米朝間での遺骨送還事業合意

戦線が朝鮮半島を何度も上下した朝鮮戦争とその後の分断は、各地で戦死し、埋葬された人々の遺骨回収を難しくしています。

先だって中韓間での遺骨送還が実現したの同様に、米朝間で遺骨送還事業が合意されたこと、人道的措置としての象徴的な意味合いは小さくないはずです。ここでの態度の誠実さは、相手方からの評価に直結します。今後の事態の推移に注目していきたいと思います。

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ここまで中韓米朝ときて、あと残っている遺骨送還事業の懸案は、もちろん南北間のものです。「敵軍墓地」が歴史的役割を完全に終える日は、いつのことになるんでしょうかねえ。

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北朝鮮に残っている米軍遺骨約5500体…13年ぶりに発掘が再開される見込み
登録:2018-06-13 05:51 修正:2018-06-13 07:46

米軍遺骨の送還に合意
朝鮮戦争期の米軍捕虜・行方不明者
身元確認された遺骨だけで452体と推定
両首脳、人道的事業に電撃合意
文大統領「南北米共同で推進、北朝鮮と協議」

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ドナルド・トランプ米大統領北朝鮮金正恩国務委員長が今月12日、シンガポールのカペラホテルで首脳会談を行った後、共同宣言に署名している=シンガポール/ロイター、聯合ニュース

 北朝鮮金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とドナルド・トランプ米大統領が12日にシンガポールで行った朝米首脳会談で、戦争捕虜および行方不明者の遺骨送還に合意したことで、北朝鮮に埋められた米軍の遺骨の発掘作業が2005年以降13年ぶりに再開される見通しが高まっている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も同日、トランプ大統領との電話会談で、遺骨発掘事業を「南北米共同で推進するよう北朝鮮と協議する」と明らかにし、朝鮮戦争の戦死者の遺骨発掘が3カ国共同事業に拡大される可能性も高くなった。

 米国防総省傘下の「戦争捕虜と行方不明者局」 (DPMO)は、いつでも北朝鮮に入って発掘作業を再開する準備ができているという。米国「ラジオ・フリー・アジア」(RFA)は最近、およそ6カ月から9カ月以内に北朝鮮内の装備の搬入を終え、遺骨発掘作業に着手できると報じた。

 米軍の遺骨発掘および送還の再開が今回の首脳会談の議題として取り上げられることは、会談前から予想されていた。これは国際社会の対北朝鮮制裁と無関係であるだけでなく、朝米間の関係改善に役立つ人道主義事業だ。また、両首脳が合意すれば、いつでも再開できる。トランプ大統領が同日の首脳会談後の記者会見で「戦死者の遺骨問題が重要なイシューだが、最初から会談の議題には含まれていたわけではなかった。ところが、金正恩委員長が快く受け入れてくれた。会談が終わりに差し掛かった時に、我々がこの問題を取り上げたが、(共同宣言に)盛り込まれた」と、協議過程について説明した。

 文在寅大統領も同日、遺骨発掘事業に賛同する意思を明らかにした。大統領府は、文大統領が同日、朝米首脳会談後に行われたトランプ大統領との電話会談で、「南北も遺骨発掘事業に合意しており、南北米が共同で推進することを北朝鮮と協議する」と述べたと伝えた。南北は2007年11月、キム・ジャンス当時国防部長官とキム・イルチョル人民武力相の第2回南北国防長官会談で、遺骨発掘事業に合意したが、いまだ履行されていない。文大統領は6日、顯忠日の追悼の辞で「南北関係が改善されれば、非武装地帯で遺骨発掘を優先的に推進する」という方針を明らかにした。

 朝鮮戦争以降65年間、北朝鮮から送還された韓国軍の遺骨はなかったと国防部は明らかにした。米軍の場合は朝鮮戦争期間に7900以上が行方不明となり、このうち約5500人が遺骨となって北朝鮮に埋められているものと推定される。これまで身元が確認された米兵の遺骨は452体だと、「ラジオ・フリー・アジア」が最近報じた。

 当初、米軍戦死者の遺骨発掘事業は1988年12月、中国北京で行われた朝米参事官接触で始まった。朝米は以後、30回以上の交渉を重ねて、1993年8月「米軍の遺骨送還などに関する合意書」を締結し、1996年からは咸鏡南道長津湖(チャンジンホ)と平安北道雲山(ウンサン)などで、両国共同で米軍の遺骨発掘作業が行われた。しかし2005年5月、北朝鮮が6カ国協議への出席を拒否するなど、朝米関係の悪化により、米国は北朝鮮内の米軍遺骨発掘チームを身辺安全を理由に撤退させた。両国は2011年10月、タイのバンコクで米軍の遺骨発掘作業の再開に合意したが、翌年4月に北朝鮮が米国の反対を押し切って衛星発射を強行し、実行されなかった。

