ナショナリスティックな山歩き・1―北漢山編

以前にも行ったことのある国立4.19民主墓地と北漢山の独立有功者墓域を再訪してみた。

実は、両方とも1年でかなりの変化を見せていた。

まず、国立4.19民主墓地であるが。

何よりもいちばん変わっていたのは、「4.19革命記念館」である。内部の展示がまったく新しいものになっていた。屋上もウッドデッキの展望台になっていた。




展示の歴史観自体に変化は見られないが、展示全体の整備が進み、洗練度が飛躍的に増している。これはつまり、韓国ナショナリズムにおいて、「4.19革命」が確固たる正統の地位を占め続けていくことの表明であるのだろう。「4.19義挙の継承→5.16革命」という朴正煕的な(そして一時のニューライト的な)歴史観は退けられ、「未完の4.19革命→5.16軍事クーデタによる挫折」という解釈が、国家報勲処の管轄するここでは明確に採用されている。

ところで、4.19革命記念館の2階に、このような地図が新たに設置されている。

4.19民主墓地を取り囲むように示されているのは、北漢山に分布するいわゆる殉国先烈・愛国義士の墓域である。この地図をわざわざ4.19民主墓地の展示館に示すというところに、民主墓地と北漢山の独立有功者墓域とを一体化して位置づけようとする意図を読み取ることは、おそらくあさっての方向を向いてはいないはずである。

もともと4.19墓地の前の道は、北漢山の山歩きの際には玄関口の一つになっているし、有功者たちの墓地はそのルートの中に位置している。


案内図も前からさらに新しくなっている。そして、その新しい案内図で新たに示されている有功者墓域の探訪ルートを歩いてみると、明らかにそれとわかる形で整備されていたり、整備工事中であったりしている。以前も一部は整備されていたが、それがさらにガンガンと推進されている感じである。




4.19の犠牲者と殉国先烈とは、本来的に一体的に位置づけられて然るべきだとは限らない異質さを持っている。それを敢えて一体化しようとする選択は、その是非は別にしても、間違いなく政治的なものである。

ちょっとしたウォーキングやトレッキングにいい場所なのだが、そうした環境をナショナリスティックなものとともに整備しようとするところが、私としては興味深い。