韓国の大学評価

ここのところ、『朝鮮日報』日本語サイトを見ていると、大学評価に関する記事がやたらと多い。それなりにみんな気になる話題なのだろう。
韓国人と一緒になって一喜一憂する義理はないが、眺めていると韓国内での各大学の位置づけが垣間見えてちょっと興味深い。

記事入力 : 2009/07/04 14:50:36
大学評価:入試成績とは違うランキング

「大学の国際競争力」見て進路選択を

 毎年11月、全国55万人の大学入試受験生たちは、予備校が発表する「大学入試配置表」をバイブル代わりに志望する大学を選ぶ。

 修能試験(日本のセンター試験に相当)直後、有名予備校を代表する講師らが集まり作成する配置表には、全国すべての大学と学科が成績順にずらりと並べられている。これには、各大学の学科ごとに最近2−3年間で入学した受験生たちの修能試験の成績や内申点に基づき、1位からビリまで順位がつけられており、このランキングは不変の公式のように広く通用している。

 しかし、本紙とイギリスの国際大学評価機関QSによる「2009年アジア大学評価」の結果は、大学入試配置表による大学ランキングと全く違っていた。釜山・慶北・全南・全北・忠南大など地方の国立大が韓国で20位以内にランクインしている一方、配置表でこうした大学より上にランキングされているソウル市内の中上位圏大学の順位はそれより低かった。教授一人当たりの論文数や論文1本辺りの引用回数などの研究実績で、地方国立大のほうがソウル市内の中上位圏大学よりも高い点数が付いたためだ。

 なぜ、配置表の大学順位とアジア大学評価順位には違いがあるのだろうか。その理由は簡単だ。評価の観点や「物差し」が全く違うからだ。

 入試専門家らは、「大学入試配置表を決定づける最も重要な要素は入学者の成績。その次は大学の地理的位置」と話す。「首都圏プレミアム」とでも言えるような、教育とは関係ない要素も影響を与えるというのだ。入試サービス会社「ユーウエイ」のイ・マンギ評価理事は、「同レベルの大学なら、配置表では地方大のほうが首都圏の大学よりも下にランクされる」と話す。また、大手予備校・大成学院のイ・ヨンドク学力開発研究所長は、「受験生は10−15年前から首都圏の大学を好む傾向が強まった」と説明している。

 これについて、地方大の教授は「研究に尽力するよりも、ソウル市内にある大学と提携し“ソウル・キャンパス”を持つほうが、大学ランキングの順位を上げるのに、はるかに効果的」と嘆く。

 大学入試配置表の順位から、予備校が集まる街では「ソ延高/成西漢/中慶外市/建東仁弘…」という歌がはやっている。韓国の大学はソウル大・延世大・高麗大/成均館大・西江大・漢陽大/中央大・慶煕大・韓国外大・ソウル市立大/建国大・東国大・仁荷大・弘益大…の順にいいということだ。入試専門家らは今も全国の高校や予備校を回りながら、こうした固定観念化された大学序列を強調する。


 だが、アジア大学評価では試験の成績でなく、大学が出した成果(教授の研究成果・卒業生の評判など)でランクを付けた。大学で4年以上学んだ人材が満足するに値するレベルに達しているのか、社会貢献できる研究業績をどれだけ出しているかなどを考慮し、大学のパフォーマンス(実績)を評価しているのだ。

 今回のアジア大学評価を総括したQSのベン・ソーター大学評価総責任者は、「入学者のレベルよりも大学の成果を評価するほうが世界的な基準」と話している。

 入学者の優秀さなどの「投入要素」よりも、大学が指導した研究論文や卒業生のレベルによる「成果要素」を評価すべきということだ。同じ理由から、施設投資・研究費・奨学金といった大学の「投入要素」は無視してもいいという。

 ソーター総責任者は「多様な社会・文化的背景を持つさまざまな国の大学を一括して比べるには、大学施設などのような指標は効果がないという現実的な制約もあるが、結局は多様なインプット(投入)も優秀な研究業績やすばらしい卒業生というアウトプット(産出)で証明するしかないということ」と語った。

 だから、大学入試配置表に書かれている修能試験の1−2点の差は、今回のアジア大学評価では特に意味を持たない。この点は、大学を選択する受験生にとっても重要だ。

 つまり、配置表に頼って大学を選べば、入学後4年間で学ぶ内容と卒業後に職場で受けることになる評価が、当初の期待や予想と違ってくる可能性があるということだ。

 したがって、受験生も大学を選択する基準を変えなければならないことになる。卒業後、自身のキャリアに役立つ大学を選ぶには、配置表に象徴される韓国内での「名声」よりも、世界の舞台で評価される研究実績や教育水準といった大学の国際競争力を見るべきだ。

 そして結果的には、韓国の大学がアジアや世界の舞台で競争力を持つための道もここにある。世界的な基準に基づき優秀な研究成果を挙げ、優秀な卒業生を輩出しなければならない。入学試験の成績が優れた新入生を確保しさえすれば、その大学の競争力や名声を保てるというものではない。


大学評価チーム
安鋤Z培(アン・ソクベ)記者(チーム長)
李仁烈(イ・インヨル)記者
李智恵(イ・ジヘ)記者
チェ・スヒョン記者
オ・ヒョンソク記者

http://www.chosunonline.com/news/20090704000043