つながってはいるが別の問題:一蘭の不法就労問題と外国人技能実習制度

当たり前と言えば当たり前の話ですけどね。

一蘭の場合は、他の相場よりも高い時給を払っていたと聞きます。基本的には、入管法の規定と人手不足との狭間にある雇用の問題でしょう。

ラーメン「一蘭」社長ら書類送検へ 不法就労助長の疑い
多鹿ちなみ 2018年3月6日03時49分

 法定時間を超えて留学生を働かせたとして、大阪府警は6日にも、とんこつラーメンチェーン「一蘭(いちらん)」(本社・福岡市)の吉冨学社長(53)や労務担当の幹部ら計7人と、法人としての同社を出入国管理法違反(不法就労助長)の疑いで書類送検する方針を固めた。吉冨社長については雇用対策法違反(外国人雇用の無届け)の疑いでも書類送検する。捜査関係者への取材でわかった。

 吉冨社長はこれまでの府警の調べに「(不法就労について)把握していなかったが、私の責任。外国人雇用の届け出は忘れていた」と説明しているという。

 捜査関係者によると、吉冨社長らは昨年9~11月、大阪市中央区の「一蘭 道頓堀店本館」など2店で雇っていたベトナムや中国からの留学生計10人を、出入国管理法が定める週28時間を超えて働かせた疑いがある。また吉冨社長は、この10人を含む留学生12人をアルバイトとして雇ったにもかかわらず、名前や在留期間などをハローワークに届け出なかった疑いがある。

 府警はこれまでに同法違反(不法就労)の疑いで留学生らを書類送検した。同社では、留学生が週28時間を超えて働くと労務担当の幹部がメールで警告を出すシステムになっていたが、時間を超えてもそのまま働かせていたとみられる。ベトナム人留学生らの間では「長時間働ける」と口コミで広がっていたという。

 ウェブサイトによると、一蘭は1993年に設立され、昨年12月時点で国内外に74店舗を展開している。仕切りで隔てたカウンター席が特徴。(多鹿ちなみ)

https://www.asahi.com/articles/ASL355RDYL35PTIL024.html

こちらの記事にそのあたりの背景がもっと突っ込んで書かれています。

www.inshokuten.com

でもこっちの話は、人手不足が背景にあることには変わりがないとは思いますが、法や制度の話という以前の、基本的人権に関わる部分が、問題の根本にあります。人を人として尊重することのない非人間的な実態は、ずっと指摘され続けているのですがねえ。

除染作業に技能実習生 ベトナム男性「説明なかった」
社会 2018/3/5 20:13日本経済新聞 電子版

 技能実習生として来日したベトナム人男性(24)が、東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う除染作業に従事していたことが5日、関係者への取材で分かった。実習先の建設会社の指示で、男性は「除染作業との説明はなかった」と話している。専門家は「日本で技能を学び、途上国の経済発展に生かすという制度の趣旨を完全に逸脱している」と批判している。

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除染作業の記録を見つめるベトナム人男性(3日)

 外国人労働者問題に取り組む全統一労働組合(東京・台東)によると、実習生が除染作業に携わっていたことが明らかになったのは初めて。

 技能実習制度では、相手国の要望などを踏まえて、建設、食品製造、繊維・衣服など77職種の139作業を定めており、除染は含まれていない。

 同組合などによると、男性は2015年9月に来日。実習先である岩手県の建設会社と契約した業務内容は「建設機械・解体・土木」だった。

 法務省の担当者は「実態を調査しないと判断できないが、入国管理局に提出している実習計画と全く違う仕事をさせていたならば不正行為として処分対象になりうる」と話している。

 男性は1カ月の研修を終えた15年10月から16年3月まで同社が請け負った福島県郡山市の住宅地などの除染に数十回にわたり従事した。側溝の泥をかき出したり、庭の除草をしたりしたという。

 16年3月以降は被災した建物の解体などをした。避難指示が解除される前の福島県川俣町での作業もあった。

 建設会社は「除染も土木工事の一種で、実習生がやるのは問題ない」と主張している。外国人技能実習生権利ネットワークの指宿昭一弁護士は「除染は重要な仕事だが『途上国への技能移転』という制度の趣旨に明らかに反する」と批判する。

 技能実習制度は日本の企業や農家などで働き、技能や技術、知識を習得したうえ、途上国の経済発展に生かしてもらうことを目的としている。人手不足のなかで実習生が安価な労働力として酷使されているとも指摘されており、賃金の不払いや長時間労働、職場での暴力などのトラブルが相次いでいる。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27709520V00C18A3CC1000/

外国人技能実習、賃金不払いなど不正299件を確認
小松隆次郎 2018年2月19日18時38分

 外国人技能実習制度をめぐり、法務省は19日、実習生の受け入れ団体・事業者213機関で昨年1年間に計299件の不正行為を確認した、と発表した。前年より26機関、84件それぞれ減少した。

 同省によると、不正行為のうち半数近くを占めたのが賃金の不払いで139件。実習生6人に対して約2年1カ月にわたり、時間外賃金を時給300円に設定するなどして総額約2100万円を支払わなかった縫製業者もあった。賃金不払いを隠すことなどを目的とした書類の偽造も73件に上った。

 業種別では繊維・衣服関係が最多の94機関で、農業が39機関、食品製造が15機関で続いた。不正行為が確認された団体・事業者は1~5年間、実習生を受け入れることができなくなる。(小松隆次郎)

https://www.asahi.com/articles/ASL2M5D1BL2MUTIL03X.html

外国人技能実習生制度のそうした問題点については、下記のインタビュー記事が参考になります。

news.yahoo.co.jp
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news.yahoo.co.jp