日大フェニックスのラフプレー問題:関西学院大学の再会見で出された「結論」

どうやら、ここまで来て、日大に相対する側としての「結論」が出たと言えそうです。

「話にならん。」

日大との交渉、また日大当局による真相究明には、もはや何も期待できない。時間の無駄でしかない。

また、信頼関係を結べない以上、対戦相手として認めることもできない。関西学院としては「定期戦の中止」という話になりますが、このやり取りを他大学も注視しているわけで、そちらもタダで済むわけがありません。

日大再回答は「多くの矛盾が存在」 関学大が会見で表明
2018年5月26日15時52分

f:id:bluetears_osaka:20180527210435j:plain
会見に臨む関西学院大の鳥内秀晃監督(右)と小野宏ディレクター=2018年5月26日午後3時27分、兵庫県西宮市、細川卓撮影

 アメリカンフットボールの日本大と関西学院大の定期戦(6日、東京)で日大の守備選手が関学大の選手に悪質なタックルをして負傷させた問題で、関学大は26日午後、会見を開き、日大から受け取った2度目の回答書や自身の指示を否定した内田正人前監督らの会見についての見解を表明した。日大守備選手へのヒアリングを行っていないことなどから、「再回答書の内容には多くの矛盾が存在し、真実とは到底認識できない」と断じた。また日大との定期戦は、「十分な信頼関係を取り戻すまで中止する」とした。

 兵庫県西宮市のキャンパスでの会見には鳥内秀晃監督、小野宏(ひろむ)ディレクターが出席した。日大の当該選手が謝罪に来た際、弁護士は同席せず、自ら手書きのメモをもとに経過を話していたことを明かした上で、「その内容は(守備選手本人による22日の)会見と内容はほぼ同じであり、一貫性も高く、極めて信憑(しんぴょう)性が高いと考えられる。内田監督、井上(奨=つとむ)コーチの(23日の)会見での発言は、これを否定するのに十分な根拠があるとは思えない」との見方を示した。

 日大は再回答書のなかでも、「指導と指導を受ける側の認識の乖離(かいり)」に言及。この点には、「乖離があったのなら部として本人にヒアリングをして乖離の理由を確認するのが当然なのに、なされていないのは極めて不可解」と強い疑問を呈した。

 井上コーチによる「1プレー目でクオーターバック(QB)を潰してこい」との発言についても、「『相手を潰せ』『関学を潰せ』は『勝て』と同義と理解し得るが、『QBを潰せ』『QBを壊せ』という表現には結果として負傷させるという明確な目的が示されていると考えるのが自然。まして1プレー目でと条件を絞り込んでいる。指導者の指示と選手の受け止め方は整合していたと考えるのが合理的」とした。

 22日に当該守備選手が、翌23日に内田前監督と井上コーチが行った会見の印象を問われ、鳥内監督は「選手は勇気をもって一人でああいう会見をした。誠実に話したと思う」と語った。一方、前監督らについては「本当の責任をあいまいにしている。謝罪に来られた時に内田監督は『この件は私の責任』と言っていた。本当に自分の責任と考えているなら発言内容は変わっていたのでは。井上コーチは内田監督のことを気にしながらで、思っていることを言えているのかなと感じた」と話した。

 日大の2度目の回答書は加藤直人部長名。「今回の反則行為の原因は、現状では、指導と指導を受ける側の認識の乖離(かいり)と考えております」、「監督、コーチらと現場の選手の意識の差が、今回の問題の本質と認識」などと、前回の回答書と同じ趣旨の説明をしている。また、「厳しい練習や叱責(しっせき)などで弊部選手を追い込んだ精神状態にし、それによって弊部選手が(相手にけがをさせろと)思い込んでしまったことが、反則行為の原因」とした。

 内田前監督、井上コーチらの指示については「直接、反則行為を促す発言をしたという事実は確認されていません」「(『つぶせ』という発言は)、反則を容認するものではなく、実際に犯罪としての傷害を指示する意図の発言ではありません」などと否定した。

 「関学のQBを壊せば、秋の試合でこっちの得だろう」という趣旨の井上コーチの発言について、同コーチは発言自体を否定したといい、「他の部員でも聞いた者がおらず、確認が得られなかった」と説明した。

 関学大はこの会見で日大の当該選手と家族に対して、「可能な限り支援の可能性を模索していく」ともした。小野ディレクターは、「当該選手はヒアリングを受けておらず、孤立している。自分の主張と、監督、コーチと齟齬(そご)があり、その中で困っているのであれば支援したい」と話した。

