「墓萌え」って…

そんなにお墓を巡って、どうするつもりなんですか…?

墓萌え!? なぜか墓巡りが人気
2009.1.29 21:01

 著名人のお墓巡りに注目が集まっている。指南本や写真集の刊行が相次ぎ、墓参りを疑似体験できるというDVDも発売された。墓石の前に立って先人の声なき声に耳を傾けたり、墓石の形を見比べたり…お参りの仕方は人それぞれ。ウオーキングブームに乗って、霊園に足を伸ばす中高年も増えているという。(海老沢類)

 小泉八雲永井荷風竹久夢二…。多くの著名人が眠る都立雑司ヶ谷霊園(東京都豊島区)。週末に訪ねてみると、カメラを持った中高年夫婦の姿が目立った。いすをかたどった夏目漱石の墓に手を合わせていた男性会社員(54)は「お墓にも個性が出ていて面白い」と話す。

 豊島区は昨年6月の地下鉄副都心線開通に合わせ、同霊園内にある著名人の墓を紹介するイラストマップを作って無料配布した。用意した2万部はわずか1カ月でなくなり、すでに6万部を発行。担当者は「予想以上の反響」と驚く。

 東京・上野の寛永寺では毎年秋に徳川歴代将軍の霊廟(れいびよう)を公開しているが、例年2倍程度だった希望者の抽選倍率が一昨年は4倍に上昇。NHK大河ドラマで注目された天璋院篤姫の墓を特別公開した昨年はなんと約20倍に達した。

 風塵社が昨年10月に刊行した『著名人のお墓を歩く』は、谷中、染井、雑司ヶ谷の各霊園に眠る著名人の66の墓を収める写真集だ。撮影したグラフィックデザイナー、あきやまみみこさん(39)は「目に映るのは石に過ぎなくても、脈々と流れてきた時間が感じられ、歴史への想像がふくらんだ」と振り返る。

 位牌(いはい)をイメージした「一般和型」、横幅が広い「洋型」…など、墓石のスタイルを分類して紹介するのは『東京お墓巡り−時代に輝いた50人』(NHK生活人新書)。著者の酒井茂之さん(62)はこれまでに400を超える著名人の墓石を撮影してきた。「『作品がすべて』という考えからか、文人は質素な墓石が多い。軍人や政治家は栄光を後世に伝えるような肩書が刻まれた立派なものがほとんど。墓には故人の生前の考え方や関係者の思いがよく表れている」という。

 墓参りを疑似体験できるDVD『墓萌(も)え』(日本メディアサプライ)も発売され、ブームが若年層に広がる気配も。とはいえ、お墓は故人が静かに眠る場所。酒井さんは「マナーを守り、静かに当人を偲(しの)ぶのが大前提。花の一輪、お線香の一束を供えるくらいの心構えもほしいですね」と話している。

http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090129/trd0901292105014-n1.htm