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「借金」と「性労働」:西日本新聞の記事から

ここでは何度か取り上げたことのある二つのネタについて、同じ西日本新聞に掲載された記事。

まったく重なるというわけではありませんが、糊付けできる程度には重なりのある話です。並べてみる価値はあると思います。

奨学金は「借金」でもある 返済見通し立てて検討を 大学生の5割利用、自己破産も
2017年03月17日 13時25分

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 大学などへの進学とともに、奨学金の利用を検討する人も多いだろう。だが無事に卒業しても返還が滞り、将来的に住宅ローンを組めなくなったり、自己破産に陥ったりするケースもある。借りる前に一度、返すときのリスクも考えてみませんか。

 「『みんな借りるから』と気軽に考える人もいますが、奨学金は子ども名義の借金。社会に出る時点でマイナスからのスタートになることを、親はきちんと説明してほしい」。福岡市のファイナンシャルプランナー江崎智代さん(43)は訴える。

 日本学生支援機構によると、大学生の5割は奨学金を利用しており、ほとんどは貸与型。1人当たり平均貸与金額は有利子タイプで343万円、無利子タイプで236万円に上る。

 返還は卒業の半年後から始まる。今月まで計343万円を借りた場合、利子を含めた返還額は約355万円。20年間で返すには毎月1万5千円弱を支払い続ける必要がある。

 厚生労働省の昨年の調査によると、大卒者の平均初任給は20万3400円で、税金や社会保険料を引かれると手取りは17万円前後。毎月の返済は結構な重荷になる。

 さらに大卒の3割以上は新卒採用から3年以内に離職しているという調査結果もある。再就職では、より低賃金の非正規雇用となる例も少なくない。

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 こうした状況を背景に、奨学金を返せない人が増えている。

 支援機構は、経済状況が悪化した人などに対し、返還金の減額や期限を猶予する制度を設けており、2015年度の届け出は16万6千件以上。届け出をしていない延滞者も32万7千人を超えている。

 延滞者には年率5%の延滞金を課すなど、回収を強化してもいる。3カ月以上支払いが滞ると、個人信用情報機関のいわゆる「ブラックリスト」に登録され、全額返しても5年間は解除されない。クレジットカードが使えなくなったり、新たなローンを組めなくなったりすることもある。

 「延滞していなくても、収入に対し返還額が多く住宅ローン審査が通らない例や、夫婦2人とも返還中で子どもの教育費を貯蓄できない“負の連鎖”も見かけます」と江崎さんは話す。

 支援機構の調査では未返還のまま自己破産したケースが、15年度末時点で約1万1600件に上った。

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 国は、今後さらに国立大の授業料が上がる見通しを示している。江崎さんは「進学を考えるなら子どもが生まれた直後から貯蓄を」と呼びかける。

 学資保険なら教育資金を積み立てやすく、預貯金より高い利回りが期待できる。「児童手当をもらえなかったものとして積み立てても、中学卒業までに200万円余りになります」。習い事を減らして貯蓄に回すことも、子どもの可能性を広げる選択肢になるという。

 また、進学前に「本当に大学で学ぶ必要があるのか、本人の意思を確かめるのも大切」と話す。その上で進学先の授業料減免制度や、市町村や民間団体などによる給付型奨学金がないか調べてみる。必要最小限の金額を借りる。返還をシミュレーションする。

 「教育は未来への投資。だからこそ、お金の問題で進学を諦めないですむよう計画が重要です。子どもも一緒に考えることで、学ぶ姿勢も変わってくるのではないでしょうか」

 ▼国の奨学金 日本学生支援機構が大学や短大などで学ぶ人に貸与し、無利子の第1種、有利子の第2種がある。2015年度は134万人に貸与した。17年度には、卒業後の所得に応じ、返還月額が最低2000円となる所得連動返還型が始まる。低所得の進学者を対象に、返還不要の給付型も一部で先行導入される。