 問題のプレーは両校の51回目の定期戦で起き、関学大は日大に見解などを求める抗議文を送った。「指導者による指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きていたことが問題の本質」などと説明した最初の回答書について関学大は17日の会見で、「疑念が解消出来ず、誠意ある回答とは判断しかねる」と表明していた。日大は最初の回答書のなかで、事実の把握や当該プレーに至った経緯については確認中のため再回答すると伝えており、関学大に24日に2度目の回答書が届いた。

 アメリカンフットボールの悪質タックル問題で、日大が関学大に提出した再回答書の主な内容は次の通り。

 ・試合直後の内田正人監督(当時)の発言は、規則に違反してもよいと意図するものではなく、改めて撤回

・「つぶせ」は慣例的に過去から使い続けた表現。反則を容認するものではなく、傷害を意図するものでもない

・「関学のQBを壊せば、秋の試合に出られなかったら、こっちの得だろう」という発言については、井上奨コーチは否定。他の部員も聞いておらず、確認できない

・今回の問題の背景は、激しい練習が重なったためのチームの金属疲労。その上で、監督らと現場の選手との間に意識の差が出た

・当該選手から部として聞き取りできていない。部としては、当該選手を追い込んだ精神状態にし、それによって当該選手が思い込んでしまったのが反則行為の原因

悪質タックル問題の経緯
5月6日 日大―関学大の定期戦で重大な反則行為

 22日 日大選手が記者会見

     「反則行為を指示された」

 23日 日大前監督・コーチが記者会見

     「反則行為の指示を否定」

 24日 日大が関学大に調査結果の回答書を提出 25日 日大学長が記者会見

     大学として初めて謝罪

 26日 関学大が記者会見

     「反則をした選手の話に信憑(しんぴょう)性がある」

https://digital.asahi.com/articles/ASL5V4TCQL5VPTQP00Q.html

「監督と選手に乖離」日大の再回答書全文
2018年5月26日16時47分

 アメリカンフットボールの日本大と関西学院大の定期戦(6日、東京)で日大の守備選手が関学大の選手に悪質なタックルをして負傷させた問題で、日大が関学大に提出した再回答書は次の通り。

 第51回定期戦における弊部選手による反則行為に係る貴部からの申し入れ等に対する回答について

 平成30年5月6日に行われました貴部との定期戦において発生した弊部選手の反則行為について、改めて、負傷されました貴部選手へ謝罪し、お見舞い申し上げます。一日も早い回復を切にお祈り申し上げます。また、ご迷惑をおかけしました貴部関係者の皆様に深くお詫(わ)び申し上げます。

 貴部より平成30年5月10日付けで送付いただきました申し入れに係る、弊部確認作業等のためご猶予いただきました項目及び5月17日付け文書で御指摘のありました項目について、以下のとおり回答いたします。

 なお、弊部選手につきましては、部として事実の聞き取りが出来ておらず、メディアにて報道されました記者会見の情報を参考に、記載させていただいておりますことを申し添えます。

 1 貴部との定期戦前半第1攻撃シリーズ1プレー目の弊部選手反則行為に係る弊部見解について

①それまでの指導内容

 弊部では、他の同僚大学アメリカンフットボール部と同様、コーチ制を採っており、監督の意向を受け、コーチが各ポジションリーダーまたは各選手に指示を出し、併せて、各ポジションリーダーは自らが担当するポジションの選手の取りまとめを行っております。

 日常の練習においては、弊部コーチ及び各ポジションリーダーが、選手に反則行為があった場合、その都度当該選手に確認及び指導を行っております。また、弊部選手全員に対しても、場合によってはグラウンドで、通常はミーティング会場において、その行為がなぜ反則であるのか、共通認識を持つことを徹底しております。

②当該プレーに至った経緯

 弊部選手は、日本代表に選ばれるほどの実力者であります。貴部が5月17日付けで作成されました見解にも記載がありますとおり、昨年の甲子園ボウルや今春の試合において、弊部選手はルールの範囲内でプレーをしておりました。弊部選手は、「気持ち」を前面に出すことで、さらに選手として成長できると非常に期待されておりましたが、その「気持ち」が、直前の連休期間中の練習では見られませんでしたため、気持ちを前面に出すようにとの指導を行いました。しかし、メンバーを決める段階ではそこまでのレベルにはなっていないと判断し、当初のメンバーには入れておりませんでした。しかし、試合直前、本人が試合に出たい旨申し出があり、強い「気持ち」があることを確認できたため、急遽(きゅうきょ)メンバーにすることを決めた経緯があります。

