保守・進歩を包み込んだ社会統合…?

朝鮮日報』が保守右派の動向を取り上げるという形の記事であるため、どうしても身内贔屓の内輪誉め、といった雰囲気が漂うのだが、確かに興味深い記事ではある。

意地悪い見方をすれば、要するに「保守派勢力が〈健全なナショナリズム〉路線を採用し出した」ということになるだろう。ここで克服が目指されている「排除の論理」は、その克服・排除が原理的に不可能なものであるわけで、私の関心は「排除された「排除の論理」が、その後、どこに(誰に)向かうか」という点にある。

記事入力 : 2009/12/26 13:00:25
変化する韓国の知識人社会(上)
保守・進歩を包み込み社会統合を追求

 「国民統合」「進歩と保守の共生」「民主主義発展のための疎通」−。

 今月1日、保守系知識人グループの社団法人「時代精神」が開催した「2009送年の夜」と題するシンポジウムでは、「疎通」と「統合」が話題に上った。安秉直(アン・ビョンジク)理事長は、「今は本当に困難な時代。進歩と保守が統合してこそ、民主主義の発展につながる。国民統合のため、進歩と共生する案を模索しなければならない」と繰り返し強調した。

 これまで「統合」「疎通」は、進歩左派が保守右派を攻撃する際、愛用してきた言葉だ。「頭の固い」保守勢力が堅固なとりでのように君臨し、異なる考えを持つ人々を受け入れない、という進歩左派の批判に対し、保守右派陣営は、守勢に回ることを余儀なくされてきた。昨年起きた米国産牛肉の輸入に反対するろうそくデモの際、一部のデモ隊は「政府は疎通に乗り出せ」と声を上げた。

 しかし今は、状況が異なる。むしろ保守右派の側が、より積極的に進歩と保守の「統合」を語っている。最近出版された保守右派陣営の季刊誌『時代精神』が、「国民統合」というテーマで特集座談や論文を掲載したのが代表的な例だ。この特集は、産業化勢力(保守右派)と民主化勢力(進歩左派)は対立ばかりではなく、互いに補完することで今日の大韓民国を築き上げた、という「統合の歴史認識」を持たなければならない、と強調した。延世大の金世中(キム・セジュン)教授は、「韓国現代史における主な対立の当事者だった産業化勢力と民主化勢力が、相補的関係の中で社会の発展に不可欠な構成分子として機能してきたという歴史認識には、韓国社会の深刻な社会的対立を癒す実践的意味がある」と主張した。

 異なる理念と思考を受け入れることに消極的だった保守右派は最近、自分たちの排他性を顧み、批判している。中道保守陣営の代表的なシンクタンク韓半島朝鮮半島)先進化財団」が、昨年末に開催した「韓国の保守を語る」と題するシンポジウムに出席した保守系知識人は、「これまで保守が変化を忌避する集団として韓国国民から認識されてきたのは、保守が自ら招いた結果」と主張した。

 代表的なニューライト知識人の一人、成均館大の故・金一栄(キム・イルヨン)教授は、このシンポジウムの席で「韓国の保守が危機に陥ったのは、世界的な金融危機やろうそくデモ、盧武鉉ノ・ムヒョン)前政権5年間の“くさび”という外部的要因よりは、保守全体の応力不足が原因」と語った。さらに金教授は、「韓国の保守には哲学的原則がなく、社会統合を達成するためのプログラムもない」と強く批判した。また、高麗の金文朝(キム・ムンジョ)大教授は、「韓国の保守は決定的局面を迎えるたびに、大義のための自己犠牲的な姿勢を堅持できず、カーテンの裏に隠れた。それにより、進歩集団と比べて道徳的優位性を確保できないまま、社会統合の指導力を弱めてしまった」と指摘した。

http://www.chosunonline.com/news/20091226000032

記事入力 : 2009/12/26 13:01:20
変化する韓国の知識人社会(下)
保守・進歩を包み込み社会統合を追求

 保守の「統合」模索は、ニューライト陣営に局限された現象ではない。1954年に「アジア民族反共連盟」として出発した自由総連盟も、「国民統合」を主要な活動目標に掲げている。「保守団体の総本山」「元祖保守」を自認している自由総連盟は2年前、進歩団体の民族和解協力汎国民協議会と共に、「和合と相生の国民統合討論会」を開催した。わずか数年前までは「大韓民国転覆勢力」「スパイ」と見なしていた人々を、同じ席に座って対話し、疎通する相手として認めたわけだ。

