「身の丈に合わせた」文教行政へ:英語民間試験の2020年度導入見送りか

たぶん全国で500万回くらいは言われてるんでしょうけどね。

ここまで振り回され続けてきた現高2生にとっては、不幸中の幸いとでも言った方がいいかもしれません。地獄の手前で辛うじて止まったと。

英語民間試験、20年4月からの実施見送りへ 文科省
2019/11/1 6:10

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大学入試センター試験で、受験生にリスニング用の機器を配布する担当者(1月、東京都文京区の東京大学

2020年度から始まる大学入学共通テストで導入される英語民間試験について、文部科学省が実施を見送る方針を固めたことが1日、分かった。居住地や家庭の経済状況による受験機会の格差や公平性への懸念が消えず、受験生らの理解を得るのは難しいと判断した。文科省は今後、実施に向けて準備を進めていた受験生や実施団体、大学などへの対応策を決める。

英語民間検定試験は現行の大学入試センター試験の後継として20年度に始まる大学入学共通テストの英語で、導入される予定だった。「読む・聞く・書く・話す」の4技能を問うため、英検やGTECなど6団体7種類の試験を活用し、20年4~12月の間に高校2年相当の子どもらが最大2回受験。大学入試センターが発行する「共通ID」で成績を管理し、大学側に提供する仕組みだった。

しかし、民間の異なる試験を比べることへの批判や、試験会場が少ない地方の受験生らに不利になるとの懸念が出ていた。会場や日程などの実施概要も全容が決まらず、全国高等学校長協会は9月、文科省に延期を要請していた。

そうした中で、萩生田光一文科相が10月24日のテレビ番組で受験生間に格差が生じないかとの懸念について「身の丈に合わせて勝負してもらえれば」と発言。その後謝罪して撤回したが、野党が「格差を容認した」と反発し、民間試験の延期を要求していた。政府や与党の一部からも延期を求める声が出ていた。

英語民間検定試験の実施団体は試験会場の手配などを既に始めている。国公私立大の6割が同センターから成績提供を受ける予定だったため、今後入試方法の見直しを迫られる可能性がある。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51671970R01C19A1MM0000/

しかしまあこれ、いったん止めてしまって見直しが入れば、再度導入に向かうにはクリアすべきハードルが高すぎる気もするんですけどねえ。共通テストをひっくるめた今般の入試改革自体にも、影響は及ぶでしょう(あの非現実的な記述式の導入とかな!)。

blue-black-osaka.hatenablog.com

ええんやで、別にセンター試験で。せやから無理すんなって。文部科学省は他にもやらなあかん仕事も抱えてるやろから、まずそっちやってくださいな。

見送りの英語民間試験、何が問題? 3つのポイント
2019/11/1 8:01

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「英検S-CBT」の申し込み開始を知らせる日本英語検定協会の公式サイト(9月)

大学入試センター試験に代わって2020年度から始まる大学入学共通テストの英語について、政府は「英検」「GTEC」といった民間の資格・検定試験の20年度の活用を見送る方針を固めました(「英語民間試験、20年4月からの実施見送りへ 文科省」参照)。受験開始が半年後に迫る中での大転換です。英語民間試験の活用は文部科学省が進めてきた高大接続改革(入試改革)の目玉でしたが、どんな問題があったのでしょうか。

(1)公平性に不安

民間試験の活用は「読む・聞く・書く・話す」の英語4技能を測るのが目的です。そのための新たなテストは作らず、既存の民間試験を使うことにしたわけですが、共通テストの一部である以上、受験生が住む地域や家庭の経済力による有利不利の差は、極力なくす必要があります。しかし、民間試験の会場は県庁所在地など都市部が多く、離島やへき地の生徒には旅費などの負担が生じます。所得が多い家庭の生徒ほど、練習のための受験を重ねられて有利だという見方もあり、「公平性が保たれないのではないか」という不安を招くことになりました。

(2)確実に受験できる保障がない

活用が予定されていたのは6つの団体や企業が運営する7種類の試験です。英語はセンター試験で最も受験者が多い科目で、今春は53万人が受験しました。試験団体はこれだけの数の受験生が確実に受けられるよう、十分な試験会場を用意し、日程とともに余裕を持って公表する責任があります。ところが、この準備が難航しました。今になっても具体的な日程や会場は未定という試験が多く、受験生が希望する日時・場所で受験できる保障はないといわざるをえない状況でした。

(3)試験の質にも疑問

実施面だけでなく、試験そのものにも課題が指摘されています。テストの専門家らは各回の試験の難易度が均等かどうかや、問題の漏洩防止などのセキュリティー、試験機器のトラブル対策などに疑問を投げかけています。目的も内容も違う各試験の成績を、CEFR(セファール)という対照表を使ってランクづけして比べる仕組みにも「無理がある」との批判が当初からありました。資格・検定試験としては定評があっても、受験生の人生を左右する入試として十分な質を備えているかが問われています。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51661870R31C19A0000000/