③当該プレーに関して弊部が把握する事実

 当日、当該プレーに関し、貴部選手が味方にパスしましたが、その約2秒後、当該弊部選手が貴部選手の背後へ突進し、貴部選手の腰から大腿(だいたい)付近へタックルを行いました。貴部選手は無防備な状態でタックルされ、体がくの字になるほどの状態になり、その後、地面に叩(たた)きつけられました。

 弊部選手はパスを阻止する役割を担っており、貴部OL選手のブロックをかわした後、一目散に下半身のみに目掛け、貴部選手へ突進したものです。通常では見られない長い距離を走り、貴部選手の下半身に向け、タックルを行いました。

④当該プレー後の指導者の対応

 (ルールを逸脱した行為に対する監督・コーチの認識)

 1回目の反則行為直後については、監督はボールの動きに着目していたため、反対方向で行われた反則については現認しておりませんでした。このため、当該選手への対応について、交代の指示や厳しい注意・指導を怠りました。この点に関しては、ルールに基づいた厳しさを求めると記載しながら、指導者として深く反省しております。井上コーチは現認しておりましたが、同コーチは、弊部選手に自信を持たせたいと考え、もう少しプレーさせようとしておりました。なお、2回目の反則行為後、コーチから当該選手に対し、ボール保持者に向かってプレーするよう注意指導・指示を出しております。

 3回目の反則行為により資格没収となった際の対応については、厳しく注意・指導すべきでした。この点につきましても、指導者として深く反省しております。

 当該プレーの深刻さについては、ビデオによって改めて認識した次第です。

 試合直後の弊部監督による発言は、5月15日付けでご提出いたしました回答書記載のとおり、規則に違反してもよいと意図するものではなく、改めて、撤回させていただきます。

⑤試合後の対応

 毎試合後、4年生、出場メンバー及びコーチで試合の反省会を行っております。当該プレーが起こった当日も試合終了後に反省会を行いましたが、特定の反則行為ではなく、全般について確認を行ったため、その時点で実際は謝罪の動きはありませんでした。

 当該試合の翌日には、ディフェンスを担当する選手において、ビデオを用いての反省会を行い、反則行為について確認を行いましたが、この時も負傷された選手への謝罪の動きはありませんでした。

 貴部選手は全治3週間の負傷をされましたが、同選手が後半も出場されていたことで当方の認識が甘くなってしまったところは実際ございます。非常に危険で悪質な行為であったことは間違いなく、その行為を真摯(しんし)に受け止め、プレー直後や試合後に反省し、貴部へ速やかに謝罪にお伺いするべきでした。

 その後、弊部コーチと反則行為を行った選手が貴部へ謝罪にお伺いしましたが、貴部の、正式な回答があってからとのご回答でその場では受けられなかったご対応はもっともでございます。

 その後は、文書のやりとりをさせていただき、弊部としましては、5月10日付けのお申し入れに対する回答を提出しましたが、ご猶予をいただきました項目について、当文書をもって回答させていただいているところです。

⑥監督の発言について

 「監督に『責任はおれが取る』と言われていた」(MBS)、「関係者は反則が内田正人監督の指示だったとも明かした」(日刊スポーツ)、「『試合に出場したかったら、1プレー目で相手のQBを壊してこい』と指示した」(ハドルマガジン)等の報道については、「つぶせ」は、アメフトでは日常的、慣例的に過去からずっと使い続けてきた表現であり、反則を容認するものではなく、実際に犯罪としての傷害を指示する意図の発言ではありません。

 それぞれの発言の真意は、あくまで、思い切ったプレーをした結果の反則は監督が責任を取るということであり、相手選手への傷害を指示したものではありません。

 現在の確認作業では、当該選手に反則行為をうながすような指示や言動は確認できず、また、聴取したアメフト部の他の部員からは、監督が直接部員に指導することはほとんどなく、指示を出すときコーチ又(また)は4年生の幹部に指示して部員に伝えるという方法で行われたということになります。

 今回確認した範囲内では、当該選手が、監督からプレー上の指示を直接受けたことがないということです。直接反則行為を促す発言をしたという事実は確認されておりません。もっとも、日大アメフト部内における監督とコーチ間で、いつ、どのように意思疎通や意思決定が行われているか等について、井上コーチの弊部選手に対する言動が、井上コーチの独断によるものか、監督の指示や合意に基づくものかは、判断がつきかねるところです。