 このように、保守が「統合」「疎通」に積極的に乗り出しているのは、韓国社会の深刻な理念対立が非効率と浪費を招き、大韓民国が先進国入りすることを妨げている、という認識があるからだ。時代精神の洪晋杓(ホン・ジンピョ)理事は、「相手を体制の外に追い出す“排除の論理”は、かつての産業化時代には必要な側面があったが、今では大韓民国の発展には助けにならない、という事実を保守知識人が自覚するようになった。大韓民国という共同体を認めるとの前提に立ち、進歩と保守が互いに競争しつつ共存することが、先進国入りへの条件」と語った。

 大韓民国が成し遂げた業績に対する自信も作用している。韓半島先進化財団の朴世逸(パク・セイル)理事長(ソウル大教授)は、「大韓民国は産業化によって飢えの苦痛から抜け出し、民主化によって独裁と抑圧の苦しみを克服した、世界の模範国だ。産業化と民主化という尊い価値と重要な経験を土台として、進歩と保守が力を合わせ、大韓民国の先進化という大遠征に乗り出さなければならない」と語った。

 今や、保守右派と進歩左派が同じ席に座り対話する様子は、目新しいものではない。韓半島先進化財団は、昨年から進歩派寄りの「良い政策フォーラム」と相次いで共同シンポジウムを開催しており、時代精神も、進歩派寄りの知識人が同席する討論会を行っている。時代精神の洪晋杓理事は、「最初は参加者の渉外すらうまくいかなかったが、少しずつ信頼関係を築き、進歩と保守の内部で、互いに顔を合わせなければならないという必要性を共有している」と語った。

 保守右派は09年、進歩左派と共存・競争しながら「大韓民国の先進化」を実現する道へと、力強く第一歩を踏み出した。

李漢洙(イ・ハンス)記者

http://www.chosunonline.com/news/20091226000033

記事入力 : 2009/12/26 13:04:36
「韓国社会の理念対立はポピュリズムの産物」
韓半島先進化財団の朴世逸理事長

 「韓国社会で、保守と進歩のあつれきと対立は必要以上に増幅されている。その主な理由は、保守と進歩のあつれきがポピュリズム的政治家によって党派的に利用されてきたからだ。国の発展のためには、“自由・成長・世界・伝統”を重視する保守的価値と、“平等・福祉・民族・革新”を重視する進歩的価値がどちらも重要だ」

 韓半島朝鮮半島)先進化財団の朴世逸(パク・セイル)理事長(61)は、昨年から進歩陣営と相次いで共同シンポジウムを開催していることについて、「合理的で健康な政策競争を通じ、不必要な対立とあつれきを減らそうというもの。両サイドの学者の間に、国家政策の面で大きな質的違いはなかった」と語った。

 また朴理事長は、「人間は、似た者同士で話してばかりいると考えが硬直化し、極端になる傾向がある。保守も、開かれた心と姿勢で進歩の主張によく耳を傾けなければならない」と語った。

 朴理事長は、保守と進歩の「疎通」に自信を示した。「疎通と統合を成功させようとするなら、進歩であろうと保守であろうと、自分が主張する価値に対し真剣かつ正直でなければならない。国家政策の面で70%から80%の合意を得ることは難しくないと思う」

 朴理事長はまた、進歩と保守の現在の疎通の水準について、「まだ始まったばかりだが、既に韓国社会の一角で真剣な疎通がなれ、考えの統合が急速に進んでいる」と診断した。

 朴理事長は、「保守が進歩と統合を模索するのは、大韓民国を愛し、大韓民国のより大きな発展を望むからだ。これから、開かれた姿勢での虚心坦懐な対話、自己省察ある対話を、可能な限り多く組織する」と語った。

李漢洙(イ・ハンス)記者

http://www.chosunonline.com/news/20091226000034