

 韓国の量販店「ホームエバー」の労働者が解雇の撤回などを求めていた「イーランド争議」で、イーランド一般労組は十三日、会社側との和解協定に調印したと発表しました。非正規労働者四百人の解雇を受けて、同労組が二〇〇七年六月にストライキに突入して以来、五百十二日に及ぶ闘争が終結しました。

 同争議は、当時ホームエバーを運営していたイーランド・リテール社が、「非正規職保護法」施行(〇七年七月)を前に、レジ係などのアウトソーシング(外注)化を決め、働いていた非正規労働者を大量に解雇したことが発端。同法は、勤続期間が二年を超えた非正規労働者を、「期限の定めのない雇用契約」に転換するものですが、同社はこれを嫌い、駆け込み的に解雇しました。

 争議の中心を担ったのは、非正規の“アジュンマ(おばさん)組合員”でした。労組側は、売り場占拠などで会社側に対抗。機動隊による強制排除、労組幹部の逮捕などを経ながら、長期にわたるたたかいを続け、「非正規職のたたかいの象徴」(ハンギョレ新聞十四日付)となりました。

 流通大手のサムソンテスコ・ホームプラスが今年五月、イーランド・リテール社からホームエバー事業を買収したことで、紛争解決に向けた対話が開始。十三日、労使が調印した和解協定は、▽組合に残る百八十人の原職復帰▽十六カ月以上勤務した非正規職の「期限の定めのない雇用契約」への転換▽非正規職への有給休暇付与―などが柱です。

 現在、ホームプラス社で働く非正規職二千人も待遇改善の対象。会社側は、外注化の範囲を拡大しないことも約束しました。

 労組側は、争議活動を理由に懲戒解雇された二十八人のうち、キム・ギョンウク委員長ら十二人の復職放棄を受け入れました。

 キム委員長は、十三日の会見で「五百日も持ちこたえられたのは連帯の力だ」と表明。「非正規職のたたかいは当事者だけでは勝利できない。問題の解決のためには、かならず現場の正規職が共同しなければならない」と語りました。

 京郷新聞十四日付社説は、同争議について「韓国労働運動史の里程標になった」と評価。「おばさん労働者の切々とした訴えがなければ、非正規雇用を乱発する社会の恥部が、明らかにはならなかった」と指摘しました。(中村圭吾)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-11-19/2008111906_01_0.html

[사설]이랜드 아줌마들의 파업투쟁이 남긴 것
입력 : 2008.11.14 03:25:02

이랜드 일반노동조합과 홈플러스테스코가 어제 노사화합 조인식을 열었다. 이로써 지난해 6월 이랜드의 편법 외주화와 불법 해고로 촉발된 ‘비정규직 아줌마 파업’이 마무리됐다. 아줌마 노동자들이 물대포까지 맞으며 비정규직 차별에 맞서 노동투사로 나선 지 510일 만의 일이다.

장기화로 치닫던 비정규직 파업을 노사가 교섭으로 푼 것은 반길 만한 일이다. 하지만 노조 핵심 지도부 12명은 복직을 자진포기하는 ‘희생의 결단’을 내려야 했다. 함께 험한 길을 나섰던 파업 아줌마들의 마음은 천갈래 만갈래일 것이다. 그러나 이 시점에서 대차대조표 만들듯 성패를 따질 일은 아니다. 이 파업은 한국 노동운동사의 이정표가 됐다. 아줌마 노동자들의 절절한 외침이 없었다면, 비정규직을 남발하는 우리사회의 치부가 이처럼 선명하게 드러나지 못했을 것이다.

홈플러스테스코가 전향적으로 교섭에 나선 점은 평가할 만하다. 사측은 노조를 상대로 한 고소·고발을 모두 취하했고, 비정규직 고용 안정에도 성의를 보였다. 추가 외주화 금지, 16개월 이상 비정규직의 무기계약직 전환, 비정규직의 공휴일 유급제 인정 등 노조 요구를 수용했다. 또 다시 해를 넘길 것만 같은 코스콤, 기륭전자, KTX의 비정규직 파업도 타결의 열쇠는 사측의 전향적 태도 여부에 달려 있음을 시사하는 대목이다.