⑦井上コーチの発言とその意図について

 井上コーチが弊部選手に「QBを潰せ」という趣旨の発言をしたことは、井上コーチ自身が認めており、他の部員からの証言もあり、確認されております。

 一方、井上コーチが「関学のQBを壊せば、秋の試合に出られなかったら、こっちの得だろう」と発言した点については、井上コーチは否定しており、確認作業の中においては、他の部員の中でもそのような発言を聞いた者がおらず、確認は得られませんでした。

 井上コーチは、弊部選手を来年4年生のリーダーとして育てるため、同人のおとなしく、自分の感情や意見を表に出さない性格を改めさせ、向上心や闘争心を持たせたいと思い上記発言をしたと述べています。また、弊部では「潰せ」と言う言葉はよく使われており、強いタックルをする等の意味であって、相手選手に怪我(けが)をさせろという意味ではなく、本件においてもそのような趣旨から発したものではないと述べています。他の部員達も、「潰せ」という言葉については、よく使う言葉であり、相手選手に怪我をさせるという意味ではないと述べています。

 井上コーチが上記発言をした趣旨、意図について、井上コーチは、弊部選手が日大豊山高校時代からアメフト部の監督を務め、以後日大入学後も合わせ5年の付き合いで信頼関係があり、同人が来年4年生になる折にアメフト部のリーダーの一人として育てようと、厳しく練習中指導をしていた旨述べていること、井上コーチが弊部選手の一連の反則行為をみて、弊部選手に対し、その後のプレーに先立ち「キャリア(ボールを持っている選手)を狙え」と注意した事実は確認できました。なお、他に井上コーチから同様の指示を受けて反則行為をした部員の存在は確認できませんでした。現状の確認作業においては、井上コーチの指示が、弊部選手をして、相手選手に怪我を負わせることを指示したり、意図したものとまで結論づけることはできないと考えています。

 また、井上コーチは弊部選手に対し、単に「潰せ」と述べるにとどまらず、「アライン(セットする位置)は、どこでもいい」「1プレー目で相手のQBを潰してこい」と具体的な指示を出し、「QBを壊す」ことを試合に出るための条件として挙げるなどしており、これが一般的な声掛けの範囲に留まるものかについて、同僚の選手の証言では、当該選手が井上コーチから本気でQBを潰すような行為を指示されていると思い込んでいたことが窺(うかが)える発言もあり、今回の確認のみで井上コーチの真意を判断することは困難と考えています。

⑧今回の問題の原因について

 (1)まず、背景として、一昨年4位のチームが昨年度学生日本一となるために、かなり厳しい練習を続けてまいりました。今でも、他チームと同様の練習量・質では、関東でも優勝できる程のチームではないと考えています。それを、優勝へと引き上げるための厳しい練習が重なり、チーム内に無理が広がり、いわばチームに金属疲労を起こしている状態であったということが背景にあります。

 (2)その上で、監督、コーチ及び各ポジションリーダーと、現場の選手との間の意識の差が、今回の問題の本質と認識しております。つまり、監督、コーチ及び各ポジションリーダーは、選手が思い切ってプレーすることで、結果として反則を取られても、それを反省することで次に繫(つな)がる、成長できる、との意識で選手を指導しておりました。特に本番である秋季リーグ戦に向け、この時期(春季)の試合はその意識が強くあります。繰り返しになりますが、指導にあたり、「強い掛け声」での「つぶせー」や「壊せー」は日常のことであります。しかし当然ながら、反則を容認するものではなく、実際に犯罪としての傷害を指示する意図の発言ではありません。

 一方、受け取る側の選手について、通常であれば、一年生からの練習試合を通じて、そのような場合、どの程度のタックル、サックを求められているのかは、ゲームの中で理解し合えることであったと思われます。しかしながら、今回は、本当に壊す(怪我をさせる)と受け取り、今回の試合出場の条件として示された「相手を潰せ」を当該選手は「怪我をさせろ」と受け取ってしまったようです。

 今回、試合の直前での先発メンバーに加えるにあたり、「1プレー目で相手のQBを潰してこい」との発言も、同様に「QBをサックしろ」との意味でいたしましたが、当該選手は言葉どおり「QBを潰す=怪我をさせる」と解してしまったようです。当初、先発メンバーから外れており、本人の直訴に対して出場するための条件として言われたことにより通常であれば考えられないような反則行為をやらざるを得ないと思わせてしまうような状況に追い込んでしまったことは、日々の練習における監督コーチと選手のコミュニケーション不足、信頼関係不足から起きたと思われ、深く反省しております。