パク・ビョンス先任記者

http://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/848835.html
韓国語原文入力:2018-06-12 23:00 訳H.J

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/30833.html

[ニュース分析]米軍遺骨送還は朝米会談以後の信頼回復の“礎石”積み
登録:2018-06-21 22:45 修正:2018-06-22 09:36

シンガポール共同声明が明示した
「発掘遺骨送還」約束守り
「敵対清算」象徴的効果大きい
北朝鮮に埋められた米軍遺骨は5000余体
発掘本格化すれば緊張緩和
非核化・相応措置交渉にもはずみ

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2007年4月12日、ソウルの龍山米軍基地「コリアフィールドハウス」の体育館で開かれた遺骨送還行事で、将兵朝鮮戦争当時に北朝鮮地域で戦死した米軍の遺骨6体を運んでいる=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 朝鮮戦争の時、北朝鮮で死亡した米軍の遺骨約200体がまもなく送還されると発表され、これを契機に朝米間の信頼関係構築作業にもはずみがつくと予想される。特に遺骨の送還は、ドナルド・トランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が12日に合意した「シンガポール共同声明」の最初の履行であるため、今後の朝米間の非核化および相応措置議論のための肯定的ムード造成にも寄与すると見られる。

 米軍遺骨発掘・送還は、家族のもとに遺骨を戻すという“人道主義的事業”と見なされてきた。しかし、実際には朝米関係の政治的風向きの影響を受け、ジェットコースターのように動いてきた。雪解け期を迎えれば信頼構築措置として最初に議論されたが、冷却期になればすぐに中断された。

 例えば1996~2005年、朝米合同調査団は北朝鮮地域で200体あまりの遺骨を発掘した。しかし、ジョージ・ブッシュ行政府になって朝米関係が悪化すると、北朝鮮に派遣された発掘要員の身辺安全に対する憂慮と北朝鮮に現金が入るという理由で活動が中断された。2007年、ビル・リチャードソン当時ニューメキシコ州知事に6体を引き渡したのが最後の遺骨送還だった。両国は2011年10月、タイのバンコクで遺骨の発掘再開に合意したが、翌年4月には北朝鮮人工衛星を発射して履行されなかった。

 今回送還される遺骨200体あまりは、過去数年間にわたり北朝鮮が自主的に発掘したものだという。これは戦死者の遺骨を発掘し、すでに確認された遺骨は早く送還するという朝米首脳共同声明の条項が言う「既発掘遺骨の送還」に該当する。「今後の発掘事業」も本格化するだろうと思われる。米国防総省は、朝鮮戦争の時に失踪した米軍は合計7697人で、このうち戦死して北朝鮮の土に埋められた遺骨が5300体にのぼると推算している。

 遺骨の発掘は、人道的名分の他にも敵対関係を清算するという象徴的効果も少なくない。米軍の軍用機が平壌(ピョンヤン)空港から星条旗に包まれた遺骨を載せて行ったり、板門店(パンムンジョム)陸路で送還する行事自体が、戦争の傷痕を洗い流すという意味をこめている。米軍は戦争が終わった後、ベトナムラオスでも共同遺骨収拾活動を行った。

 発掘事業が本格化すれば、朝米間の緊張が大幅に低下する政治的効果もあると期待される。数十人の米軍兵力と専門家が北朝鮮の現場で作業すれば、低い水準ではあるが米軍と北朝鮮人民軍の間に対話のチャンネルを開くことにもなる。発掘期間には平壌に米軍連絡将校が留まり、毎日米軍当局に報告することになる。

 一部では、発掘の過程で人材と資材提供の対価として米国が北朝鮮に現金を支給することを憂慮もしている。しかし、これは対北朝鮮制裁とは関係ないだけでなく、避けられない側面がある。遺骨の発掘をするには激戦地であった険しい山岳地域を駈け回らなければならないので、現地の地形に詳しい北朝鮮住民や軍人に依存せざるをえない。米国議会調査局が2005年5月に出した報告書によれば、米国防総省が1993年から遺骨収拾のために北朝鮮に支給した現金は2800万ドル(約31億円)に達する。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員

http://www.hani.co.kr/arti/international/america/850083.html
韓国語原文入力:2018-06-21 21:01 訳J.S

http://japan.hani.co.kr/arti/international/30918.html