이랜드 아줌마 파업은 끝났지만, 그들이 꾸었던 ‘소박한 꿈’은 진행형이다. 정규직과 똑같은 일을 하는데 비정규직의 월급과 처우는 왜 다른지, 기업들이 상근 일자리를 비정규직으로 채우는 꼼수를 부리는데도 정부는 왜 팔짱만 끼고 있는지, 아들·딸들에게 이런 의문을 대물림하는 것이 부모들이 할 일인지를 모두에게 묻고 있는 것이다.

http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=200811140325025&code=990101

この事実を踏まえて作られた本作品は、一人一人の非正規労働者が生きてきた履歴や置かれている環境などを個別に取り上げながら、そこから見える光景を描き出していきます。

それは、「甲」ではない「乙」な人であれば、誰もが直面するかもしれない場面です。

blog.goo.ne.jp

雇用者側の「横暴」に対して被雇用者たる労働者の側が組合を結成し、団体交渉を求める。そしてそれになかなか応じようとしない経営側の態度がお約束なら、相手が手強いと見るや、労働運動史上にありふれた経営側の労働運動潰しの典型例が次々と繰り出されるのもお約束。これ、労働法教育のいい教材になりますよ。

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労働法入門 (岩波新書)

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で、この映画を見るあなたは、「甲」なのか、「乙」なのか。どこにいて、どこに立ってこれらのシーンを見るのか。

「食事の途中に呼び出され客に謝る姿、現実の私と全く同じだ」
登録 : 2014.10.30 21:29修正 : 2014.10.31 07:39

映画『カート』を見た大型マートの労働者の所感

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ホームプラスの労組員たちが22日午後、ソウル広津区のロッテシネマ建国大入口館で、大型マートの非正規職労働者の生活と哀歓を描いた映画『カート』の試写会が終わった後、映画と現実の作業現場について話を交わしている。タク・キヒョン先任記者

ホームエバーの労働者解雇を扱った映画
現実とまったく同じ姿に涙を流す

勤務7年目の労組支部長チョン氏
「息子くらいの年齢の管理職に反省文を書かせられ」

10年目の労組支部長オ氏
「労組設立のとき、本当に怖かったです」

7年目の労組支部長チェ氏
「人間的な扱いを受けて働きたい」

 スクリーンの外の労働者たちが映画の中の労働者たちと一緒に泣いた。「一本の映画がどうしてこんなに、私の人生をそっくりそのまま語ることができるんでしょう」。 大型マート勤務9年目のレジ担当 キム・ヒョソン氏(35)が、涙まじりに話した。22日午後、ソウル広津区紫陽洞(カンジング・チャヤンドン)のロッテシネマ建国大学入口館で開かれた映画『カート』の試写会を訪れた観客たちは、とまどった表情で、涙をボロボロこぼしている人々の脇を通り過ぎていった。

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映画<カート>ポスター

「今日私は解雇された」というコピーの入った映画『カート』は、「ザ・マート」という大型マートで働いていて突然解雇された非正規職労働者たちの闘いや労働組合設立の過程を描いている。2007年にイーランドグループから整理解雇されたホームエバーの労働者たちの、510日におよぶ長期ストがシナリオの基になっている。 昨年3月の労組結成後、1年6か月目の今月初めに賃金引き上げ案の暫定合意を引き出した民主労総サービス連盟ホームプラス労組の組合員5人にとって、映画は現実そのものだった。

 映画の中の労働者たちは、一方的な整理解雇通知を受けた後、労組を作る。キム氏たちが実際所属するホームプラス労組は、ソウル永登浦(ヨンドゥンポ)店の社内映画サークルで会ったPT(パートタイムの非正規職)が集まって、互いの哀歓を分かち合う中で始まった。人格的に無視されがちな環境は彼女たちを一層強固に結び付けた。映画の中の台詞のように、単純労働をする“透明人間”扱いを受けながら、彼女たちが期待できたのは、年に100~150ウォン上がる時給が全てだったという。

 ホームプラスで働いて7年目の、労組永登浦支部長チョン・ミファ氏(53)は「息子くらいの若い管理職がおばさんたちを軍隊式に扱った。一言で簡単に解雇されたりもしたが、今でもこんなところがあるのかと思った」と言って、初めてマートの仕事を始めたときを思い起こした。 映画の中でも、ザ・マートの30代正規職男性管理職たちは、ミスをした40~50代のパートタイム女性らを廊下の真ん中に置かれた“考える椅子”に座らせて反省文を書かせる。ザ・マートの職員たちが休む空間のあちこちには「私たちは常に乙です」(訳注:甲が強者、乙が弱者を表現している)と書かれたステッカーが貼られている。彼女たちはリップスティックの色も髪の色も、自分の好きにはできない。

 勤務4年目になるレジ担当のソウル地域本部長キム・ジンスク氏(35)は「顧客が腹を立てたら、こちらに誤りがなくても、とにかく謝らなければならなかった。食事中に呼び出されて『申し訳ありません』と言わなければならなかった。余りにも屈辱的だった」と語った。映画の中の“ヘミ”も職員休憩室までやって来た“サンジンの母さん”(「質の悪い<韓国語でチンサン>客」を指すマート職員間の隠語。サンジンはチンサンを逆さにしたもの)の前にひざまずいて許しを請う。