 なぜ、今回に限って今まで重大な反則行為を行ったことがなかった当該選手がそのような行為に及んだかという点については、以下が貴部の疑問に対する弊部のお答えになると思われます。

 監督、コーチは「つぶせ」「壊してこい」を日常的、慣例的な指示として捉え、選手はなんとしても無理にでも「つぶす」「壊す」ためにタックルに行かなければならないと、いわば強迫的な感覚を持って向かっていったという、いわば決定的な認識の齟齬(そご)がなぜ起こったのかという点です。

 これは、弊部選手が、通常の練習、連休中の集中練習、メンバー決定等の過程を経て精神的にかなり追い詰められていたという点が指摘できると思われます。その上での指示の捉え方に大きな影響を与えたと考えられます。弊部選手は、上記井上コーチの言動を相手選手の身体に損傷を与えるような反則行動を求めていると解釈して、反則行為を行いました。

 その原因については、日頃から相当厳しい練習が重なっていたうえ、5月の連休に入ってからは実戦形式の試合に出してもらえず、積極性がないことを井上コーチから叱責(しっせき)され、一人だけグラウンドの走り込みを命じられるなど、急に弊部選手に対する指導や練習が強化され、精神的に相当追い詰められていた状況下、関学との試合に出るための条件として「QBを壊す」ことをコーチに挙げられるなどしたことから、文字通り「相手を潰す」ことを求められ、そのような反則行為をやらなければ試合に出してもらえないと思い詰めていったものと推察されます。

 弊部選手が井上コーチから厳しい指導を受けていることについては、同部の4年生幹部が、井上コーチの弊部選手に対する期待が大きく、さらにリーダーとして飛躍させるために、本人のおとなしい性格を改めさせ、闘志を表に出させるためにあえて本人を追い込んでいたと観(み)ている者もいます。

 もっとも、現在のところ、部として選手本人から直接事実の聞き取りが出来ておりませんことから、弊部選手の真意を正確に把握することはできておりませんが、なぜ、このようなことが起こってしまったかの原因についてですが、弊部といたしましては、弊部選手を追い込んだ精神状態にし、それによって弊部選手が思い込んでしまったことが、反則行為の原因であると考えております。

⑨第三者委員会設置について

 現在の確認作業では、具体的な指示の内容やその真意、弊部選手が反則行為を行って相手選手を負傷させた原因や理由について、弊部選手を追い込んだ精神状態にし、それによって弊部選手が思い込んでしまったことが、反則行為の原因と考えておりますが、確定的な結論を出すに至っておりません。大学間のアメフト部の試合中に反則行為により相手選手が負傷するという重大な結果を招いた事案であるため、第三者委員会を設置し、調査をしていただき、原因究明、再発防止に繫げていく所存です。

⑩弊部選手について

 今回の反則行為の原因は上記にてご説明しましたとおり、現状では、指導と指導を受ける側の認識の乖離と考えております。弊部選手もいわば追い込まれて今回の行動へ繫がったものです。このような状態に追い込んでしまった責任は指導者にあり、本人には責任はありません。フィールド上の責任はすべて監督にあります。

 弊部選手がこれ以上不利益を被らないよう、貴部及び世間の皆様には、ご配慮いただきたく、伏してよろしくお願い申し上げます。

 2 今回の反則行為を二度と起こさないための弊部再発防止策等について

 このたび、お騒がせしました責任を取り、弊部では以下のとおり再発防止を進めます。なお、部の存続については、大学スポーツであることから、学生としての活動の場、及び大学としての教育の機会を放棄せず、再発防止策を実行していきます。

 なお、一般社団法人 関東学生アメリカンフットボール連盟における今回の行為に関する調査等については真摯に協力し、処分の最終決定に従ってまいります。

①指導者の意識改善

 今回のような指導者と選手の意識の乖離を防ぐため、指導者は選手一人一人と向き合い、話し合いながら確認していきます。

 具体的には、技術だけではない意識の部分や指導時の言葉・表現を含め、今回の反省を踏まえながら選手一人一人と接していき、ルールに基づいた指導を行うよう意識改革を行います。

