「日本学生支援機構」とかいう金貸し業者の続報:「分別の利益」関連

これの続報ですね。

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私が思うに、この組織、根本的に何のために存続してるのか、どんどんわからなくなってきてます。

学生支援機構、奨学金の不当回収認める 保証人に返金へ
諸永裕司、大津智義 2019年1月19日09時17分

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分別の利益と不当回収

 奨学金の返還をめぐり、日本学生支援機構が保証人に半額の支払い義務しかないことを伝えずに全額を求めてきた問題で、機構は取材に対し、その後に取った対応の中で、過大請求によって一部の保証人から不当な回収をしていたと明らかにした。機構は「法解釈を誤った」と認め、保証人に謝罪したうえで、取りすぎた分を返金するという。

 朝日新聞は昨年11月、機構が過去8年間に延べ825人の保証人に、全額の支払いを求めたと報じた。これを受けて機構は、半額しか支払い義務がないとする「分別の利益」を保証人が主張した場合、返還を終えた人や裁判で返還計画が確定した人は減額しない一方で、機構と協議して返還中の人らには応じる方針を示した。ただ、減額するのは主張時の「残金の半分」とした。

 この点について、朝日新聞は、一昨年の民法改正に携わった法制審議会(民法部会)で委員や幹事を務めた法学者18人に意見を求めた。取材に応じた10人のうち9人が「法的に誤りで過大請求になる」と答えた。

 松岡久和・立命館大教授は「借りた本人が返せない場合、機構は残りの全額を払うよう保証人に求めることはできる。だが、保証人の支払い義務はその半額を超えず、分別の利益をいつ主張するかによって変わるものではない」。野村豊弘・学習院大名誉教授は「機構にとって都合のよい解釈ではないか」と述べた。

 一方、「分別の利益については定説がない。当初、機構が考えたように解釈できる可能性もある」とする学者も1人いた。

 朝日新聞が法学者の見解を機構に伝え、説明を求めたところ、機構は誤りだったと認めた。

 機構によると、奨学金を借りた本人の未返還額の半額を超えて返している保証人が、主張後に支払った分を返金する。過大請求や不当回収をした保証人の数や金額は精査中で、利息をつけるかも検討している。ただし、半額を超えていても、主張前の分は「弁済は有効で債務は消滅している」として返金しない。

 機構の大谷圭介理事は「弁護士と相談して対応を決めたが、法解釈が不適切で不当な回収だった。今後、分別の利益の主張があれば、本人の未返還額の半額しか求めないよう改める」と話した。一方で、「分別の利益は保証人から主張すべきだ」とする見解は変えず、機構から積極的に伝える考えはないという。

 山野目章夫・早大法科大学院教授(民法)は「保証人に分別の利益を知らせずに全額払いを求めていたことが判明した後に、誤った法解釈で『不当利得』を得ていた事実は重い。奨学金事業への信頼を損ないかねない」と話す。(諸永裕司、大津智義)

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 〈分別の利益〉 民法では、連帯保証人も含めた複数の保証人がいる場合、各保証人は等しい割合で義務を負う。国の奨学金の人的保証(父か母が連帯保証人、4親等以内の親族1人が保証人)では、保証人の義務は半分になり、残りは本人や連帯保証人が負う。現在の奨学金の返還者は約426万人で、3カ月以上の延滞者は約16万人。

https://digital.asahi.com/articles/ASM1L5JDPM1BUUPI001.html