「身寄りのない人」の葬儀と葬儀代の問題

これは明らかに、これからどんどんケースとして増えていくはずの、他人事でない話ですから、無理のない形で制度を整備していく必要があります。

朝日新聞の記事は重要な問題提起になっており、それを受けてさらに具体的な提案をしているブログ記事(個人的に愛読している「考える葬儀屋さんのブログ」より)を、備忘のために並べて記事にしておきます。

なお、墓埋法・生活保護法など、議論の前提となる法令は、下記から検索して読むことができます。

elaws.e-gov.go.jp

身寄りない人の葬儀代 運用する自治体と是正求める国
中村靖三郎、山田史比古 2018年9月27日20時21分

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身寄りがない人の葬儀費

 身寄りのない人の葬儀にかかる費用を、公的にどう賄えばいいのか。都市部の大半の自治体が、国のルールに反するやり方で、身寄りがない人の葬儀代を生活保護で賄うことを慣例化していた。自治体側からは「ルールが実態にあわない」との声が出ている。「多死社会」を前に、専門家は「弔いのあり方を整理するべきだ」と指摘する。

 生活保護法では、身寄りがない人が亡くなり、残された現金では葬儀が出せない場合、知人や近隣住民などで自発的に葬儀をする人がいれば、生活保護の葬祭扶助(原則として、都市部では20万6千円まで)を出せると規定。生前に生活保護を受けていたかどうかに関わらず、遺体の搬送や保管、火葬、読経などの費用が、この額の範囲で認められる。多くの場合、上限に近い金額が使われている。

 一方、だれも葬儀をする人がいないときは、自治体が火葬する義務を負うことが墓地埋葬法で決められており、その費用は全額が自治体の負担となる。

 朝日新聞は、20政令指定都市と東京23区に葬儀代の支出方法を尋ねた。約9割にあたる計38自治体が、民生委員などに依頼し、葬儀の執行者として葬祭扶助を申請してもらっていた。

 「(葬祭扶助の)申請書に名前だけ書いてもらう。葬儀に立ち会ってもらうこともない」(東京の複数の区)という。生活保護だと、自治体は費用の4分の1だけを負担し、残りは国の支出となる。

 旧厚生省は1963年の通知で、「民生委員が市町村等の依頼により行ったときは、葬祭扶助の適用は認められない」と明記している。厚労省保護課は「依頼しているなら、自発的とはいえず、墓地埋葬法に基づいて自治体が全額負担するべきだ」と主張。是正を求める方針で、近く実態把握に乗り出す。

 多くの自治体はこうしたやり方を長く続けてきたといい、「依頼なしで葬儀の執行者が現れるなんて、あり得ない」と戸惑う。民生委員のほかにだれに申請を頼むかなど、運用では自治体ごとの違いもあった。

 自治体は、身寄りがない人がなくなると、戸籍をたどって親族を捜し、遺体の引き取りを打診する。親族捜しには時間がかかり、その間は火葬できずに遺体の保管を迫られる。近年は、引き取りを拒まれることも増えているという。

 長野大の鈴木忠義教授(社会福祉学)は「いまの時代、特に都市部では近隣住民らが自発的に葬儀をするとは考えづらく、国のルールには限界がある。民生委員を活用するかはともかく、実情にあうよう、見直す必要がある」と指摘している。(中村靖三郎、山田史比古)

https://www.asahi.com/articles/photo/AS20180927004212.html

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