②過去の試合映像等を利用したプレー検証の徹底

 現在もプレーの検証は行っておりますが、今後も部員全員による過去の試合映像を利用したプレーの検証を行います。特にパーソナルファール、酷(ひど)いパーソナルファールについては、重点的に指導を行っていきます。

 最終的な再発防止策は、弊部アメリカンフットボール部ホームページにおいて、公表いたします。

 繰り返しになりますが、このたびの反則行為により負傷されました貴部選手並びに保護者の方に対し、心より謝罪し、お見舞い申し上げます。また、ご迷惑をおけかしました貴部関係者の皆様に深くお詫(わ)び申し上げます。

 皆様との信頼関係を再度構築できますよう、再発防止に取り組みますことをここにお誓い申し上げます。

 このたび、内田正人は、5月19日の謝罪でお伺いした際に申し上げましたとおり、負傷されました貴部選手、貴部関係者及び関東学生アメリカンフットボール連盟、弊部関係者ほか、ご迷惑をおかけしました全ての責任をとり、また、今回の反則行為が発生するに至ったチーム運営のあり方、指導のあり方の責任を取り、監督職を辞任することをご報告させていただきます。

 また、井上奨コーチについても、5月23日の会見で申し上げましたとおり、コーチ職を辞任することをご報告させていただきます。

以上

https://www.asahi.com/articles/ASL5V56Y5L5VUTQP01H.html

「日大の見解に強い疑念」関学大、再回答書への見解全文
2018年5月26日17時21分

 アメリカンフットボールの日本大と関西学院大の定期戦(6日、東京)で日大の守備選手が関学大の選手に悪質なタックルをして負傷させた問題で、日大の再回答書に対する関学大の見解は次の通り。

 【現時点での弊部見解】 これまでの事実経過および日大DL本人・代理人の会見、内田監督・井上コーチの会見の内容を合わせて勘案すると、再回答書の内容には多くの矛盾が存在し、真実とは到底認識できません。

 前回の回答書と同様に、日大(部)はルールの範囲内でプレーすることを原則とし、相手に怪我(けが)を負わせる意図をもってプレーするような指示はしておらず、指導者の指示と学生の受け取り方に乖離(かいり)があったとの主張がなされていますが、特に以下の点に強い疑念・疑問があります(前回も指摘している点を含みます)。

 ①日大(部)として日大DLへのヒアリングが現在に至るまで行われておらず、1回目の回答書も今回の再回答書も日大DLのヒアリングが行われないまま記されています。申し入れも21日までありませんでした。もし内田監督・井上コーチが自らの指導した内容と日大DLの行為に乖離があったとするのであれば、日大DLに対して部としてすぐに正式にヒアリングをして乖離した理由を確認するのが当然のことと思われますが、それがなされていないのは極めて不可解です。

 ②日大DLの代理人・西畠正弁護士により、試合翌日以降に内田監督及び井上コーチとの複数回あった面会時にも反則行為の事実確認やそれが生じた理由や背景については一切質問されることはなかったことが確認されています。監督・コーチは、自分が指導した内容と日大DLの行為に乖離があったと認識していたはずなのに、面接した際に日大DLが異例の反則行為に至った理由を問わなかったことは極めて不自然に思われます。

 ③関学攻撃第1プレーで日大DLが反則行為(試合時は「アンネセサリーラフネス」と判定。試合後に関東学生アメリカンフットボール連盟が資格没収〈退場〉に値する「ひどいパーソナルファウル」に修正)を行い、井上コーチはそれを現認していたにも関わらず、日大DLをベンチに戻すこともしていません。内田監督は「ルールの範囲内でプレーすることを原則としている」と発言しているにもかかわらず、パーソナルファウル(重大な反則)の内容を確認せず、日大DLをベンチに戻すこともしていません。監督・コーチの指示と日大DLの行為に乖離があったというのであればすぐに反応したはずですが、試合の映像を見ても井上コーチに慌てる素振りがまったくないのは極めて不可解です。

 ④第1プレーについて内田監督は5月23日の記者会見で「見ていなかった」と発言し、再回答書においても「ボールの動きに着目していたため、反則については現認していなかった」と記しています。しかし、これは極めて重要な点でありながら、試合後のコメント、1回目の回答書、5月22日の記者説明、いずれにおいても言及がなく、非常に不可解です。