=2017/03/17付 西日本新聞朝刊=

http://www.nishinippon.co.jp/feature/life_topics/article/315201

支援団体が「夜の世界白書」 風俗店勤め 限られる高収入 月12日で43万円 徐々に減少
2017年03月10日 14時33分

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 ●知られたくない 進む孤立化

 東京を拠点に、性風俗店で働く女性たちを支援する一般社団法人「Grow As People」(GAP、角間惇一郎代表理事)が、初の報告書「夜の世界白書」をまとめた。若いうちは高収入でも、年齢が上がると減少していくことや、職業が明らかになることを恐れ、孤立しがちな女性たちの姿が浮き彫りになった。

 調査は現状を把握して支援に生かす狙いで、2015年度にインターネット上で実施。女性がホテルなどで客と会う「デリバリーヘルス」といった関東の無店舗型風俗店などに勤める377人から有効回答を得た。

 実際に接客した実働日数と月収の全体の平均は、11・8日で43万995円。年齢別では18~22歳が16日、81万9200円と最多で、43歳以上では7日で18万2千円と最も少なかった。

 風俗業を始めたきっかけ(複数回答)は生活費や学費、借金返済など金銭的な理由が延べ215人で最多。「仕事がない」(60人)「なんとなく」(47人)が続いた。「なんとなく」は27歳までが半数超、「仕事がない」は33歳以上が6割超を占めた。GAPは「20代でなんとなく始め、30代で他の仕事に移りにくくなり、40代になると収入が減っていくという姿が表れている」と指摘する。

 職業については「誰にも知られたくない」と答えた人が多く、仕事以外では外出を控え、家に閉じこもる傾向も強かったという。

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 GAPは全国の性風俗店で働く女性のトラブル処理や転職支援などに関わっている。

 九州北部の20代後半の女性からは、今年に入り相談メールが届いた。連絡を取ると、出産予定日が数日後に迫っていた。

 昨春から昼間の仕事と掛け持ちをしていて、店にも相手の男性にも妊娠の事実を「話せなかった」。GAPは店に連絡を取り事情を説明。出産後の行政手続きを含め、対応に奔走した。

 女性は「頼れる人がいなかった」と話し、支援に感謝しているという。

 転職支援では12年度以降、GAPを通じて37人が一般企業などに就職した。

 提携する関東のNPO法人インターンとして働く20代後半の女性は高校卒業後、週3日ほど風俗店で働いていたが、昨夏「このままで大丈夫だろうか」と相談した。電話対応や資料整理などインターン先での経験を通じ「昼の仕事でもやっていけるかも」と自信がついてきたという。

 GAPへの相談はメール=info@growaspeople.org=で。

 ●セカンドキャリアは… 悩む「40歳の壁」 角間GAP代表理事に聞く

 GAPの活動について、代表理事の角間惇一郎さん(33)に聞いた。

 -支援のきっかけは。

 「2010年に風俗店のオーナーと知り合う機会があり、直後に大阪で(風俗店勤務の女性が子ども2人を餓死させた)事件が起きたことがきっかけ。何ができるか、実態を知るために風俗店で2年間働いた」

 -現場で見えたものは。

 「店で働く女性には他人に言えないことがあり、社会的に孤立しやすい。『男に殴られた』『借金でどうしようもなくなった』など、店にはトラブルの情報がある。その情報を行政や弁護士などにつなぐ支援ができると分かった」

 「抱える問題は人それぞれだが、引退する時が来るのは誰しも同じ。店でのキャリアは遅くても40歳ころには終わる。私たちは『40歳の壁』と呼ぶのですが、次の仕事、セカンドキャリアを支援することは活動の軸になると感じた」

 -活動して良かったと思うのは。

 「支援を続けるには、多くの人の関わりが必要。風俗店員やNPO、ボランティアと、いろんな立場で関わってくれる人が増えていくのはうれしい」

=2017/03/10付 西日本新聞朝刊=

http://www.nishinippon.co.jp/feature/life_topics/article/313647