 キム・ジンスク氏は「このままでは、ただ切られて終わりではないかという思いから、同僚9人と労組を作った」という。長く困難な戦いの始まりだった。延長勤労手当てを求めて訴訟を起こした。法に基づいて団体交渉を要求しても無視された。返ってくるのは懲戒処分だった。 店舗単位で順繰りにストをやった。そんなふうに闘って闘って、現在はホームプラスの全労働者1万2000人余のうち、2500人余りが組合員になった。

 10年目になるレジ担当のオ・ギョンボク氏(49・仁川(インチョン)の間石(カンソク)支部長)は、ザ・マートの正規職出身の労組委員長がスト87日目に投げかけた言葉が切々と感じられたと言った。「『雨垂れが果たして岩に穴をあけることができるだろうか』この台詞同様、昨年初めて労組を設立した時、その大きな会社を相手に私たちがうまくやれるか、本当に怖かったです」

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映画『カート』の一場面。写真シネ21//ハンギョレ新聞社

 永登浦支店のチョン支部長は、今年1月の初めてのストライキが忘れられないと話した。 「組合員たちはストライキに大きな負担を感じていました。売り場を回りながら『姉さんたち、ストに入りました。出てきて下さい』と言っても、みんなためらって出てこないんです。そのうち、一人の姉さん(訳注:韓国では、血縁の兄弟姉妹でなくても実の姉妹のように呼び合うのが普通)が『レジを閉めて!』と言って飛び出すと、他の人たちも一斉に立ち上がって出てきたんです。売り場の外に出てきて抱き合って泣きました。」 会社の弾圧を恐れて、労組に加入した事を隠さなければならなかった組合員たちが、お互いの存在を初めて確認した瞬間だった。

 経歴7年のレジ担当で7月に水原霊通(スウォン・ヨントン)支部長になったチェ・サンミ氏(49)は「タクシーから降りる時や、家で電話を切る時も、無意識に『お客様ありがとうございます』と言ってしまうほどストレスを受けている。何よりも、人間的な扱いを受けて働きたい」と語った。

パク・キヨン記者

韓国語原文入力:2014/10/23 15:12
http://www.hani.co.kr/arti/society/labor/661037.html 訳A.K(2559字)

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/18654.html

この問題について日本語で読んでいくとすれば、ハンギョレさんの独壇場にならざるを得ませんが、そうした単一のソースからでも、いろいろな現実につながっていくことができます。

映画『カート』のモデルとなった非正規労働者らに7年ぶりの無罪判決 : 政治 : ハンギョレ
映画『カート』でおばさん労組員を支えた労務士 : 政治 : ハンギョレ
映画館アルバイト生は映画『カート』を観ても自分の現実に戻れない : 政治 : ハンギョレ
漫画とドラマで労働法を学ぶ韓国の若者たち : 政治 : ハンギョレ

「隣国の他人事」として済ませられるのであれば、「興味がない」で終われるのでしょう。だけど、残念ながら私自身はそうは思えないので。

そう、これとかね。

style.nikkei.com

たぶん、今後も何度か観ることがあるでしょう。この辺との絡みもありますし。

人を雇うなら最低限、最低賃金は払えよな。 - 大塚愛と死の哲学
ブラックバイトと大学教育:世の中の悪意と理不尽から身を守る術を学生が身につけることで得られるもの - 大塚愛と死の哲学

また、EXOからD.O.(ディオ)出演しているとはいえ、さほどメジャーとは言えないこの作品に対して、内容の濃いレビュー記事やまとめが目につくのも、単なる偶然ではないと思いますよ。

matome.naver.jp
youpouch.com
news.kstyle.com
rcrfc.hatenablog.com


ところで、もう一つ、この作品の凄いところがあったこと、エンディングロールで気が付きました。

「나연수」

「ん?今、ナヨンスって名前なかったか?」

そう言えば確かに、途中で挿入されたニュース内で争議を現場レポートしていた報道記者がいたな…もしかしてアレか!

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議政府軽電鉄の「故障鉄」ニュースに関する正直な感想 - 大塚愛と死の哲学

確認すると、namuwikiに記載がありますね。ご自身も労働組合に加入し、労働運動に理解があるものと思われますので、そうしたところから特別出演が実現したのでしょう。YTN自体も、そうしたことをおそらく前提として、映画に協力しています。

나연수 - 나무위키

2014년 11월 13일 개봉된 영화 '카트'에서 마트 직원들의 파업을 보도하는 기자로 특별출연하였다.

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……えっ、この映画に出演した時点で、もう結婚してたん?

www.youtube.com