 ⑤第3プレーでも日大DLが重い反則行為(アンネセサリーラフネス)を行い、井上コーチはそれを現認していたにも関わらず、日大DLをベンチに戻して厳しく指導・注意するようなことをしていません。再回答書では、「井上コーチは2回目のファウルでボール保持者に向かってプレーするよう注意指導・指示を出しております」としていますが、映像で見る限りフィールド内の選手を呼び寄せて一言声をかけているだけで、「注意指導・指示をした」というレベルからは程遠いものです。内田監督はこの際も当該選手をベンチに下げて指導・注意する(あるいはコーチに指導・注意するよう指示する)ことはしていません。「乖離」がこれほど明確になっているにもかかわらず反応が乏しいのは極めて不可解です。

 ⑥第5プレーでも日大DLが重い反則行為(パーソナルファウル)を行い、短期間に3回の重い反則行為を重ねて資格没収(退場)という処分を受けたにも関わらず、ポジション担当である井上コーチは内田監督にすぐに報告をしていません。映像でも、監督およびコーチはベンチに戻った日大DLに誰も指導・注意をしているように見えず、極めて異例の事態でありながらベンチ全体が一連の行為をあたかも予測していたように振る舞っており、強い違和感を覚えます。

 ⑦内田監督・井上コーチが自分の指導した内容と日大DLの行為に乖離があったと考えるのであれば、日大DLが1プレー目に極めて例外的な反則行為を行ったことを内田監督が認識したとされる9日に、負傷した関学QBおよび弊部に対して謝罪の意を伝えようとするのが自然のことと思われます。しかし、日大(部)から弊部に連絡が初めてあったのは11日20時15分でした(井上コーチから)。弊部が最初の申し入れ書を送付したのが10日、到着が11日であり(配達証明あり)、弊部との文書による問答が始まるまで第1プレーの反則行為を映像で確認しながら「非常に危険で悪質な行為」(再回答書)とは認識していなかったという疑念が拭えません。

 ⑧井上コーチは「1プレー目でQBを潰してこい」と日大DLに指示したことや、「QBを壊す」ことを試合出場の条件に挙げていたことは認めていますが、「潰せ」という言葉に怪我をさせる意図はなかった、としています。また、日大DLが陳述した「井上コーチが『相手のQBが怪我をして秋の試合に出られなかったらこっちの得だろう』と発言した」という点についても否定しています。「潰せ」「壊せ」は日常的、慣例的にチーム内で使われ続けてきたと再回答書に記されていますが、「相手を潰せ」「関学を潰せ」は「勝て」と同義と理解し得るものの、「QBを潰せ」「QBを壊せ」という表現には結果として負傷させるという明確な目的が示されていると考えるのが自然です。まして「1プレー目で」(つまりは1プレーで)と条件を絞り込んでおり、日大DLが「相手を潰すぐらいの強い気持ちでやってこいという意味ではなく、本当にやらなくてはいけないのだ」とまで思い詰められるに至った理由を考えれば、指導者の指示と日大DLの受け止め方は整合していたと考える方が合理的です。

 ⑨日大DLは負傷した本学選手に対する謝罪の際に、弁護士は同席せずに自ら手書きで書いたメモに基づいて自らの口で事実経過を話していました。内容は会見とほぼ同じであり、一貫性も高く、事実関係と整合的で極めて信憑(しんぴょう)性が高いと考えられます。内田監督および井上コーチの会見での発言内容は、これを否定するのに十分な根拠があるとは思えません。

 ⑩再回答書では、本件が発生した原因を、日大DLが精神的に追い詰められていたため、井上コーチの言動を日大DLが誤って解釈したことにあると結論付けています。時系列に従って詳細な事実関係を振り返った日大DLの会見内容から見て、指導陣による単なる圧力で善悪の判断を逸脱してしまうような衝動性や短絡性があるとは到底思えません。本人へのヒアリングも行っていないなか、日大DLの精神状態を悪質プレーの原因とする内容は、日大DLの尊厳を著しく損ねるものでもあり、納得できるものではありません。

 以上の点から、再回答書の内容および内田監督、井上コーチの会見での発言内容には極めて不自然な点が多く、指導者が真実を語っていると信じるには根拠が不足しており、誠意ある回答として受け取ることはできません。現段階では日大(部)の見解には強い疑念を抱かざるを得ず、これ以上の問答は平行線をたどる可能性が高いと考えます。

 【弊部としての今後の方針】

 ・以上の見解を踏まえて、日大(部)との試合については選手の安心・安全を担保することができないと判断し、日本大学との定期戦は十分な信頼関係を取り戻すまで中止することとします。

