韓国の高学歴ワーキングプア

何度か書いてきたネタだが、この問題の当事者にとっての深刻さは、国情の違いを超えて相通じるものがある。

この件に関する限り、日本はお手本にも参考にもならない。

記事入力 : 2010/05/04 14:07:55
高学歴の貧困問題、解決に着手(上)

 大学の非常勤講師は、修士・博士の学位を持ちながらも生活苦にあえぐ「高学歴貧困層」と呼ばれる。韓国全体で7万2000人余りに達する非常勤講師には、「行商人」「象牙の塔の奴隷」といった自嘲(じちょう)的な別名まで付いている。

 大学の非常勤講師は時給が平均3万ウォン(約2556円)程度に過ぎず、勤務条件も劣悪だ。大統領直属の社会統合委員会(社統委:高建〈コ・ゴン〉委員長)は、この問題を正式の案件とし、対策の整備に乗り出した。

 社統委が3日に明らかにしたところによると、同委は最近、非常勤講師の劣悪な環境を改善するめの小委員会を作り、非常勤講師を「講座教授」に改編する問題について議論を始めた。この小委員会は、コ・ヒョンイル全南大教授(元韓国教育開発院院長)が委員長を務め、委員12人で構成される。

 小委員会の関係者は、「西欧には非常勤講師という概念がなく、(地位が比較的安定的な)講座教授を置いているが、こうした運営を参考にする」と語る一方、「非常勤講師に教員の地位を付与するかどうかはまだ不確実」とも述べた。社統委は、社会の分裂や対立の要素を解消するため、昨年12月に発足した機関だ。

 教育科学技術部(教科部)の資料によると、4年制大学の非常勤講師は7万2000人に達し、講義担当者の55%を占めているが、月収は平均40万6250ウォン(約3万4623円)で、最低生計費(4人家族基準で136万ウォン=約11万6000円)の30%程度にとどまる。52%の大学は、非常勤講師に4大保険(国民年金・健康保険・雇用保険労災保険)を一切保障していない。

http://www.chosunonline.com/news/20100504000047

記事入力 : 2010/05/04 14:08:01
高学歴の貧困問題、解決に着手(下)

 非常勤講師らは、「次の学期に勤務できるかどうかは、助手からの電話1本にかかっている」「家族・親類が助けてくれなければ、生活していくのは困難」と語った。ほとんどの大学では研究室も用意されず、講義がない時間には運動場をうろうろする、という講師もいる。

 これまでの10年間で8人の講師が、現実を悲観し命を絶った。「教授市場」で葬り去られるかもしれないという懸念があるため、処遇改善要求に乗り出すことも容易ではない。

 教育界では、社統委が非常勤講師という名称をなくし、任期制・契約制教授の概念に変えようというしている、と見込んでいる。2−3年前、非常勤講師を「講義教授」に転換する案を一部の大学が研究した際には、▲契約期間は1−3年▲長期休暇中も月給が出る▲4大保険も保障−などといった処遇改善策が検討されたこともある。

 しかし、「大学講師教員地位回復闘争本部」のキム・ドンエ本部長は、「非常勤講師が法的に教員の地位を回復できないのであれば、研究・講義教授というものは弥縫(びほう)策に過ぎない」として反対の意思を表明した。1977年に教育法が改正された際、非常勤講師が教員から除外されたことが、すべての問題の始まりだった、という主張だ。

 教科部の関係者は、「過去の政権の教育革新委員会でも、非常勤講師の問題を話し合ったが、給与を上げるとか、教授の定員を増やすといった案に対し、ほかの部署が難色を示した。容易には解決しない問題」と語った。

兪碩在(ユ・ソクチェ)記者

http://www.chosunonline.com/news/20100504000048