 ・学校法人日本大学による第三者委員会、関東学生アメリカンフットボール連盟の規律委員会等による客観的な立場からの真相究明を強く要望いたします。真相究明にあたっては全面的に協力いたします。

 ・しかし、上記いずれの団体・組織とも調査機能には限界があり、最終的には捜査機関の捜査によって真相が究明されることを強く希望いたします。捜査には全面的に協力いたします。

 ・被害を受けた選手およびそのご家族の支援を継続していきます。

 ・日大の当該選手およびそのご家族に対しても可能な限り支援の可能性を模索していきます。

 ※本文書における内田監督、井上コーチという表記は試合当時のものです。内田監督は5月19日、井上コーチは5月23日にそれぞれ辞任を表明されています。

以上

2018年5月26日 関西学院大学体育会アメリカンフットボール

https://www.asahi.com/articles/ASL5V5DBHL5VUTQP01L.html

「日大と日大以外」との間の問題は、この線で「解決」することになりそうです。残るのは「日大内部」の問題ですが、そうなると不憫なのは、踏みつけにされて取り残された状況にあるフェニックスの部員たちです。特に、最後のシーズンをこの秋に迎えるはずだった4年生。

しかし、こんな状態のところで、学生が内部で踏みとどまって戦うことに、どれほど意義と展望があるのか。

正直言って、「日大からの退出」を真剣に検討したほうがよいのでは?と思ってしまいます。

【スポーツ】日大反則、監督の指示認定 アメフット関東学連方針
2018年5月26日 朝刊

 日本大アメリカンフットボール部の選手による悪質な反則問題を調査してきた関東学生連盟の規律委員会が「反則は監督とコーチの指示」と認定する方針を固めたことが二十五日、関係者への取材で分かった。反則を指示していないという日大の内田正人前監督と井上奨(つとむ)前コーチの主張を退けた。

 関東学連は五月中に臨時理事会を開いて日大の処分を決める。罰則規定には(1)除名(2)資格剥奪(3)団体活動の一時的または無期限停止(4)公式試合の出場停止-などの処分がある。

 規律委は反則をした宮川泰介選手や、内田前監督、井上前コーチら指導陣に聞き取り調査をした。関係者によると、宮川選手は指示があったと話したのに対し、内田前監督と井上前コーチは指示を否定したという。

 しかし内田前監督が試合後、チームに「自分がやらせた」と話したとされることや、報道陣に反則を容認するような言葉を発していたことから、規律委は内田前監督の反則指示と判断したとみられる。

 井上前コーチがしたとされる「相手のクオーターバック(QB)と知り合いなのか」「相手のQBがけがをして秋の試合に出られなかったらこっちの得だろう」などの発言も、反則を前提としたものとみたようだ。

<関東学生アメリカンフットボール連盟> 関東地区の大学アメリカンフットボール部を統括し、関東大学リーグを主催している。1部リーグは16チームで、日本大、早稲田大、法政大、中央大などが上位の「TOP8(トップエイト)」、横浜国立大、桜美林大、国士舘大、東京大などが下位の「BIG8(ビッグエイト)」に所属する。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/sports/list/201805/CK2018052602000150.html

日大アメフト部部長が保護者へ直接謝罪、緊急父母会に約135人
2018年5月27日20時26分 スポーツ報知

 悪質タックル問題に揺れる日大アメリカンフットボール部の緊急父母会が27日、都内で開催され、同部の加藤直人部長と森琢ヘッドコーチが一連の騒動について謝罪した。部側が保護者へ直接謝罪したのはこの日が初めてで、保護者側は約135人が集まった。

 匿名で取材に応じた父母会長は「具体的な内容は話せないが、経緯など、これまで関学さんに答えていたのと同じ内容。反論も出ていた」と説明。部側が内田正人前監督による指示を認めていないことで謝罪への納得感が薄い一方で「これまで会う機会がなかった。歩み寄りをしてくれたことを、個人としては評価している」と複雑な心境を明かした。

 この日は、選手側もミーティングで近日中に出す予定の声明文の内容を話し合った。「選手は不安な様子もあったけど、方向性として、自分達で何かをしていこうとして一致している。声明を一生懸命考えているが、どんな内容になるかは彼ら次第。もう少し待って欲しい。(会としても)全面的にバックアップしたい」と父母会長。今後、父母会は代理人弁護士を立てて活動することも決まった。

http://www.hochi.co.jp/sports/ballsports/20180527-OHT1T50210.html